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第2267話 子どもたちの成長
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向かい合っているウルたちは妻たちの助言を受け、シュリに対するような手加減無しの攻撃を仕掛けてくるようだ。
あれ? さっきまでウルはいなかったはずなのに、いつの間にここに来たんだ?
「お父さんが色々悩んでいる間に呼ばれたんですよ。ちょうど体を動かす準備をしていたので、急いでこちらに来ました」
3対1ではなく4対1のようだ。ウルを含めた模擬戦って、余りしたことがないんだけど、ミーシャたちの連携が良くなる感じなんだよな。ウルの指揮で4人が動く感じで、かなり苦戦した覚えがある。
相談も終わり、戦い始めるようだ。
戦闘が始まるまでは俺に主導権は無く、子どもたちのペースで話が進んでいく。戦う前の相談も、負け判定が出た後の相談も、全部子どもたちに都合のいいタイミングだ。戦い始める前に一言あるが、それだけである。これを利用して、油断しているところを攻撃してくることもあるので、一言にも注意が必要だ。
妻たちの教えを受けているが、俺の思考に近い形で戦うので、正直な所妻たちより戦いにくいのがこの子たちなんだよね。強さは、妻たちの方が上でも戦い難さが違うんだよな。
そんなことを考えていると、声がかかる。
「行きます!」
ウルの宣言で、ミーシャたち3人が前衛として突っ込んできた。
一番力の強いミーシャが真ん中で、スミレとブルムが距離を置いて左右を走ってくる。
この子たちの定石パターンだな。ここから始まる攻撃の起点は、妻たちでも油断をすれば負け判定を貰ってしまうほどには、洗練された攻撃パターンである。
この攻撃の嫌な所と言えば、4人同時攻撃が可能だということだ。ミーシャたちの突撃に合わせて、死角からの魔法が飛んできたり、4人全員が違う魔法で攻撃してきたり、突っ込んできたと思ったら距離を取って攻撃してきたりと、開始が同じでもいろんな派生があるのが嫌な点だ。
単純に手数が4倍になるので、行動が後手後手になってしまうのだ。先手を打とうと攻撃しようとすれば、ウルの牽制か距離を取っての対応をされてしまう。
この始まり方をした場合は、基本的に受けに回り読み勝ちするか、相手を上回る攻撃をするしかない。
大薙刀を持っていたが、さすがにこれでは対応できないので、片手剣盾のオーソドックスなスタイルになる。実際の所、大薙刀でも対応できなくなるわけではないが、手数をさばく時に武器の関係上どうしても一撃が重くなりがちなので、武器を変えたのだ。
遠心力を使って武器を弾いていくと、どうしても俺の力に加算された攻撃力になってしまうので、手加減しても子どもたちに怪我をさせてしまう可能性があるからだ。
じゃぁ初めから使うなって思うだろうけど、近付かれた上に手数が多くなると反撃ができないから、同時突撃でなければ、大薙刀で牽制しながら距離を取って戦うんだけどね。
やっぱり安全を期す為に一番初めに来た攻撃は、ウルからの魔法攻撃だ。しかも一点集中突破タイプではなく、体を広く狙った拡散タイプの土と氷の魔法が、3人の間から放たれている。
ミーシャたちの突撃が絶妙な時間差攻撃になるタイミングでの魔法だ。
距離を取っても魔法が当たることは回避できないので、防ぐ選択肢を取る。それと同時に攻撃を回避するための策として、
『アースウォール』
全身に纏っていた魔力を足に集中させ、強く踏み込み魔法を発動する。踏み込まなくても魔法は発動できるが、地面を媒体とする場合は、起点があった方が発動しやすいので、足に魔力を集中させ踏み込むと同時に魔法を使っている。
俺の前面をカバーするように出現した四半球の壁は、ウルからの魔法攻撃を防ぎ、ミーシャたちの視界から俺を消すことに成功する。
距離を取りミーシャたちを視界におさめようと考えたのだが、それより早くアースウォールが不穏な音を発した。
硬い何かで叩いたような音がすると同時に、アースウォールが砕ける。
ただ壊されただけではなく、アースウォールの魔力を上書きして、自分たちの攻撃用に転換したのだ。
人の魔法には基本的に干渉できないのだが、ミーシャたちは足に集めた魔力で部分的に俺の魔力を大幅に上回り、攻撃に転用したのだ。
俺の魔力がアースウォール全体にあるのに対して、集中して突破した上に書き換えを行ったようだ。
二手も遅れた状態では防ぐこともできない……書き換えによって攻撃力は落ちている魔法なので、間に合う範囲で最大限の強化を施して、ミーシャたちの攻撃を受ける。
バックステップを踏もうとしていたので、踏ん張りは聞かなくなっているが、それが功を奏して威力の軽減につながる。
二手の遅れは、この後のミーシャたちの追撃も受けることを意味している。
俺の姿をしっかりと確認した3人は、両手に持っている武器で俺の事を狙ってくる。
ウルの装備は杖と盾、腰に剣があり、ミーシャたち3人は短剣を両手に持っている。
掛け声をかけて、攻撃する場所を言っているのはマイナス点ではあるが、3ヶ所同時攻撃はかなり有用な攻撃方法である。
しかも2人が足を狙ってくるあたり、かなり訓練していると思う。1つだけなら大したことは無くても、同時に何ヶ所も狙われた中に足があると、途端に砂漠難易度が上がる。上半身を狙っているのであれば、縦や剣を振って弾き飛ばせばいい。
だけど、低い位置からの2ヶ所と正面からの1ヶ所の攻撃は非常に捌き難い攻撃だ。
俺は咄嗟に剣を地面に突き立て、地面から両端を離す。それと同時に正面からのミーシャの攻撃を、盾で強引に弾き飛ばした。ミーシャのガードは間に合うが、体重の差もあり吹き飛ばされることとなる。
攻撃の続いているスミレとブルムだが、低い位置からの攻めを変えるつもりはないのか、体勢を低くしたまま、一番近くににある部位に攻撃を仕掛けてくる。スミレは右手、ブルムはあげた右足だ。
さすがに躱しきれないと判断したので、手を狙っているスミレの攻撃は籠手で受け、右足への攻撃は高く上げる形で回避する。
攻撃は終わっておらず、2人ともそのまま右手を狙ってくるのだが、その前にウルの土魔法攻撃が防具の隙間を狙って飛んでくる。
本気で殺しに来ているんじゃないか? と思うような攻撃だ。
土魔法は何とか盾で防ぐが、右手はどうしようもないな……右腕の力だけでジャンプをして、剣を手放すことにした。
武器はいくらでもあるからな。
右手の力だけで距離を取り、現状で近距離戦は不利と判断した俺は、武器を更に持ち替えた。
あれ? さっきまでウルはいなかったはずなのに、いつの間にここに来たんだ?
「お父さんが色々悩んでいる間に呼ばれたんですよ。ちょうど体を動かす準備をしていたので、急いでこちらに来ました」
3対1ではなく4対1のようだ。ウルを含めた模擬戦って、余りしたことがないんだけど、ミーシャたちの連携が良くなる感じなんだよな。ウルの指揮で4人が動く感じで、かなり苦戦した覚えがある。
相談も終わり、戦い始めるようだ。
戦闘が始まるまでは俺に主導権は無く、子どもたちのペースで話が進んでいく。戦う前の相談も、負け判定が出た後の相談も、全部子どもたちに都合のいいタイミングだ。戦い始める前に一言あるが、それだけである。これを利用して、油断しているところを攻撃してくることもあるので、一言にも注意が必要だ。
妻たちの教えを受けているが、俺の思考に近い形で戦うので、正直な所妻たちより戦いにくいのがこの子たちなんだよね。強さは、妻たちの方が上でも戦い難さが違うんだよな。
そんなことを考えていると、声がかかる。
「行きます!」
ウルの宣言で、ミーシャたち3人が前衛として突っ込んできた。
一番力の強いミーシャが真ん中で、スミレとブルムが距離を置いて左右を走ってくる。
この子たちの定石パターンだな。ここから始まる攻撃の起点は、妻たちでも油断をすれば負け判定を貰ってしまうほどには、洗練された攻撃パターンである。
この攻撃の嫌な所と言えば、4人同時攻撃が可能だということだ。ミーシャたちの突撃に合わせて、死角からの魔法が飛んできたり、4人全員が違う魔法で攻撃してきたり、突っ込んできたと思ったら距離を取って攻撃してきたりと、開始が同じでもいろんな派生があるのが嫌な点だ。
単純に手数が4倍になるので、行動が後手後手になってしまうのだ。先手を打とうと攻撃しようとすれば、ウルの牽制か距離を取っての対応をされてしまう。
この始まり方をした場合は、基本的に受けに回り読み勝ちするか、相手を上回る攻撃をするしかない。
大薙刀を持っていたが、さすがにこれでは対応できないので、片手剣盾のオーソドックスなスタイルになる。実際の所、大薙刀でも対応できなくなるわけではないが、手数をさばく時に武器の関係上どうしても一撃が重くなりがちなので、武器を変えたのだ。
遠心力を使って武器を弾いていくと、どうしても俺の力に加算された攻撃力になってしまうので、手加減しても子どもたちに怪我をさせてしまう可能性があるからだ。
じゃぁ初めから使うなって思うだろうけど、近付かれた上に手数が多くなると反撃ができないから、同時突撃でなければ、大薙刀で牽制しながら距離を取って戦うんだけどね。
やっぱり安全を期す為に一番初めに来た攻撃は、ウルからの魔法攻撃だ。しかも一点集中突破タイプではなく、体を広く狙った拡散タイプの土と氷の魔法が、3人の間から放たれている。
ミーシャたちの突撃が絶妙な時間差攻撃になるタイミングでの魔法だ。
距離を取っても魔法が当たることは回避できないので、防ぐ選択肢を取る。それと同時に攻撃を回避するための策として、
『アースウォール』
全身に纏っていた魔力を足に集中させ、強く踏み込み魔法を発動する。踏み込まなくても魔法は発動できるが、地面を媒体とする場合は、起点があった方が発動しやすいので、足に魔力を集中させ踏み込むと同時に魔法を使っている。
俺の前面をカバーするように出現した四半球の壁は、ウルからの魔法攻撃を防ぎ、ミーシャたちの視界から俺を消すことに成功する。
距離を取りミーシャたちを視界におさめようと考えたのだが、それより早くアースウォールが不穏な音を発した。
硬い何かで叩いたような音がすると同時に、アースウォールが砕ける。
ただ壊されただけではなく、アースウォールの魔力を上書きして、自分たちの攻撃用に転換したのだ。
人の魔法には基本的に干渉できないのだが、ミーシャたちは足に集めた魔力で部分的に俺の魔力を大幅に上回り、攻撃に転用したのだ。
俺の魔力がアースウォール全体にあるのに対して、集中して突破した上に書き換えを行ったようだ。
二手も遅れた状態では防ぐこともできない……書き換えによって攻撃力は落ちている魔法なので、間に合う範囲で最大限の強化を施して、ミーシャたちの攻撃を受ける。
バックステップを踏もうとしていたので、踏ん張りは聞かなくなっているが、それが功を奏して威力の軽減につながる。
二手の遅れは、この後のミーシャたちの追撃も受けることを意味している。
俺の姿をしっかりと確認した3人は、両手に持っている武器で俺の事を狙ってくる。
ウルの装備は杖と盾、腰に剣があり、ミーシャたち3人は短剣を両手に持っている。
掛け声をかけて、攻撃する場所を言っているのはマイナス点ではあるが、3ヶ所同時攻撃はかなり有用な攻撃方法である。
しかも2人が足を狙ってくるあたり、かなり訓練していると思う。1つだけなら大したことは無くても、同時に何ヶ所も狙われた中に足があると、途端に砂漠難易度が上がる。上半身を狙っているのであれば、縦や剣を振って弾き飛ばせばいい。
だけど、低い位置からの2ヶ所と正面からの1ヶ所の攻撃は非常に捌き難い攻撃だ。
俺は咄嗟に剣を地面に突き立て、地面から両端を離す。それと同時に正面からのミーシャの攻撃を、盾で強引に弾き飛ばした。ミーシャのガードは間に合うが、体重の差もあり吹き飛ばされることとなる。
攻撃の続いているスミレとブルムだが、低い位置からの攻めを変えるつもりはないのか、体勢を低くしたまま、一番近くににある部位に攻撃を仕掛けてくる。スミレは右手、ブルムはあげた右足だ。
さすがに躱しきれないと判断したので、手を狙っているスミレの攻撃は籠手で受け、右足への攻撃は高く上げる形で回避する。
攻撃は終わっておらず、2人ともそのまま右手を狙ってくるのだが、その前にウルの土魔法攻撃が防具の隙間を狙って飛んでくる。
本気で殺しに来ているんじゃないか? と思うような攻撃だ。
土魔法は何とか盾で防ぐが、右手はどうしようもないな……右腕の力だけでジャンプをして、剣を手放すことにした。
武器はいくらでもあるからな。
右手の力だけで距離を取り、現状で近距離戦は不利と判断した俺は、武器を更に持ち替えた。
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