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第2196話 大切なモノを忘れていた
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シンラの怒りゲージを解消してから眠りについた。
次の日目が覚めキッチンへ向かうと……そこにはバザールと綾乃がいて、ブラウニーたちに自動スライサーの説明をしていた。試作品なので、業務用に開発された物をDPで召喚して、それを見ながら既存のスライサーを改造しているらしい。
あまり複雑な機構だと、この世界の技術で再現できないので、分かりやすい仕組みだった。
簡単に言えば、足漕ぎミシンの応用でメインの車輪の回転に合わせて、スライサーを前後に動かすという物だ。上から食材を入れると食材の重さで固定され、野菜がどんどんスライスされていくという物だ。
自動スライサーとは違う形の機械も置かれており、何かと思って聞いてみた。
「お肉を一定の厚さに切るのは、時間がかかるからどうにかならないかって相談されたから、食肉加工所なんかで使われている、肉専用のスライサーも一緒に作ったの。こっちは、召喚したものをゴーレム化しただけね。さすがに、これを商品化するのは面倒だからね。需要もそう多くないし、ブラウニーたちのいる場所に配置するだけでいいかなって」
なるほどな。大量に食事を作る時に、肉の加工って大変だもんな。角切りならまだいいけど、薄切りとなれば時間がかかるよな。それを今まで頑張ってやってくれていたかと思うと、ブラウニーたちには頭が上がらないな。
肉専用のスライサーは、円盤状の刃物を高速で回して、厚さを決めて肉をスライドさせることで、野菜のスライサーみたいに一定の厚さで肉を加工することができる。
実際に使ってみると、かなり便利だということで、肉専用スライサーの量産をバザールが命令されていた。
100台ほどは欲しいから、今日中に作っておくように! だってさ。スカーレットさんやい。容赦ないね……
1度作っているから、スライサーを召喚してクリエイトゴーレムを使うだけで、あら不思議……完成してしまいました! となる。魔核はコピーすればいいので、2代目以降は1分もかからずに作ることが可能になっている。
精密機械でも単一の用途の場合は、魔核にかき込む情報も少なくて済むので、1台目もそんなに時間はかかっていないのだとか。
その証拠に、魔核にかき込まれた情報は、魔力を電気に変換して動力にする・スイッチのオンオフで電気をスライサーに流す・全体の構造強化・自己修復の4つしか書き込まれていない。
色々なことをさせると、その分かき込む情報が増えるので、初めて作る時は色々考えて作らないといけないから、大変なんだよな。
DPは多めに渡しておくから、量産頼んだぞ。野菜の方もたくさん欲しいみたいだから、業務用のをそのままゴーレム化でもいいぞ。製品化する時は、今回作った奴を元にさせればいいから、そっちは回収しておけよ。
朝からバタバタしていたが、俺の1日は変わらず進んでいく。徹夜したらしいグリエルたちは、寝ぼけ眼のまま食事をとっていた。お昼まで仮眠をとって、昼食を食べてからディストピアに帰るそうだ。
奥さんたちも、俺の妻たちと楽しんだようで、満足そうな表情をしている。急だったけど呼び出してよかったかな。普段とは違う過ごし方ができて、貴重な体験になったみたいだな。
さて仕事に行きますかな。
ウルたちは、今日は仕事についてこずに、1日ゆっくりするそうだ。
本来なら休みなんだから、ウルたちには休んでもらいたい。俺は……優先順位があるので、それが終わってから休むことにするよ。
避難民の街は、区画整理がすでに終わっている。インフラはまだだが、道路は整備されていて、一つひとつの家の敷地も区切られている。
移住するように作っている街なら、複数の敷地を統合して家を建てることを許可するのだが、今回は避難民たちが住むということで、そう言った事を一切認めるつもりはない。
避難民でもお金を持っている人間が、大きな家を作る可能性があるので、不公平にならないように正式に傘下に入るまでは、決められた敷地内に家を建て住んでもらう予定だ。
豆腐建築で簡単に作れる建物を、200~300軒用意して、その後は石やモルタルなどを準備して、避難してきた人たちに作らせるつもりだ。
すぐに畑仕事ができるわけでもないので、日中の空いている時間は自分たちで、家を建ててくれということだ。食料もこっちで準備するのだから、後は頑張ってくれ……といった感じだな。
資材置き場もいくつか作っておかないとな。あまり遠くにあると運ぶだけで大変なので、中心の1区画を資材置き場にするのもありかな?
下水は、いつもと同じように街の下に空洞を作り、そこへ下水を流し込んでスライムでキレイにする方式だ。排水は、専用のダンジョンへ流れるように作る。周りは掘がありダゴンも常駐するので、スライムでキレイになったとはいえ、堀に流すつもりは無い。
下水処理のスライム層は高く作るつもりは無いので、そこまで時間はかからないだろう。
「シュウ、今更なんだけど上水ってどうしよっか?」
言われて気付いた。ここって井戸掘れないし、使える水が堀しかないんだが……
「堀の水を使うか……川から水を引いてきて、水車で壁の上まで運んで、そこから各地に流す……1区画10軒程度に1つ蛇口をつけるか。公衆浴場を準備して、衛生面は大丈夫かな? 浄水橋も作らんといけないな。午前中にスライム層を作って、午後は上水の配置を考えるか」
生活するうえで一番大切な水の事をすっかり忘れてたな。
バレルの街を作った時は、真っ先に水を確保したのに、今回はみんなが忘れていた。近くに水源があったり魔道具で解決していたせいか、ポカしてしまったな。
避難民たちが来る前に気付けたから良しとしよう。
スライム層への入り口も、駐屯地に作るべきだろう。公衆浴場は少し手間だけど、駐屯地で作ったお湯を流している体にして、専用の魔導具を準備するか? 魔道具の管理を考えると、本当に駐屯地から送り出した方がいいかもしれんな。
そこらへんは、またあとで考えるとして、さっさとスライム層を作りますかな。
次の日目が覚めキッチンへ向かうと……そこにはバザールと綾乃がいて、ブラウニーたちに自動スライサーの説明をしていた。試作品なので、業務用に開発された物をDPで召喚して、それを見ながら既存のスライサーを改造しているらしい。
あまり複雑な機構だと、この世界の技術で再現できないので、分かりやすい仕組みだった。
簡単に言えば、足漕ぎミシンの応用でメインの車輪の回転に合わせて、スライサーを前後に動かすという物だ。上から食材を入れると食材の重さで固定され、野菜がどんどんスライスされていくという物だ。
自動スライサーとは違う形の機械も置かれており、何かと思って聞いてみた。
「お肉を一定の厚さに切るのは、時間がかかるからどうにかならないかって相談されたから、食肉加工所なんかで使われている、肉専用のスライサーも一緒に作ったの。こっちは、召喚したものをゴーレム化しただけね。さすがに、これを商品化するのは面倒だからね。需要もそう多くないし、ブラウニーたちのいる場所に配置するだけでいいかなって」
なるほどな。大量に食事を作る時に、肉の加工って大変だもんな。角切りならまだいいけど、薄切りとなれば時間がかかるよな。それを今まで頑張ってやってくれていたかと思うと、ブラウニーたちには頭が上がらないな。
肉専用のスライサーは、円盤状の刃物を高速で回して、厚さを決めて肉をスライドさせることで、野菜のスライサーみたいに一定の厚さで肉を加工することができる。
実際に使ってみると、かなり便利だということで、肉専用スライサーの量産をバザールが命令されていた。
100台ほどは欲しいから、今日中に作っておくように! だってさ。スカーレットさんやい。容赦ないね……
1度作っているから、スライサーを召喚してクリエイトゴーレムを使うだけで、あら不思議……完成してしまいました! となる。魔核はコピーすればいいので、2代目以降は1分もかからずに作ることが可能になっている。
精密機械でも単一の用途の場合は、魔核にかき込む情報も少なくて済むので、1台目もそんなに時間はかかっていないのだとか。
その証拠に、魔核にかき込まれた情報は、魔力を電気に変換して動力にする・スイッチのオンオフで電気をスライサーに流す・全体の構造強化・自己修復の4つしか書き込まれていない。
色々なことをさせると、その分かき込む情報が増えるので、初めて作る時は色々考えて作らないといけないから、大変なんだよな。
DPは多めに渡しておくから、量産頼んだぞ。野菜の方もたくさん欲しいみたいだから、業務用のをそのままゴーレム化でもいいぞ。製品化する時は、今回作った奴を元にさせればいいから、そっちは回収しておけよ。
朝からバタバタしていたが、俺の1日は変わらず進んでいく。徹夜したらしいグリエルたちは、寝ぼけ眼のまま食事をとっていた。お昼まで仮眠をとって、昼食を食べてからディストピアに帰るそうだ。
奥さんたちも、俺の妻たちと楽しんだようで、満足そうな表情をしている。急だったけど呼び出してよかったかな。普段とは違う過ごし方ができて、貴重な体験になったみたいだな。
さて仕事に行きますかな。
ウルたちは、今日は仕事についてこずに、1日ゆっくりするそうだ。
本来なら休みなんだから、ウルたちには休んでもらいたい。俺は……優先順位があるので、それが終わってから休むことにするよ。
避難民の街は、区画整理がすでに終わっている。インフラはまだだが、道路は整備されていて、一つひとつの家の敷地も区切られている。
移住するように作っている街なら、複数の敷地を統合して家を建てることを許可するのだが、今回は避難民たちが住むということで、そう言った事を一切認めるつもりはない。
避難民でもお金を持っている人間が、大きな家を作る可能性があるので、不公平にならないように正式に傘下に入るまでは、決められた敷地内に家を建て住んでもらう予定だ。
豆腐建築で簡単に作れる建物を、200~300軒用意して、その後は石やモルタルなどを準備して、避難してきた人たちに作らせるつもりだ。
すぐに畑仕事ができるわけでもないので、日中の空いている時間は自分たちで、家を建ててくれということだ。食料もこっちで準備するのだから、後は頑張ってくれ……といった感じだな。
資材置き場もいくつか作っておかないとな。あまり遠くにあると運ぶだけで大変なので、中心の1区画を資材置き場にするのもありかな?
下水は、いつもと同じように街の下に空洞を作り、そこへ下水を流し込んでスライムでキレイにする方式だ。排水は、専用のダンジョンへ流れるように作る。周りは掘がありダゴンも常駐するので、スライムでキレイになったとはいえ、堀に流すつもりは無い。
下水処理のスライム層は高く作るつもりは無いので、そこまで時間はかからないだろう。
「シュウ、今更なんだけど上水ってどうしよっか?」
言われて気付いた。ここって井戸掘れないし、使える水が堀しかないんだが……
「堀の水を使うか……川から水を引いてきて、水車で壁の上まで運んで、そこから各地に流す……1区画10軒程度に1つ蛇口をつけるか。公衆浴場を準備して、衛生面は大丈夫かな? 浄水橋も作らんといけないな。午前中にスライム層を作って、午後は上水の配置を考えるか」
生活するうえで一番大切な水の事をすっかり忘れてたな。
バレルの街を作った時は、真っ先に水を確保したのに、今回はみんなが忘れていた。近くに水源があったり魔道具で解決していたせいか、ポカしてしまったな。
避難民たちが来る前に気付けたから良しとしよう。
スライム層への入り口も、駐屯地に作るべきだろう。公衆浴場は少し手間だけど、駐屯地で作ったお湯を流している体にして、専用の魔導具を準備するか? 魔道具の管理を考えると、本当に駐屯地から送り出した方がいいかもしれんな。
そこらへんは、またあとで考えるとして、さっさとスライム層を作りますかな。
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