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第2276話 進化の兆し
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蜘蛛たちは畑仕事へ戻っていまい、俺は早くもすることが無くなった。
おやつの後に訓練をすることになるだろうから、今のうちに体をほぐしておくのもありかな?
体術や柔術ではないけど、久しぶりに刀術でもやってみようかな。剣や薙刀は使うことあったけど、最近は刀使ってなかったもんな。
俺は、メインに使っている自分で打ったミスリル合金にアダマンコーティングをした刀を取り出す。
ふむ……取り出したはいいものの、これで訓練をするのはなんとなく特訓の様な気がして、気分がもやっとしてしまった。訓練だからこそ、気持ちのありようは重要になってくると思う。だから、このもやっとを解決するために、2つ新しく刀を作ることにした。
1つは、世界樹ユグドラシルからもらった木の枝を圧縮して超重量にした木刀と、それとは真逆の驚くほど軽い木刀の2つを用意した。
2つの木刀と俺の打った刀には1つだけ共通点がある。重心が同じという所だ。形が違うので完璧に同じ位置とは言い難いが、ほぼ同じと言っても差し支えない程度には重心の位置を揃えている。
振る時の風の当たり方など差異はあるが、それは言っても線の無い事だろう。
気分で作った2つの木刀だが、無意味に作ったわけではない。
重い方には、刀術の基礎を鍛えるのと同時に体も鍛えることのできる、一石二鳥の意味がある。軽い方は、刀術の基本もそうだが、技の見直しや自分の技を確認する意味合いがある……となんかの本に書いてあった。
どっちを使うにしても、基本が疎かになっていると長時間使えないのが特徴なんだってさ。
軽い方は、刀術を基本とせずに振り回しているだけなら誰でもできるが、刀術として扱うにはかなりの技術が必要とされているらしい。
刀は、剣の押し切る力の武器ではなく切り裂く武器なので、技術が伴っていないと、基本ができていないと同じ動きをしただけでも、体にかなりの負担になるんだそうだ。
俺が昔読んだ本が正しいかは知らないが、刀術に求められる動きと剣術に求められる動きは、似ているようでまったく違うらしい。実際に武器を振るっている人間としても、それは正しいと思う。
じゃぁ何が正しいのか知らないかというと、刀術の基本は回転にあるということだ。回転と言っても文字のままの意味ではなく、腰の回転、肩の回転、肘の回転などなど、様々な部位の回転が重要となるらしい。
素人にも分かりやすく回転と言っているのだろうが、刀は引いて切るモノである。押しつぶすような太刀筋では刀の良い部分が無くなってしまう。だから、体の回転を使い引いて切り裂くように刀を使うことが、最も大切なんだとさ。
いまいち理解できないが、刀の良いところはすべてを切り裂くというところだ。
とはいえ、剣が何でも切り裂けないかと言われるとそうでもない。求められる動きが違うが、結果として同じ結果を引き寄せることはできる。ただ言えるのは、切り裂いた後のモノだろう。刀は切り裂いた形になるが、剣は押しつぶして切った形になる。
そこに優劣は無く、俺は憧れで刀術を気に入っている。
刀術への気持ちを思い出して、重い木刀を振ってみることにした。
俺は木刀を振り始めて10分で愕然とした。
俺が今までやってきたことは、刀術より剣術に近かったということだ。スキルもあるから安心していたが、それはただの慢心だったようだ。
重い木刀を振った時、体にかかる負担が異常に高かった。特に腕にかかる負担は常軌を逸していたと思う。特に抜刀術を真似てスキルを使おうとしたところ、重い木刀は手からすっぽ抜けてしまった。
この瞬間に、俺の抜刀術は技術で振っているのではなく、刀の重さと腕力で振っているということが分かった。刀術にも最低限の力はいるが、技を習得するためには技術が必須だ。武器に振り回されないようにする技術だ。
俺はそれを腕力と握力で振り回されないようにしていただけらしい。
そして、軽い木刀を使って刀術を使いさらに驚愕の事実に気付く。
いつもと同じを心掛けて刀を振った所、体のバランスを崩してしまったのだ。意味が分からず軽い木刀を何度も降り続けたが、いつもと同じを心がければ心がけるほど、体のバランスが失われていった。
軽い木刀を重い木刀に変えて振れば、体が悲鳴をあげ、元の刀を振ってみるとしっくりくる。手になじんでいると言えば聞こえはいいが……
ここから導き出される答えは、俺は刀の重さありきで振っていたということだ。
刀の重さを使ってはいけないわけじゃない。だけど、重さありきでいいわけではないのだ。
あることが当たり前ではなく、あるモノを利用するのが技術だと俺は考えた。
あっているか何て言う議論は無しだ。合理的な意味も必要ない。俺は俺が思ったようにすることが大切だと思ったのだ。おそらく間違いは沢山ある。だけど、心が、スキルがそう言っている気がしたので、素直になって見ることにした。
まずは重い方の木刀で、体に負担の無い素振りを心掛ける。どれほど遅くても、体が納得できる振りをするつもりだ。
5分10分と時間は経つが、一向に体の納得が得られない。納得が得られたら徐々に速度を上げていくつもりだったのだが、それも出来ない。
俺は根本的に見直す必要があるのだと思った。それによって俺の技術は格段に跳ね上がると確信している。
それと同時に1つ予感のようなモノがしている。
自分の身に着けたスキルが失われるだろうという、漠然とした予感だ。
おやつの後に訓練をすることになるだろうから、今のうちに体をほぐしておくのもありかな?
体術や柔術ではないけど、久しぶりに刀術でもやってみようかな。剣や薙刀は使うことあったけど、最近は刀使ってなかったもんな。
俺は、メインに使っている自分で打ったミスリル合金にアダマンコーティングをした刀を取り出す。
ふむ……取り出したはいいものの、これで訓練をするのはなんとなく特訓の様な気がして、気分がもやっとしてしまった。訓練だからこそ、気持ちのありようは重要になってくると思う。だから、このもやっとを解決するために、2つ新しく刀を作ることにした。
1つは、世界樹ユグドラシルからもらった木の枝を圧縮して超重量にした木刀と、それとは真逆の驚くほど軽い木刀の2つを用意した。
2つの木刀と俺の打った刀には1つだけ共通点がある。重心が同じという所だ。形が違うので完璧に同じ位置とは言い難いが、ほぼ同じと言っても差し支えない程度には重心の位置を揃えている。
振る時の風の当たり方など差異はあるが、それは言っても線の無い事だろう。
気分で作った2つの木刀だが、無意味に作ったわけではない。
重い方には、刀術の基礎を鍛えるのと同時に体も鍛えることのできる、一石二鳥の意味がある。軽い方は、刀術の基本もそうだが、技の見直しや自分の技を確認する意味合いがある……となんかの本に書いてあった。
どっちを使うにしても、基本が疎かになっていると長時間使えないのが特徴なんだってさ。
軽い方は、刀術を基本とせずに振り回しているだけなら誰でもできるが、刀術として扱うにはかなりの技術が必要とされているらしい。
刀は、剣の押し切る力の武器ではなく切り裂く武器なので、技術が伴っていないと、基本ができていないと同じ動きをしただけでも、体にかなりの負担になるんだそうだ。
俺が昔読んだ本が正しいかは知らないが、刀術に求められる動きと剣術に求められる動きは、似ているようでまったく違うらしい。実際に武器を振るっている人間としても、それは正しいと思う。
じゃぁ何が正しいのか知らないかというと、刀術の基本は回転にあるということだ。回転と言っても文字のままの意味ではなく、腰の回転、肩の回転、肘の回転などなど、様々な部位の回転が重要となるらしい。
素人にも分かりやすく回転と言っているのだろうが、刀は引いて切るモノである。押しつぶすような太刀筋では刀の良い部分が無くなってしまう。だから、体の回転を使い引いて切り裂くように刀を使うことが、最も大切なんだとさ。
いまいち理解できないが、刀の良いところはすべてを切り裂くというところだ。
とはいえ、剣が何でも切り裂けないかと言われるとそうでもない。求められる動きが違うが、結果として同じ結果を引き寄せることはできる。ただ言えるのは、切り裂いた後のモノだろう。刀は切り裂いた形になるが、剣は押しつぶして切った形になる。
そこに優劣は無く、俺は憧れで刀術を気に入っている。
刀術への気持ちを思い出して、重い木刀を振ってみることにした。
俺は木刀を振り始めて10分で愕然とした。
俺が今までやってきたことは、刀術より剣術に近かったということだ。スキルもあるから安心していたが、それはただの慢心だったようだ。
重い木刀を振った時、体にかかる負担が異常に高かった。特に腕にかかる負担は常軌を逸していたと思う。特に抜刀術を真似てスキルを使おうとしたところ、重い木刀は手からすっぽ抜けてしまった。
この瞬間に、俺の抜刀術は技術で振っているのではなく、刀の重さと腕力で振っているということが分かった。刀術にも最低限の力はいるが、技を習得するためには技術が必須だ。武器に振り回されないようにする技術だ。
俺はそれを腕力と握力で振り回されないようにしていただけらしい。
そして、軽い木刀を使って刀術を使いさらに驚愕の事実に気付く。
いつもと同じを心掛けて刀を振った所、体のバランスを崩してしまったのだ。意味が分からず軽い木刀を何度も降り続けたが、いつもと同じを心がければ心がけるほど、体のバランスが失われていった。
軽い木刀を重い木刀に変えて振れば、体が悲鳴をあげ、元の刀を振ってみるとしっくりくる。手になじんでいると言えば聞こえはいいが……
ここから導き出される答えは、俺は刀の重さありきで振っていたということだ。
刀の重さを使ってはいけないわけじゃない。だけど、重さありきでいいわけではないのだ。
あることが当たり前ではなく、あるモノを利用するのが技術だと俺は考えた。
あっているか何て言う議論は無しだ。合理的な意味も必要ない。俺は俺が思ったようにすることが大切だと思ったのだ。おそらく間違いは沢山ある。だけど、心が、スキルがそう言っている気がしたので、素直になって見ることにした。
まずは重い方の木刀で、体に負担の無い素振りを心掛ける。どれほど遅くても、体が納得できる振りをするつもりだ。
5分10分と時間は経つが、一向に体の納得が得られない。納得が得られたら徐々に速度を上げていくつもりだったのだが、それも出来ない。
俺は根本的に見直す必要があるのだと思った。それによって俺の技術は格段に跳ね上がると確信している。
それと同時に1つ予感のようなモノがしている。
自分の身に着けたスキルが失われるだろうという、漠然とした予感だ。
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