ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,105 / 2,518

第2105話 方針のちょっとした変更

しおりを挟む
 レイリーに連れられて、上級士官の天幕に入った。一応、上級士官の集まる場所には建物を建てたと聞いたが、何で天幕だったのだろうか? ここに来るときには気付かなかったけど、何で建物の方を使ってないんだ?

 そういえば、レイリー以外に2人一緒にいる。この人たちは、レイリーの副官たちだな。久しぶりに見る気がするけど、よく見ている気もする……意識してないからそう感じるのだろうか?

「シュウ様、建物を建ててもらったのですが、そちらの建物を使わずに天幕を使っていることを、お許しください」

「別に俺が作ったわけじゃないから、土木組に謝ってくれ。それに、レイリーが建物を使っていないというのなら、何かしらの理由があるんだろ?」

「そうですね。一番安全な場所である建物は、今回の軍の出動に合わせて、一般の協力者が複数名着いてきてくださったので、その方たちの滞在場所として使っています。治療師の人たちとは違うので、島の滞在はさせられないので、準備してもらった建物を使わせてもらっています」

 ……一般の協力者?

「えっと、シュウ様の政務によって救われて、シュウ様のために何かをしたいという人たちがそれなりに集まりまして……特に調理関係の手伝いで、手の空きがちな育児が終わった奥さまたちや、軍に入るには早いですが、経験の1つとして母親についてきた子どもとかですね」

 ん~、戦争になることは無いので安全ではあるけど、わざわざ協力をしたいってそんなことがあるのかね? そもそも、政務って何のことだ? グリエルたちが何かしたのかね?

「シュウ様の街は、特にお金の面と衛生面が、他の街に比べて圧倒的に優れており、移住してきた方たちの生活面に大きく影響しまして、そのおかげで助かった人たちが多いってことです。無自覚のようですが、シュウ様がグリエルたちへ指示していることで、立てられた政策で助かった人たちです」

 お金の面は良く分からないけど、衛生面には覚えがあるというか、優先的に気を付けさせている事だな。衛生環境が悪ければ、最終的に街が廃れるからな。特に壁の中で暮らしているこの世界では、重要なはずなのだが、甘く見られている項目だな。

 多分、スキルとかが影響しているのだろうが、それでも環境が悪くて無くなる人が多い。病気や菌への耐性が元々高くない子どもたちが無くなることが多い。

 おそらくだが、日本人がそのままこの世界に放り込まれて、スラムの近くで生活すれば、大半が数日中に病気にかかって、重症化をしてしまうだろう。それくらい、衛生面が悪いんだよね。真夏の変なにおいがする川よりヤバいかもしれない……

 日本にいた頃は、部屋をキレイに保てるタイプではなかったけど、それと衛生面は関係なく、見過ごせないレベルの衛生面の悪さなんだよね。

 それだから衛生面については、俺のお金を使ってもいいからキレイに維持するように指示しているな。

「あっ、手伝いと言っていますが、ボランティアではなく、しっかりと仕事として着いてきてもらってますので、給金の支払いや生活面のサポートは、しっかりしています。大半の人たちに給金を断られてしまいましたが、承諾されなかった人たちは、連れてきていません」

 ……? 給金が出るのに欲しがらないって、そんなことあるのか? 承諾されなかったって言ってるけど、実際にそんな人たちもいるのか?

「元々承諾されていた少数の方は、全員シュウ様の考えを理解されている方で、給金の話は出ると判断していて、受け取ることを了承さてましたね」

 そうだな。お金に困っているのであれば、無償で手伝ってもらうこともあるだろうけど、今現在お金に困っていないというより、商会側のお金が余っているので、ドンドン渡したいってのがあるんだよな。

 っと話が逸れたな。

「今日の話題ですが、難民に紛れた諜報員や工作員への対応ですが、難民の確認の時にある程度はじけると思いますが、シュウ様も危惧している商人たちに扮していたり、それ以外への対策の件を含めて、早めに対処を考えておきたいと思いまして、時間に余裕のある今のうちにしておこうかと思いまして」

 なるほど、そういう理由で呼ばれたのね。

「色々な潜入方法があると思いますが、前提条件をくつがえすことになりますが、反乱をさせようとしている人間は、排除しないような方針を取ろうと思っております」

 まぁ、積極的に阻止しても限界はあるから、反乱前提の対応を考えていたけど、反乱を起こさせるために工作員を残すのね……確かに悪くないけど、結局のところどうするんですかね?

「工作員などは排除するのではなく、監視対象にして動きを見張っていた方が、効率的なのではないかと考えました。ただ、反乱を起こしたからと言って、住人たちを排除する必要はないと考えていますので、監視している時に積極的にかかわっていなければ、そのまま住人として受け入れればいいと考えています」

 ほほ~、監視対象ね。でも、誰がどうやって監視するの? 鬼人たちには無理だと思うぞ。軍の人間でもそれは同じだろ?

「監視に関しては、前に貸し出してもらったシャドーがいますので、100人単位で工作員がいない限り、問題なく対応できます。数が多くても、優先順位を決めて監視しますが、問題はそこではなく、今回の監視は反乱のタイミングを掴むことですね」

 それが分かるだけでも、全然対処の初動が変わるな。全体に暴動が伝播する前に対処出来れば、かなり被害が減るな。無関係な人間が巻き込まれる可能性が減るなら、ありでしょうな。

 それに反乱に関しては、レイリーに任せることになっているから、レイリーが決めたのであれば、協力するのは当たり前だな。まぁ、明らか問題のありそうな作戦であれば、考えなおすように言うだろうけど、レイリーがそんなことするわけないけどな。

 詳細は今後詰めることになるが、工作員などの排除ではなく、発見のために妻たちの協力をしてほしいというのが、今回の話の肝だったみたいだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...