ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,119 / 2,518

第2119話 治療室の作成

しおりを挟む
「そういえば、予定よりだいぶ遅れた気がするけど、何かトラブルでもあったのかな?」

「いえ、志願する人が多かったので、キャラバンが遠回りをして拾ってきたそうです。他にも、今ほどの数ではありませんが、先の半数ほどが今向かっていると、連絡が入っていますね。全部で30人ほどの治療師が、今回参加してくださる形になりました」

 結構な数が集まったんだな。少し部屋が足りなくなりそうなので、後で鍛冶エリアとは逆に増築しておこう。他に聞くことは無いので、レイリーから確認しておきたいことは無いか聞いてみた。

「兵士たちの方で、治療師たちの待機場所を整備してはいるのですが、シュウ様や土木組の方たちのように、しっかりとした建物は作れないので、そちらの待機場所も整備していただけないでしょうか?」

 あれ? 軍にも土魔法使いの工作兵はいるよな? それなのに、建物を建てられないのか?

「工作兵は、壁であったり塹壕であったり、トーチカのような物は作れるのですが、人が待機するような建物は専門外でして、可能であればしていただけないかと思いまして」

 ただ箱を作るだけなら出来るなら……建物もいけるんじゃね? 箱を複数くっつけていけば、ユニット式の建物っぽくできると思うけどな。

 何かが違うのだろう。そう思って、俺はその仕事を引き受けることにした。何ヶ所作ってほしいのかを確認すると、5ヶ所作ってほしいとのことだ。

 駐屯地は大きく分けて5つのエリアに分かれているので、エリアに1ヶ所ずつ待機場所を作っているのだとか。これは、1ヶ所で待機していた場合、もし何かあったときに対処しにくいので、散らばって配置してもらえるように、レイリーが治療師たちにお願いしたそうだ。

 もしもの時とは、遠い位置で治療を必要とする人が出た場合、搬送も難しかった場合は、治療師が現場にいかなければならない。近い位置であればいいのだが遠かった場合、その人の生死にかかわる問題になる可能性っもあるので、均等に配置されることになったそうだ。

 魔法薬類も渡してはいるが、上級士官クラス以上しか、そういった時に対応できる魔法薬を渡していない。上級士官がいない場合は、応急処置用の魔法薬で治療師が来るのを待つ形になる。

 治療師が駆けつける前に、上級士官たちが走った方が早く付くのだが、対応できなかったときのために治療師たちが駆けつける体勢を整えているんだとさ。

 治療師たちの追加の部屋はまだ大丈夫なので、早ければ明日にでも使い始めるであろう待機場所の整備にいきますかね。

 四聖獣たちよ、行くから着いて来い。

 っとその前に、治療師たちの所へ寄っていこう。待機場所になるので、どんな設備が欲しいか聞いておこうと思っている。俺の考えだけで作ったら、使い勝手が悪いかもしれないしな。足りない設備とかもありそうで怖いな。

 いたいた。

「ちょっといいかな。君たちが働く場所についてなんだけど、どんな設備があると助かるのか教えてほしいんだけど、何か意見は無いかな?」

 待機できる場所があるだけでも十分と言われたが、それではこちらが困るので、みんなで考えて必要な設備をあげてもらった。実験的に駐屯地に作ってみて、問題が無ければこういった時用のプリセットパターンにしてもいいかもな。

 5分ほど話し合って出たのは、患者を横にならせるエリアとベッド、薬品類を管理する棚、清潔な水が使える設備、仮眠室、タオルなどを洗濯乾燥できる設備、が最低限欲しいと言われた。

 ベッドは、確かに無いと困るね。薬品類は……棚より収納の腕輪を貸し出すか。出勤の人が着けるようにしておけば、問題ないだろう。清潔な水は、治療に必要だからな、魔道具を準備しますか。仮眠室は、夜勤の人もいるから、必要になるよな。

 後は、洗濯乾燥できる設備か。洗濯は全自動で出来るようにしても、洗濯を干すのは大変だからな……乾燥機能を付けた魔道具を用意するか?

 治療院では、そこまで使いことは無いと思うけど、ここだとそんなにタオルとか必要になるのだろうか?

 疑問に思っていると、治療師の1人が答えてくれた。

「ここでは、兵士たちの訓練中や訓練後にも、ある程度の治療をしてほしいとお願いされているので、清潔なタオルに関しては、沢山必要になると思います」

 なるほどね。それは大量に必要になるわな。いくら兵士たちが洗濯を担当すると言っても、限界があるだろうな。兵士たちだって、洗濯だけをしているわけじゃないからな。

 洗濯乾燥に関しては、業務用の大きいサイズの洗濯乾燥機を、クリエイトゴーレムで魔導具化して、それを設置することにした。今度工房で物作りができるようになったら、乾燥機を考えてみるか。需要があるのか分からないが、面白そうだしな。

 オーケー、間取りに関しては、こっちで勝手に決めるけど、使いやすいように設計するから、多分大丈夫だと思う。

 サクッと移動してから、作業を始める。

 工作兵が整備したというだけあって、整地はしっかりできているな。こういうことに特化した兵種なのかね?

 治療する部屋とベッドのあるエリアは一体化して、治療できる場所を広く取れるようにしてみた。仮眠室はしっかりと鍵のかかるようにして、外に直結する扉も作った。

 洗濯乾燥室も、外と直結するように作った。ここは、兵士たちが手伝うために、出入りが簡単にできるようにした。

 洗面台と、一応シャワーを使えるようにしている。このシャワーは、治療するために流す時に使えるように、長く伸ばせるようにしている。

 うっし、こんなもんだろう。30分ほどで作り終えた。

 後4ヶ所だな。

 のんびりと駐屯地の様子を見ながら移動した。少し問題はあるみたいだが、それは訓練以外にすることがないから、間延びしてしまっている感じかね?

 残りの4つの治療室を作ってから、拠点へ戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...