ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2165話 訓練Part7

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 それにしてもこの遊撃部隊、面倒だな。それなりに打撃を与えているはずなのに、しっかりと建て直しやがる。一定以上の数をしっかりと集めて、攻撃してくるあたりが嫌らしい。もう少し少なければ、こっちももっと大胆に行けるのに……絶妙な数で、強引に進むと痛手を負いかねないんだよな。

 タフネス自体は高いけど、攻撃判定的には回復に時間がかかるということで、進軍を止めないといけなくなるのだ。それは困るので、少し慎重になって進んでいる。

 だけど、これじゃあ駄目だよな。最終的な勝ちは俺たちだろうけど、条件的には俺たちが有利だったはずなのに、こっち側が不利になってるな。おそらくレベル300位だったら、こっちの手札が先に尽きていたかもしれないな。

 先に進むためにピーチどうするんだ?

「土木組の皆さん、全周囲に壁を作ってください。少し時間をください」

 指示に従って土木組がドーム型の壁を作り出した。その中で俺たちは一息つく。真っ暗になってしまったので、ライトの魔法で明かりを確保する。緊急で作ったので空気穴が無かったため、俺が地面に干渉して複数の空気穴を作っておいた。

 休憩をはさみつつ、水分も補給する。時間的にはそんなに経っていないが、久々の実践に近い形の訓練なので緊張しているのだろう。妻たちの消耗が少し激しい気がする。一番は、土木組なんだけどな。

 この子たちは兵士ではなく、土木作業を担当している子たちなので、ここまで緊張した訓練をしたことは無いだろう。だからか、かなり息が上がっている気がするな。

 考えるための時間だったが、思っている以上に消耗していた土木組にとっては、よかったのかもしれないな。

 この子たちも盗賊退治とかはしているのだが、やはりレベルが高い集団の攻撃を受けながら進むのは、さすがに負担が大きすぎたかもしれないな。本人たちの希望だとはいえ、さすがに無茶だったか?

 少しの休憩をはさみ、ピーチが話しだした。

「状況が良くないです。と言っても、打開できるだけの攻撃はできません。こちらの負担が大きくなっているので、正攻法で行くのは止めましょう。使うつもりはありませんでしたが、邪道ではありますが、ここから先は地面の下を行きましょう。空気は、トンネルの途中で地面に穴を開けましょう」

 妥当な判断だろうか? 遊撃部隊はドームに攻撃を続けているので、ここにいると判断しているのだろう。

 地面を掘って進んだのは、煙幕に紛れていたので見ているやつはいないだろう。だけど、俺たちだと判断したら、地面を掘って進むという判断をする可能性があるのは、隊長クラスなら気付くだろう。ならば、

「ここで時間をかけると、こちらの意図がバレるかもしれませんので、すぐに移動しましょう。掘る順番は列の前の人が使って後ろに回る形にします。魔法組以外は、後ろの警戒を。シュウ様は、適当な間隔で空気穴を作ってください」

 ピーチがすぐに指示を出して行動を開始する。一番初めにピーチが基準となる洞窟を作った。

 ライムを先頭に魔法組と土木組が洞窟へ入っていく。その後に俺が入り、残りのメンバーが入ってくる。

 どのくらい進んだか分からないが、俺たちが入ってきた方向から何やら音が聞こえてきた。

「多分、気付かれましたね。このまま進んでいきましょう」

 ピーチはそのまま進んでいくことを判断した。

 敵が追いかけてくるような音は聞こえないが、何かしらの対策はたてるだろう。どういった方法でこちらの対策をするか楽しみだな。

 またしばらく進むと、

「ピーチさん、最後の方で魔法が何かの干渉を受けて、途中までしか穴を掘れませんでした」

 土木組の子から報告が入る。魔法に干渉する何かがあるのか? そんな技術なんてあったっけ?

 確認するために進んでいくと、魔法に干渉したと思われるモノを発見した。それを見て俺たちは悟った。土魔法では穴が掘れなかっただけで、干渉したわけではなかったようだ。

「まさかアダマンタイトの棒を埋めているとは思いませんでしたね。10メートルほどのアダマンタイト製の棒が、人の通れない間隔で撃ち込まれています。どかすことは出来ますが、時間がかかりそうなので地上を進みましょう。おそらく、地上へ出たらすぐに攻撃が来ますので、煙幕を張って一気に外へ出ます」

 ここに通路対策があるのなら、この付近で俺たちを待ち受けている可能性が高い。

 ピーチが最後の穴をあけ、地上への道を作る。続いてライムが、わざと煙幕が出るように魔法を調整して、広範囲に砂をまき散らす形で魔法を使う。

 地上へ出ると、煙幕に向かって魔法が使われているのが分かった。前衛組が先に出て防御陣形で、出てくる他のメンバーを守っている。

 ピーチがメンバー確認をとり、全員いることを確認して、駐屯地へ向かって一気に走り出す指示を出した。

 土煙から出ると、予想外の光景が目に飛び込んできた。

 俺たちが知る駐屯地の周囲は、多少塹壕が掘られているのは確認していたが、目の前のような状況ではなかったはずだ。

 駐屯地までの距離は分からないが、俺たちの前には塹壕だけではなく、土嚢のように積まれた何かやトーチカのような物まで準備されていた。そして、防衛部隊がしっかりと守りを固めているのが、見てわかる。

 しっかりとした陣地までは、およそ500メートルほどだな。魔法の射程距離を考えると、この辺がベターだったのだろう。駐屯地まで穴を掘らせないための対策から、地上に出る場所を考えると、あの位置に陣地を置くのがちょうどいいのだろう。

 守りを固めているので、俺たちの揺さぶりは今回は効かないだろう。あそこから出てくるときは、こちらを仕留められる状況になってからだろうな。

 迂回する手もあるが……迂回をしようとする方向には、遊撃部隊だった奴らがいるだろう。それはそれで、面倒なことになりそうだな。

「仕方ありません、正面から叩き伏せましょう。戦略的勝利は向こうにありますので、直接戦闘でこちらは勝利を得ましょう。土木組の皆さんは無理をせずに、無理そうだったらすぐに引いてください」

 最終的には正面から戦うことになるとは思っていたが、それは駐屯地に俺たちが入り込んでからだと考えていた。予想以上に兵士たちの作戦が上手くいってしまったな。
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