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第2106話 有能な骨だった
しおりを挟むレイリーと1時間ほど話し合いをして、今後の方針を決めた後、そのままグリエルとガリアに連絡を入れ、方針を変えたことを伝える。
2人からも、問題ないとお墨付きをもらったので、工作員は排除する方向ではなく、利用する形になった。でも、安全を期すためにシャドーの増加を要求された。
何の安全かと思ったが、シャドーとかの話ではなく、対応する兵士たちの安全を期すために、情報収集をしっかりとしてくれとのことだった。
確かに、正確な情報は、戦況を覆す事があるから、情報収集に力をいれるのは間違っていない。正確な情報を元に先手をとれれば、うちの兵士たちであれば敗けはないだろう。
同数の兵士であれば、どこの国と戦っても勝てるとレイリーが自負していたけど、安全に戦える状況が作れるのであれば、安全に戦うことに否はない。
難民全体が暴動を起こすと仮定して、5000人ほどの兵士を連れてきたけど、この方法ならここまで数はいらなかったかもな。
そんなことを考えていると、
「シュウ様、余裕を持つことは悪いことではないですが、今のお考えは油断です。油断は特に思いがけないような事態になりかねないので、よろしくありませんね。シュウ様の国の言葉に、油断大敵と言うものがあるように、気を付けないといけないです。
シュウ様は分かっていると思いますが、油断と無能な味方が戦いにおいて、最も気を付けるべきです」
おっと、怒られてしまった。油断は確かによくなかった。油断は、無能な味方と同じくらい害悪だったとは思わなかった。言われてみれば、無能な味方って邪魔というか、味方に被害を与えるからな……邪魔っていうレベルじゃないもんな。
油断はそれと同じレベルなのか……さすがにそこまでの問題だとは思わなかったわ。
気を引き締めないといけないな。
とはいっても、シャドーって諜報に特化しているわけではないので、大丈夫だろうか? 魔物なので、意思疎通にちょっと問題があるんだよな。文字によるコミュニケーションができる固体が何体かいて、そいつを中心に話をしているんだよな。
「シュウ様、今回はバザールさんの許可も取りますので、コミュニケーションについては問題なくなると思います。ちょうどこちらに来ているので、そのままこちらで過ごしてもらおうと思っています。中心の拠点もありますし、守りが強くなりますので良い事だと思います」
バザールがいると守りが強くなるのは分かるけど、シャドーとのコミュニケーションに問題が無くなるのか……あれ? そういえば、アンデッド属性だったらいけるっていってたか?
そんなことを考えていると、シャドーはアンデッドだが、サイレントアサシンはスピリチュアル系統の魔物だと、レイリーが教えてくれた。
グリエルとガリアは、そこまで見越してシャドーの増員を頼んだのか。
「それなら、バザールに報酬を準備しないといけないな……直接何が欲しいか聞くか。バザールの方は、俺から話を出しておくから、あいつが来たらシャドーの使い方を相談してくれ。DPも渡しておくから、必要な分だけ召喚してくれ」
レイリーとの話し合いも終わり、拠点へ戻ることにした。水堀の渡り方は来た時と一緒で、シエルに乗って島まで移動する。水堀に囲まれた場所って、島と言っていいのか? そんなこと言うと、名古屋城とか島に建った城ってことになるな……それは違う。
といっても、呼称の仕方なんて分からんから、島のままでいいか。
さてと……バザールたちって今日は何してるんだ? 土木組を手伝うわけではなさそうだったから、2人で何かしてるのかな?
拠点に戻ってブラウニーたちに聞けば、誰かは知っているだろう。
って、探す必要もなかった。必要最低限で作っていた鍛冶エリアが変貌していたのだ。誰の仕業かなんて、言わなくても分かるというものだ。ここまでできるのは、あの2人だけだしな。シルキーか妻たちの誰かが許可して、魔改造を行っているのだろう。
2人に話を聞くと、許可は貰っていたのだが、俺の考えていた者とは違った。
どうも、ミリーからお願いされて、鍛冶エリアを改造していたらしい。ここの設備なら、金属系統装備なら修理と作成が可能だが、布地や革に関しては加工も修理も難しいので、最低限の作業ができるようにしてほしいと依頼されたんだとさ。
そんな話聞いてなかったけど、個人でのメンテナンスでは限界があるから、ドワーフが来るのであれば、一通りの作業は可能なはず。革系統の装備だって、使っている人は多いのだから、修理できる人がいた方が、助かるってもんだよな。
バザールにレイリーとの話し合いの事を伝え、協力要請が来ている事を伝えると、快く承諾してくれた。報酬の話をすると、マイワールドが欲しいと言われた……あげてなかったっけ? 1つは貰っているが、工房としてのワールドが欲しいと言われた。
なるほどね。専用の工房を作るってことか。ゲートに関しては俺しか作れないので、こことバザールの農園に1つずつゲートを作ることになった。こっちのゲートは、今回の依頼が終わったら壊すことで話が付いた。
綾乃も欲しがるかと思ったが、既に自分のマイワールドをバザールにカスタマイズしてもらって、自分好みに仕上げているので、欲しがることは無かった。
綾乃に関しては、バザールの協力のためにここに残るのなら、追加で報酬を出すことにしよう。
すぐに帰すつもりだったが、しばらくはディストピアに帰してあげられなさそうだな。まぁ、こいつらは自分たちが好きなように行動するから、問題でも起きない限りは、面白おかしく過ごすんだろうな。
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