ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,185 / 2,518

第2185話 強引過ぎるトップ

しおりを挟む
 食事が終わると、子どもたちはみんな満足そうな顔をしている。今日休みだった治療師の人たちも一緒に食事をしており、治療師たちも満足そうな顔をしている。

 子どもたちは、今自分たちが恵まれている事を治療師たちから聞いて、ある程度理解した上で俺にお礼を言ってきたので、少しむずがゆい。そして、今日配った無料食事チケットで、今日の食事もすることができるようにすると、ブラウニーたちが言ったので、子どもたちは喜んでいたな。

 他にも美味しいものは沢山あるが、ああいった食事はなかなかできる物じゃないからね。たまにのご褒美としては、ちょうどいい食事かもしれないな。

 苦労を知っている治療師たちは無駄使いはあまりしないといっていたが、こういった食事をできるように頑張るのも悪くないと考えているようだ。とはいえ、ブラウニーたちのお店は、利用するのが難しいからな……

 少し何かを考えてあげるべきかな?

 治療師たちは基本的に連休は無い。調整すれば問題ないのだが、同じような状況で働いているので、みんながみんなを思いやり、シフトのまま働いていることが多い。一勤一待機一休のシフトなので、労働時間だけで見ると、庁舎で働いている人たちよりかなり短い。

 といっても、ブラウニーたちのお店を利用するには、前日の予約に行って当日に食べるということが必要だ。状況によっては、休みが無くなることもあるので、予約とかなかなかできないのだ。

 治療師たちの勤務は、一勤……日勤帯で治療をすること。待機……いわゆる夜勤の当直に近い形。1日目が日勤、2日目が夜から朝まででそのまま3日目の休みに入る勤務形態だ。

 2日目の当直時に何もなければ、2日間の休みになるのだが、当直時にも平均で2~3人は人が来るので、完全な休みとなることはほとんどない。他にも、苦労していた経験からか、当直に入る結構前から待機して、必要があれば日勤帯と協力して治療することもあるらしい。

 ほとんどの治療院で、同じことが行われているが、注意する訳にもいかないので、超勤手当という形で給料を支給している。だからと言って、休みの日に働いても手当は出していない。働いただけお金がもらえると、考えられたら困るからだ。

 働いた対価に支払う分には、何の問題も無いが、無理して働いたせいで体調を崩されては困るので、休みの日は休むことが仕事だと、しっかりと教育してもらっている。緊急でお願いした場合などは、日勤帯を含めた全員にボーナスが支給されるようになっている。

 ここら辺は商会付属の治療院として、ゼニスが整えてくれたシステムだ。個人的には、当直の前も休んでほしいのだが、そこらへんは目をつぶってほしいとゼニスに言われたので、口を出していない。

 そんなこんなで、治療師たちはブラウニーたちのお店に行きにくい状況なのだ。

 でも、チケットの事を伝えた時の喜びを考えると、もう少し何とかならないか考えてしまう。

 休みというのがもどかしい……ここで休みじゃなければ、庁舎に足を運んでグリエルたちに相談できたのだが……

 そこで俺は閃く。

 グリエルたちを強制的に休みにして、俺の雑談に付き合ってもらうって言うのはどうだ? 日本じゃ考えられない思考にたどり着いた俺は、名案だとばかりにグリエルたちへ連絡を入れた。

『……はぁ。要は、シュウ様が暇だけど働いてはいけないので、私たちの仕事を休みにして、呼び出されたからと言って雑談に付き合ってほしいと……そういう事ですか?』

「端的に言えば、そういう事だな。仕事じゃなくて雑談だから問題ないだろ?」

『私たちのスケジュールは無視ですけどね……』

「あ~、なんか予定があるなら、無理にとは言わないけど、何かあったのか?」

『いえ、シルキーさんたちからもシュウ様が今日は休みになったと連絡があったので、関係のある物は全部後回しですね。1ヶ月くらい後回しにしても問題ない事ですので、特に何かあるわけではないです』

「だったら、雑談に付き合ってくれないか?」

『了解しました。すぐにはいけないので、1時間ほどしたらゼニスも含めて、会議室のあるマイワールドへ行きます。迎えに来てくださいね』

 了解っと。シルキーたちに、グリエルたちと雑談をするから東屋に、軽食やおつまみ、お酒を準備をしてほしいとお願いする。内容を聞いて、スカーレットが小言を言ってくるが、お酒も準備するというところで、仕事ではないと判断してくれたようだ。

 俺は、仕事の時は絶対に酒を飲むなと厳命しているので、ドワーフの爺さんたちですら守っている。たまに守らずに、お仕置きされる奴もいるが、ごく少数である。

 スカーレットがそれなら、グリエル、ガリア、ゼニスの奥さんも呼ぶことになり、すぐに参加できるか連絡を入れていた。3人とも問題なく来れるとのことだ。妻たちから、よくお酒を飲むミリー、カエデ、リンドも参加するように話がまとまっていた。

 1時間後にマイワールドへ迎えに行くと、6人が揃っていた。グリエルとガリアの奥さんに合うのは、久しぶりな気がするが、ゼニスの奥さんに合うのは……初めてじゃないか? 息子にはあったけど、奥さんは無かった気がする。

 妻たちとの交流は良くしているみたいなので、連れてきたミリーたちと仲良く話し始めている。

 ここで話すんじゃなくて、東屋で話してくれ。お酒もたっぷり用意しているし、食べ物だって好きな物を注文できるぞ!

 俺たちは仕事じゃないので、遊び感覚で話をするつもりだ。そのために、グリエルたちが準備をするといった1時間で、俺たちが使う予定の場所に、監視室に置いた簡易版の空間ディスプレイを設置している。

 俺の執務室にも設置したが、ほとんど使っていないシステムだな。

 これで、色々な情報を表示して、思い思いに話をしても面白いのでは? と考えて、DPを無駄遣いして設置した。後悔は無い!

 移動するまでに、昼に天ぷらを食べたことを話すと、グリエルたちも食べたくなったのか、小腹が空いたら注文しようという話になった。俺は、唐揚げでも頼むか?

 俺はお酒を飲むつもりは無いが、グリエルたちはお酒好きなので、多少は付き合うつもりである。夜になったらな。昼間から飲むつもりは無いぞ!

 俺たちと妻たちは席が違うが、あちらはあちらで楽しんでくれるだろう。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

処理中です...