ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2096話 昼食後の一時

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 子どもたちの微笑ましい姿を見ていると、妻たちからピリッとした空気が流れる。何事かと思い、俺も警戒する。俺には何も感じなかったけど、俺には気付けない何かがあったのだろうか? 最近たるんでるかもしれんな……

 そんなことを考えていると、

「シュウ様、少し離れた場所に強い怒りの雰囲気を感じましたが、これってグレンですよね? 何かあったと思われます」

「あ、まだみんなに話してなかったか……実はさ、さっきグレンに飛んで運んでもらってたところを、スライムたちが新種の敵と見間違えて撃墜されてさ……」

 先ほどあった事件について話す、何人かは知っていたのだが、知らない妻たちはかなり驚いていた。俺はグレンが怒っていることを知っていて、起きたんだなと感じていたが、妻たちは急に怒り出したグレンの雰囲気を感じて、警戒をしたみたいだな。

 グレンが怒っているが、近くにシエルとメグちゃんが押さえてくれているので、心配はないさ。今回の事でグレンやスライムたちを責めるのは止めてくれよな。スライムたちが謝らないで、悪戯でもするようならさすがに怒るけどな。

 膝を多少痛めたけど俺には怪我はなかったし、回復魔法ですぐに収まる程度だったからな。この話はここで終わりだ。グレンは落ち着くまで、近付かない方がいいからね。

 食休みをしていると、新たなお客さんが到着した。レイリーが副官を連れてやってきた。レイリーには魔導列車の通路に下りられる道を教えていないけど、どうやってこっちに来たんだ?

 と思ったが、連れてきた副官が魔法使いということは、水を凍らせるなり、短距離を跳ぶなりしてここに来たのだろう。到着の報告をしに来てくれたみたいだな。食事に関しては、ブラウニーたちが残って準備をしていたから、今頃兵士たちが列を作っていそうだな。

 レイリーに到着の報告を聞いて、ここに来る前に見ているだろうが、確認のために区画割りが済んでいることを伝える。後は、スライム層を作るまで、排泄に関しては簡易的に穴を掘ってそこにスライムを入れておくから、管理を頼む。今日中にトイレは出来るけど、繋ぎをよろしく。

 力の有り余っている筋肉ゴリラが何人もいるんだから、その兵士たちに掘らせてくれ。俺たちは午後から地下に潜って、地下を整備しないといけないから頼む。掘る場所は、整地した外でお願い。作業中に穴に遭遇して、糞尿まみれにはなりたくないからな。

 外枠は……適当な天幕でも張って、対応してくれ。無かったらシルキーたちに言えば、出してもらえるから頼むよ。

 レイリーとの話も終わると、リリーが近付いて来た。う~む、そう言えばレイリーとリリーが顔を合わすのって、久しぶりじゃないか? 唯一の家族なのに、会えないのは寂しくないのだろうか?

 そんなことを考えていると、すぐにバレてしまい、リリーは幸せだと言ってくれた。家族もたくさんいるし、おじいちゃんも元気に過ごしてくれているから、幸せです……だってさ。

 そんな事より、俺の方が心配だと言われてしまったよ。突然、住んでいた場所からこの世界に飛ばされて、何も分からないまま放り出された俺を心配してくれた。

 確かに色々大変なことはあったけど、俺もみんなと一緒にいれて幸せだぞ。帰っても他の人間に俺の記憶がないんじゃ、どうにもならないしね。

 それに、俺って特別両親と仲が良かったわけでもないんだよね。俺がゲームをするせいか、一歩離れて俺の事を見ていた感じなんだよな。今考えると、それが両親の愛情だったのかもしれないけど、実際の所は知る機会すらなくなったから、気にしないようにしている。

 子どもたちもいるし、本当に幸せだよ。

 そんなことを話していると、いつの間にか妻たちが寄ってきていた。

 俺たちの話を聞いていたのか、みんな笑顔でニコニコしている。ウルたちも近くにいて、ニコニコだな。こうやって、家族に囲まれるって本当に幸せだな。

 和気あいあいとしているところだから、シンラたちを何とかしてくれないですかね……シンラが俺の背中をよじ登って肩車の位置に来ると、プラムとシオンたちも登ろうとするが、登れずに俺に八つ当たりをしてくるのだが……

 笑ってないで、助けてくれって。何も悪い事をしていないのに、俺が悪者になって子どもたちに心に響く一撃が……シンラを降ろそうとしても、髪の毛を掴んで離れないし、プラムとシオンを抱きかかえてシンラに近付けようとしても、めっちゃ嫌がるし……

 座ってシンラとの物理的な距離を近付ければ、シンラには立てと怒られ、プラムたちには登ることに意味がある、みたいなことを言われるんだが……君たち登れなくて八つ当たりしているのに、それは理不尽なんじゃないかな。

 妻たちは、この様子を見て笑っているし、頼みのウルたちも一緒に笑ってる……俺には味方がいないのか!?

 プラムたちの攻撃を甘んじて受けることとなり、俺は動きをとれなくなった。シンラは髪の毛を引っ張ったり、頭をペチペチと叩いて上機嫌だ。そして、シンラが上機嫌になればなるほど、足元の威圧が強くなっていく。

 この流れに身をゆだねるが、しなければいけないことが俺にはある。食休みもそろそろ終わりに近づいているので、リンドとカエデを呼んで、体にシンラ、プラム、シオンの3人を身に着けながら、午後の予定を話し合う。

 最優先しなければならないことは、先ほども言ったが、トイレだ。排泄物は短時間で疫病の発生源になりかねないので、徹底的に対策する必要がある。それがトイレで、浄化システムは安定の粘液系のスライムさんたちですね。

 体を洗わずに不清潔も良くはないが、水自体はいくらでもあるので、1~2日は自分たちでどうにかしてくれ。軍に貸し出している、魔導具だって色々あるんだから、それくらいは問題ないよな?

 1週間も続くらな問題になってくるが、この世界では普通に1週間水浴びをしないとか、ざらにある話だからな。本人たちが耐えられるかどうかだな。無理だったら、水堀にでも飛び込め!

 っと、話がそれたな。やっぱり作業は分かれてやる感じか? 午前中と同じ分担でやるってことか。でもさすがに1人じゃ大変だから、綾乃とバザールを援軍に呼ぶわ。どうせ暇しているだろうしな。

 シンラよ、そろそろ降りてくれ。お父さんは仕事に行かないといけないのだよ。

 何でそんなに驚いた顔をするんだ? お前さんが、俺の事をどう考えているか、何となくわかった気がするぞ。

 さすがに仕事に支障が出るので連れていけないが、ある程度整備が終わった後なら来ていいぞ。しっかり仕事しているのか、見せつけてやるぞ。
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