ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2192話 朝まで

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 お姉さん組はまだ眠くなさそうだが、シンラたちはお風呂から上がったころには、ウトウトして舟をこいでいた。3人に服を着せ、サクッと寝室へ向かった。

 3人の特等席に寝かせると、シンラを左右からガッチリとプラムとシオンが固める体勢になり、シンラは少し険しい顔をして、眠りについた。

 ウルたちは、ポータブルゲーム機で少し遊んでから寝るようだ。俺たちがゲームをしていたから、自分たちも遊びたくなったのかもしれないな。もともとゲームは好きな子たちだし、ゆっくりと楽しんでくれ。でも、12時には寝るんだぞ。

 その頃には妻たちの誰かが来るだろうから、注意してくれると思うが、時間は守るようにお話ししておいた。

 俺はグリエルたちに呼ばれているので、東屋に戻ってきた。お風呂に行った時と変わらないテンションで、3人がゲームを始めていた。この3人がここまでゲーム好きだとは、本当に知らなかったわ。

 グリエルとガリアは、趣味は仕事! ゼニスは、趣味はお金稼ぎ! とか言ってそうなので、ちょっと心配していたが、堅物に限って息抜きになるゲームが好きになったのかもな。

 定年過ぎても再雇用で70歳までバリバリ働いてた人が、退職してすぐに認知症になってしまったって話もあるし、仕事と趣味は分けておかないと危ないのかな?

 因果関係は確か証明されていないけど、そういう可能性もあるって話だしな。以外に老後は、適度に運動して、ゲームなどをして過ごした方が、健康に良かったりするのかな?

 孫が遊びに来た時に、一緒にゲームができるかもしれない……悪くないんじゃないだろうか?

 そんなことを考えているおれは、寿命が無く回復魔法やポーション類で認知症を予防できるから、問題になるのは……長くいきすぎることによる、無力症にならないかってとこだよな。

 ドワーフは鍛冶と酒があれば寿命まで生きる奴が多いが、エルフは寿命が尽きる前に自殺をしてしまう者が多いって話だからな。先の事は分からん! 一人で考える事でもないから、次の機会に考えよう。

 俺がお風呂に行っている間に、攻略状況が追い付くということも無く、遅れてきたのに俺が独走状態のままだ。何回かやったことあるというアドバンテージはデカいな。死に覚えゲーでもあるから、俺が有利な状況は変わらない。

 っと、ゲームを始めようとすると、さっき頼んでいた原宿スタイルのクレープが出てきた。個人的に一番好きなチョコバナナ! 王道だけど、美味いよね!

 食べるかゲームするか悩んだが、持つ所がしっかりと原宿スタイルらしく、硬い紙でおおわれていて置けるスタンドまで準備してくれていた。至れり尽くせりだな。

 結論は、食べながらゲームをする。

 グリエルたちも食べながらしているしな。死んだり休憩できる場所でつまんで飲んで、またゲームを進めるといった感じで遊んでいる。

 この3人は変わらず枝豆をポリポリと食っているな。手拭きタオルが何個も準備されており、20分に1度くらいのペースで交換されている。使っても使わなくても交換する徹底ぶり。もちろん俺の所にも出てきたよ。

 23時頃になると、妻たちがちらほらと拠点へ戻り始めた。ミリーたちやグリエルの奥さんたちは、まだまだ飲むようで楽しそうにお話をしている。ミリーたちが飲み始めたのは、バーべキューの中盤位だから、まだそこまで酔ってはいないみたいだ。

 朝までコースかもしれないが、大丈夫なのだろうか? ブラウニーたちや、さっき交換したってことは、夜勤組だよね? あっちの方もしっかり見といてください。多分大丈夫だと思うけど、何かあったら心配なのでよろしくお願いします。

 24時過ぎてもオッサン3人は、クソッ! とか、くんな! くたばれ! とか罵声をゲームの画面に向かってあげている。俺たちのいるエリアに遮音結界をしているので、拠点に届くことは無いが、酔っぱらっているためかとにかくうるさい。

 俺自身は声を出してゲームをするタイプではないので違和感しかないが、罵声ではあるが楽しそうな声なのでまぁ大丈夫か。

 縛りプレイとかもしたことがあるけど、だからと言って簡単にクリアできるわけじゃないんだよな。RTAの面白いところは、人によってラインが違うが、ある一定のレベルでプレイできる人間がゲームをしなくなると、技術が衰えて同じようにできなくなるのだ。

 ピアノで例を挙げるなら、1日練習しない日があると、遅れを取り戻すのに3日かかると言われている。実際に3日分衰えるわけではないが、それだけ芸術家たちの練習は重要だという話なのだ。

 久々とはいっても、ある程度感覚は取り戻せたので、朝までにはクリアは可能だろう。

 それにしても、こいつらこんなにお酒飲んで眠くならないのかね? 俺はあんなに飲めば、べろべろになってすぐに眠たくなってしまうのだが、人によってアルコールが与える影響って違うんだな。

 ドワーフなんか、鍛冶仕事して汗をかいた後に、酒を飲むとかありえないことをするからな……地球の人間がやったら、結構な確率で死にそうな行動だよな。

 あいつらの肝臓には、アルコールを分解するのに水を使う必要は無くて、エネルギーと水分を作り出す可能性がありそうだな。少なくとも、前者は確実に備わっている機能だろう。そうじゃなければ、脱水症状時に酒を飲むとかありえん。しかも度がキツイ、40%以上の物とかをガバガバ飲むからな。

 でもこのオッサン3人は、ドワーフじゃないのにこんなに飲んでも平気なのだろうか?

 ゲームをしながら心配していると、こっそり近付いて来たブラウニーが、

「あの人たちのお酒は、ドンドン弱くしているので、今はほぼアルコールが入っていない状態です。炭酸系と柑橘系で誤魔化していますので、あそこまで酔っていれば、気付かれないと思います」

 だってさ。グリエルたちも飲み過ぎの時に大変なことになったらしく、奥さんたちからもお願いされているので、誤魔化す飲み物を研究したのだとか。素面の時に飲めば、ただの柑橘系の炭酸だと分かるけど、酔っていれば分からないみたいだな。

 でも、ドワーフたちには通用しないので、ドワーフも誤魔化せるものが無いか研究中なのだとか。

 飲みすぎる人は、誰かにアルコールの管理をしてもらわないと、絶対に止められないからな……いい判断だ!

 その後も、ギャーギャー騒ぐ横で俺は黙々と進めていく。俺の中でテンプレの装備が揃ったので、朝の4時には何とかクリアすることができた。

 グリエルたちはまだ、3割ほどの所で苦戦中だな。あの3人は初めてやるんだから、こんなもんだろうな。

 俺はクリアした後は、さすがに眠くなったので、寝ることにした。今から妻たちのいるベッドに戻ると、誰かを起こしてしまいそうなので、寝室の隣に用意した部屋で寝ることにした。
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