ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,227 / 2,518

第2227話 出発!

しおりを挟む
 さすがにシンラたちがぐったりしているので、着せ替え人形は中断させた。妻たちはもう少しとか言っているが、シンラたちのこの喜びようを見なさい。普段俺に冷たくしているプラムとシオンが、めっちゃ尊敬してます! みたいな表情をしてるんだぞ。

 止めるように声をかけた俺が一番ビックリするような表情をしているのに、まだ続けたいというならさすがに一緒に旅行にはいけないな。浮かれてテンションが上がるのはかまわないが、自分以外の人に迷惑をかけるのはさすがにね。

 ブラウニーたちを多めに連れて、子どもたちと俺だけで行ってくるぞ?

 そう言うと、妻たちは慌てて着せ替え人形にしていたシンラたちを解放する。解放するというと、なんか語弊がありそうだが、状況的にはしっくりくる表現なので、妻たちは少し反省してほしい所である。後、こっそり服を持って来ていたブラウニーたちも、少しは反省しなさい。

 ブラウニーたちのお仕置きは、シルキーたちに任s……アマレロ、お前も混ざってたのか。スカーレット! 厳しくお仕置きしておいてくれ。参加していたブラウニーたちとアマレロは、1日間完全休養をさせるように! 家事をしたら連帯責任で、全員の完全休養が1日延びるからな!

 手伝っていたブラウニーとアマレロは絶望した表情をする。家精霊のシルキーとブラウニーは、家事をしている時が一番輝いていて、疲れも知らずに働き続ける種族だ。だから、それを禁止するということは、最大の罰である。

 完全休養を言い渡されたわけではないブラウニーたちも、顔を青くしていた。それほど重い罰ということだ。

 妻たちがもう着せ替え人形にはしないと言っているのに、シンラたち3人は俺から離れようとしない。いつも無下に扱われている身としては嬉しいが、近くにいるのが自分の身を守るため……というのが少し寂しい。

 めったにない事なので、こんな状況でも嬉しく思ってしまう自分が悲しい。

 シンラなんかは俺に胡坐をかいて座らせ、窪みの所に自分のお尻を入れて、左右にプラムとシオンを装備して、その上で後ろから俺に3人を守るようにお腹に手を回させている。

 この様子を見て妻たちは、少しは反省してくれたようだ。着せ替え人形は相当苦だったのだと気付いてもらえたようだぞ。シンラの強固な姿勢嫌いじゃないぞ。

 出発するから準備が終わったら集まるようにみんなへ伝える。

 俺は……必需品のブッ君は常に持ち歩いているので、荷物は問題ない。足りなければ召喚すればいいだけだしな。こだわりがあるとすれば、パンツ位だ。ブリーフやトランクスはダメだ。苦手なのでボクサーパンツがあれば問題ない。

 俺の下着の好みなんて聞いて得する人間もいないので忘れよう。服も基本的にはこだわりがなく、今は妻たちが交換する服を、ブラウニーたちがコーディネートしてくれているんだよな。

 ただ1つだけ注文を付けていることがあった。タグとかがチクチクして苦手なので、首の後ろのやつは取っている。ボクサーパンツの腰付近に来るタグも苦手なので、とるようにお願いしている。

 食事の時みたいにテコでも動かない雰囲気のシンラたち3人のせいで、俺はボーっとするしかできない。俺に守られている3人は、近くから妻たちがいなくなったので少し安心しており、プラムとシオンと一緒にアニメを見始めた。

 う~ん、さすがに少女アニメはおじさんには辛いかな……

 黄昏るしかなくなったので、スライムを呼んで俺の背もたれになってもらった。体勢をあまり変えすぎるとシンラたちに怒られるので、結構背筋が伸びている状態だ。

 20分もすると準備が終わったのか、みんなが食堂へ集まってきた。

 点呼を取ってダンジョン農園に作ったゲートから、マイワールド内に設置した船に直接移動する。

 移動の時には着せ替え人形にならないのに、シンラたちはまだ警戒をしていて、俺が3人を運ぶことになった。3人も成長しているので、抱きかかえるのが大変だと言ったら、シンラが肩車の状態になり、シンラとプラムは俺にダブルバイセップスのように腕を動かさせ、力こぶの所へ座っている。

 移動の間だけならまあ耐えられるので、俺が我慢することになった。

 到着すると、ウルやミーシャたちは、久しぶりの船に大はしゃぎだ。シンラたちは、良く分からないがテンションが上がっており、俺の頭をバカスカ叩いてくる。

 こらこら、そんなに頭を叩いてはしゃがないの! 力こぶを作る体勢で移動しているから、結構きつい体勢なんだぞ!

 そんなことを言っても、耳に入っていないためバシバシ叩くのは変わらない。妻たちに助けてもらいたいが、先ほどの事もありシンラたちに警戒されていて、あまり近付いてこない……本当に貧乏くじばかり引いている気がするわ。

 さて、俺はシンラたちを連れて操縦室へ移動する。普通なら、誰かが操縦し続けないといけないのだが、今回は誰かに操縦させるつもりはなく、各エリアの入り口に船を入れると、水流で移動するように工夫している。

 かなり大きな船なので、どのくらいの速度が出るか実験できていない。今日の移動で大体の速度を割り出して、他のエリアの水の流れを考える予定だ。

 シンラたちを操舵室の窓の近くへ座らせて、どこへ向かいたいか聞いてみることにした。

 見事に3人とも違う方を指したので、どうやって決めるか考えていたら、3人がジャンケンを始め、シオンが勝ったのでシオンが指を指した方へ向かう。どのエリアに到着するんだろうな。

 船の運転免許なんて持っていないが、スキルの宝珠で運転を覚えたので、問題なく操縦することができている。

 しばらく走らせていると、シオンがここ! と言って、強く言うエリアへ船を動かしていく。

 ここは……あ~いきなり富士山のエリアか、本栖湖から見える景色を作ったから……一度降りることになるのだが、今日いきなりは微妙じゃないだろうか……

 船を動かしていると、ここではなくもう1つ隣の所だったようで、怒られてしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...