2,201 / 2,518
第2201話 とうとう受け入れ開始
しおりを挟む
あれから2日ほど整備に時間を費やし、避難民用の街が一先ず完成した。
門の外、帝国の領地内には既に……2000人ほどの避難民たちが押し寄せている。もっといたような気もしたが、入れないと考え移動している人たちもいるみたいだ。ここで待つよりは帝国の中心……帝都まで行った方が何とかなると考えた人たちだろう。
整備が終わった次の日、レイリーが駐屯地から兵士たちを引き連れ、街の確認を再度してくれた。
俺たちは指示された通りに作っただけなので、細かい部分に問題がないかの確認を兼ねて、詳細を知らない兵士たちに確認してもらっている。
いくつか問題があったが、大きなものではなく本当に小さなもので、正直どっちでもいいという判断を下すような物だったので、概ね使う分には問題ないだろうとの事だ。
新しく家を建てる資材も準備しており、区画ごとにある程度まとめて置いてある。資材の管理はかなり面倒なことだが、避難民たちを支援するというスタンスなので、俺たちが中心になって動くことは無いだろう。動く場合は、反乱分子……工作員を排除する時とかだろう。
おっと、忘れていたダゴンを召喚して、俺たち家族の命令をプライオリティの最上位にして、次にレイリー、副官たちの順で登録しておく。
普段はプライオリティの設定などはしないのだが、完全に俺の手から離れた場所で活動することになる魔物なので、しっかりと命令のプライオリティを設定した。これで、俺たちの命令を最上位として、レイリーたちの命令に従う形になる。
常にレイリーや副官たちが命令を出すわけではないので、この3人が次のプライオリティの人間を指定することで、ダゴンが働きやすくなるようにしている。
基本的には、外堀を越えて侵入するモノの捕縛と排除、街の中の情報収集をシャドーたちと連携して行うように命令しているが、細かな命令を出せるように、何人かには命令権を渡す形で対応している。
俺と妻たち、グリエル、ガリア、レイリー、ゼニス以外は知らない命令で、今までの命令の最上位に、命令権を持っているモノから、人を排除するような命令が出された場合は、その場で捕縛するようにしている。
命令権を渡す人間に裏切り者が出るとは思わないが、魔が差してしまい……とか、神たちの干渉で……とか、不確定要素によって命令が出される可能性もゼロではない。その対策として、そう言った命令が出た場合は、命令者を捕縛するようにしている。
この内容を知っている人間からの命令であれば、街の中の人間を全部殺すことは可能である。
これもほぼあり得ない事ではあるが、神たちの干渉で対応しきれないとなった場合に、ダゴンに指示を出して全員を殺す可能性があると考えての対策だったりする。
まだまだ不備はあるが、完璧を目指していたら先が果てしないので、7~8割方大丈夫なら何とかなるだろう。
レイリーから、明日より避難民の受け入れを開始していくことが、兵士やディストピアの関係者に通達される。ついでに、グリエルから皇帝へも受け入れを開始する旨が報告されている。
俺は最後の仕事で、避難民の街へ入るための通路を領地を区切る壁の中に作っている。避難民はここを通らないと出入りができないようにするためだ。計画の一番初めに決まった事だったかな。その通路をホリホリしている。
領地内へ入るための説明などを受ける場所も一緒に作っていく。通路だけなら壁の中でもよかったのだが、説明する場所や馬車が通ることも考えると、壁では幅が足りなかったので、埋め直してから地下に広く空間を作りなおしている。
すべての準備が終わって、拠点で帰り支度を始める。
全部の仕事が終わったので、ディストピアに帰るために準備をしていたのだ。
そんな中レイリーが慌てて拠点に来たので、何かトラブルがあったのかとビビったが、
「シュウ様、帰るのはまだ早いです。嘘発見魔法を使ってもらうことになっているのに、帰られては困ります。初めの受け入れの時は、人数が多いので協力を要請していたのを忘れていませんか?」
そう言われて、しっかりとあぶりだすために宣誓のような物をさせて、工作員を見つけ出す予定だったのを思い出す。隠し部屋みたいなのも言われた通りに作って、何の部屋だろうか? って考えていた自分が恥ずかしい。
本来の計画では、受け入れる際には持続的に妻たちの誰かに協力してもらい、噓発見魔法を使ってもらう予定だった。でも、最近になって軍の中にも使える人間が3名出てきたので、初期の受け入れとまとめて数百人受け入れる時に、協力してもらう形になっていた。
普段の受け入れは、この3人が中心になって隠し部屋から調べていくそうだ。
妻たちが俺の帰り支度を止めなかったのは、俺はいてもいなくても変わらないので、先に帰るならそれでもいいと思われていたようだ。妻たちも全員があの魔法を使えるわけではないので、俺と一緒に帰るグループと残るグループに分かれるつもりだったようだ。
レイリーが帰るのは待ってほしいと言ったので、初期の受け入れは手伝ってから帰ることにした。
日が変わり、噓発見魔法を使えるグループは、隠し部屋へ来ている。残りの妻たちは、兵士たちに混じって避難民たちを受け入れる街で、炊き出しの手伝いをしている。
隠し部屋に来る前に、炊き出しを準備している兵士たちの所へ寄ったのだが、少し緊張をしている様子だった。俺の妻たちは、魅力的な女性が多いから、手を出そうとするやつがいないか心配しているのだとか。
確かにそんな奴がいたら、俺がマジギレするだろう。だから緊張しているのだと思ったが、俺がキレる前に妻たちが暴れないかを心配しているようだった。手を出そうとした人間が死のうがどうでもいいが、周りに影響が出ると困ると炊き出しを担当している隊長が言っていた。
妻たちが暴れたら、止められる人間がいないので、そういう意味で緊張していたのだ。
ちょっと肩透かしを食らったが、妻たちの実力を考えれば、不意打ちで攻撃されても問題なく対処できる程度の人間しかいない。もし隠れた実力者で、即死の猛毒を仕込んだ短剣が刺さったとしても、全員に最高品質の万能薬とエリクサーを持たせているので、問題ないはずだ。
スライムたちもシャドーも護衛として付き添わせるし、妻たちに危害が加わるなら、シャドーが身代わりになるように命令しているので、万が一も無いと思う。
もし暴れたら連絡してくれ、止められるかは分からないけど、対応はするからさ。
受け入れる前から少し疲れたが、兵士たちによる避難民たちの説明会が始まった。
門の外、帝国の領地内には既に……2000人ほどの避難民たちが押し寄せている。もっといたような気もしたが、入れないと考え移動している人たちもいるみたいだ。ここで待つよりは帝国の中心……帝都まで行った方が何とかなると考えた人たちだろう。
整備が終わった次の日、レイリーが駐屯地から兵士たちを引き連れ、街の確認を再度してくれた。
俺たちは指示された通りに作っただけなので、細かい部分に問題がないかの確認を兼ねて、詳細を知らない兵士たちに確認してもらっている。
いくつか問題があったが、大きなものではなく本当に小さなもので、正直どっちでもいいという判断を下すような物だったので、概ね使う分には問題ないだろうとの事だ。
新しく家を建てる資材も準備しており、区画ごとにある程度まとめて置いてある。資材の管理はかなり面倒なことだが、避難民たちを支援するというスタンスなので、俺たちが中心になって動くことは無いだろう。動く場合は、反乱分子……工作員を排除する時とかだろう。
おっと、忘れていたダゴンを召喚して、俺たち家族の命令をプライオリティの最上位にして、次にレイリー、副官たちの順で登録しておく。
普段はプライオリティの設定などはしないのだが、完全に俺の手から離れた場所で活動することになる魔物なので、しっかりと命令のプライオリティを設定した。これで、俺たちの命令を最上位として、レイリーたちの命令に従う形になる。
常にレイリーや副官たちが命令を出すわけではないので、この3人が次のプライオリティの人間を指定することで、ダゴンが働きやすくなるようにしている。
基本的には、外堀を越えて侵入するモノの捕縛と排除、街の中の情報収集をシャドーたちと連携して行うように命令しているが、細かな命令を出せるように、何人かには命令権を渡す形で対応している。
俺と妻たち、グリエル、ガリア、レイリー、ゼニス以外は知らない命令で、今までの命令の最上位に、命令権を持っているモノから、人を排除するような命令が出された場合は、その場で捕縛するようにしている。
命令権を渡す人間に裏切り者が出るとは思わないが、魔が差してしまい……とか、神たちの干渉で……とか、不確定要素によって命令が出される可能性もゼロではない。その対策として、そう言った命令が出た場合は、命令者を捕縛するようにしている。
この内容を知っている人間からの命令であれば、街の中の人間を全部殺すことは可能である。
これもほぼあり得ない事ではあるが、神たちの干渉で対応しきれないとなった場合に、ダゴンに指示を出して全員を殺す可能性があると考えての対策だったりする。
まだまだ不備はあるが、完璧を目指していたら先が果てしないので、7~8割方大丈夫なら何とかなるだろう。
レイリーから、明日より避難民の受け入れを開始していくことが、兵士やディストピアの関係者に通達される。ついでに、グリエルから皇帝へも受け入れを開始する旨が報告されている。
俺は最後の仕事で、避難民の街へ入るための通路を領地を区切る壁の中に作っている。避難民はここを通らないと出入りができないようにするためだ。計画の一番初めに決まった事だったかな。その通路をホリホリしている。
領地内へ入るための説明などを受ける場所も一緒に作っていく。通路だけなら壁の中でもよかったのだが、説明する場所や馬車が通ることも考えると、壁では幅が足りなかったので、埋め直してから地下に広く空間を作りなおしている。
すべての準備が終わって、拠点で帰り支度を始める。
全部の仕事が終わったので、ディストピアに帰るために準備をしていたのだ。
そんな中レイリーが慌てて拠点に来たので、何かトラブルがあったのかとビビったが、
「シュウ様、帰るのはまだ早いです。嘘発見魔法を使ってもらうことになっているのに、帰られては困ります。初めの受け入れの時は、人数が多いので協力を要請していたのを忘れていませんか?」
そう言われて、しっかりとあぶりだすために宣誓のような物をさせて、工作員を見つけ出す予定だったのを思い出す。隠し部屋みたいなのも言われた通りに作って、何の部屋だろうか? って考えていた自分が恥ずかしい。
本来の計画では、受け入れる際には持続的に妻たちの誰かに協力してもらい、噓発見魔法を使ってもらう予定だった。でも、最近になって軍の中にも使える人間が3名出てきたので、初期の受け入れとまとめて数百人受け入れる時に、協力してもらう形になっていた。
普段の受け入れは、この3人が中心になって隠し部屋から調べていくそうだ。
妻たちが俺の帰り支度を止めなかったのは、俺はいてもいなくても変わらないので、先に帰るならそれでもいいと思われていたようだ。妻たちも全員があの魔法を使えるわけではないので、俺と一緒に帰るグループと残るグループに分かれるつもりだったようだ。
レイリーが帰るのは待ってほしいと言ったので、初期の受け入れは手伝ってから帰ることにした。
日が変わり、噓発見魔法を使えるグループは、隠し部屋へ来ている。残りの妻たちは、兵士たちに混じって避難民たちを受け入れる街で、炊き出しの手伝いをしている。
隠し部屋に来る前に、炊き出しを準備している兵士たちの所へ寄ったのだが、少し緊張をしている様子だった。俺の妻たちは、魅力的な女性が多いから、手を出そうとするやつがいないか心配しているのだとか。
確かにそんな奴がいたら、俺がマジギレするだろう。だから緊張しているのだと思ったが、俺がキレる前に妻たちが暴れないかを心配しているようだった。手を出そうとした人間が死のうがどうでもいいが、周りに影響が出ると困ると炊き出しを担当している隊長が言っていた。
妻たちが暴れたら、止められる人間がいないので、そういう意味で緊張していたのだ。
ちょっと肩透かしを食らったが、妻たちの実力を考えれば、不意打ちで攻撃されても問題なく対処できる程度の人間しかいない。もし隠れた実力者で、即死の猛毒を仕込んだ短剣が刺さったとしても、全員に最高品質の万能薬とエリクサーを持たせているので、問題ないはずだ。
スライムたちもシャドーも護衛として付き添わせるし、妻たちに危害が加わるなら、シャドーが身代わりになるように命令しているので、万が一も無いと思う。
もし暴れたら連絡してくれ、止められるかは分からないけど、対応はするからさ。
受け入れる前から少し疲れたが、兵士たちによる避難民たちの説明会が始まった。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる