ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2263話 最近よく見るいつもの風景

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 夕食も終盤に差し掛かると、酒飲みエリアの騒ぎが一際大きくなる。

 日本の庭でこんなことしたら、近くに家があれば絶対に苦情が来るだろうな。それでも俺の家の庭は、騒いだところで近隣には声がほとんど届いていないだろう。

 それだけ広いって言うのもあるが、一番近くの住人の家ですら敷地の端から50メートルほど離れているから、庭からの距離を考えれば、ほとんど声が届かないだろう。それに家の配置なども関係している。

 庭から大通りに向かって家が建っており、北側には土木組の子たちの家がある。大通りと反対側に世界樹があり、南側はドワーフたちの工房があるので、騒音被害は周りに与えていないだろう。

 一番音が届きそうなドワーフたちの工房で働いているドワーフは、全員と言っていいほどここにきているので、文句を言う奴すらいないんだよな。

 酒飲みエリアの騒ぎが大きくなったので、お腹いっぱいになった子どもたちを連れて家の中へ避難する。

 ミリーたちお酒のみの妻たち3人は、キリエたち年中組が面倒を見てくれるそうだ。その他の妻たちは、自由に行動するようで、何人かはミリーたちに付き合うようだ。食事量の多いシュリや、エレノアやサーシャなどが残るみたいだな。

 今日も子どもたちと一緒にお風呂にはいろうとしたら、妻たちも一緒にはいるということで、いつもの浴室ではなく、俺たち家族専用のスーパー銭湯を利用することとなった。

 お風呂が好きなシンラたちが抗議の声をあげるが、ミーシャたちからゲームの時間がヘルから嫌だって言っているみたいだと聞いて、ブラウニーに今日は時間を決めてゲームをできるようにするのはどうか提案する。

 シンラたちは今日も自分たちのやることをしっかりしているので、問題が無いと許可が下りた。ゲームはお風呂から上がって、準備ができてから2時間と決めた。

 今日は妻たちも混ざるようで、あのエリアでのゲームは難しそうなので、俺の趣味部屋でゲームをすることが決まった。あの部屋、妻たちも利用するからって拡張したけど、最近使う人がめっきり減って俺だけってことが多かったんだよな。

 シンラは相変わらず、俺がいると目の前に座って、洗えと圧をかけてくる。俺がいない時は自分でやっているって聞いているのに、何で俺の時だけ表せようとするのだろうか? こいつなりに俺に甘えているのかな?

 そんなことを考えていると、シンラがこちらをちらりと見て、ふっと鼻で笑いやがった。

 考えていることがバレているのはいつもの事だけど、こいつ洗ってもらう側なのに鼻で笑いやがった!

 そんなことをするシンラの髪の毛は、洗ってやらないぞ。自分でいつものように洗うといい。

 いつまで経っても洗おうとしない俺が気になったのか、再び振り返ってこちらを見てきた。

 今日は洗うつもりがないので無視を続けると、俺の膝をぽかぽかと叩き始め、髪の毛を洗うように言ってきた。誰かに洗ってほしいなら、プラムたちを呼ぶけどどうするか聞くと、自分で渋々洗い始めた。

 シンラは自分で洗えるのだが、やっぱりまだ体が小さいので頭を洗うのは疲れるんだとさ。だから誰かいる時は手伝ってもらうようだが、手伝ってくれる人がいない時は自分で洗うんだと。

 ミーシャたちに洗ってもらえばいいのでは? と思ったが、そうすればプラムとシオンも一緒にいるから、あの子たちが洗うって騒ぎだしそうだな。加減ができるようになれば、洗ってもらいたいのだろうが、それができる頃には苦にならなくなってそうだな。

 ブラッシングの時はミーシャたちの実演で理解できたけど、髪の毛を洗うという行為は無理なのだろうか?

 プラムたちも姉たちに洗ってもらっているので、力加減と言っても良く分かっていない。そこまで力はいれていないだろうが、自分の頭と人の頭では様子が違うようだな。

 って、今日は妻たちもいるのに何で俺の前なんだろうか? 男同士だから仲良くはしたいのだが、鼻で笑われるのはさすがに嫌なんだが……

 まぁ渋々頭を洗い始めたシンラだが、上手く自分で洗えていると思うのだが、この体勢が疲れるんだろうか? もう1年もすれば気にならなくなるから、頑張れ!

 心の中でシンラを応援する。さすがに背中は洗い残しが出てしまうので、手伝うことにする。洗うためのタオルを両手で持って伸ばした状態で背中を擦ればきれいになるのだが、まだ上手くできないようなので手を貸すことにした感じだな。

 成長はしているけど、まだまだなところもあるな。

 いつものようにシンラは眠そうになるが、昨日と同じでゲームの話が聞こえると目を覚まして、きびきびと動き出す。俺も小さい時、両親から見たらこんな感じだったんだろうか? ゲーム好きの親だったから微笑ましい感じで見ててくれたんだろうか?

 シンラらしからぬ機敏な動きは、周囲の笑いを誘うが本人はいたって真面目なので、見えるところで笑うと怒られるだろうな。

 お風呂から上がり、ルーティーンとなっている水分補給をして、着替え始める。

 ゲームが関わっていない時の2倍速はありそうな勢いで着替えているので、早いんだけど……お前さんやい、上着の前後が逆なんだが?

 注意すると、恥ずかしそうな顔をして服の前後を入れ替えた。

 少し抜けているところのあるシンラだが、下の子たちの中では一番賢いので、そのくらいがちょうどいいのかもしれないな。

 ゲームをブラウニーたちの所へ受け取りに行き、そのまま趣味部屋へ向かう。ブラウニーたちの中から2人ほど同行して、シンラたちの様子を見てくれるようだ。

 俺たちもいるけど、専属で見てくれるようなので、足りない部分があったらお任せするわ。

 っと、シンラたちが混乱しないように、この部屋にも食堂の一角に作ったスペースと、同じような造りをした場所を準備している。

 もう少し大きくなるまでは、ゲームするスペースはこういう場所だと思ってくれればいいかな。

 ミーシャたちの時は、妻たちも近くにいたし問題なかったけど、シンラたちはミーシャたちと一緒にいることも多く、俺たちもずっと一緒ってわけじゃないから、注意する人がいない状況だったんだよな。

 ミーシャたちを信用していないわけじゃないけど、ミーシャたちに任せる事ではないので、ゲームに関しては慎重になってたんだよな。俺がすっかりそれを忘れて、与えてしまったからな……
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