ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2089話 学んだことを実践!

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 実験を始めて30分ほど、思っていた以上に時間がかかっているが、やっと可能性に気付き始めた。

 色々試して、答えに近付いてきていた。筒を用意して、俺が作った浅めの池に突き立ててみたり、下を塞いだ物を準備してみたりと、いくつかの方法を試した閉めたのだ。

 筒は良かったけど、下を塞いでいる方はどうやって底を工事するんだい? 逆にして空気を中に溜める方法も悪くないけど、どうやって中に入るのか、元々中に入っていたとして空気の循環がないのをどうするつもりなのだろうか?

 地球方式でやるのなら、いくつか方法はあるが……今回は円筒形の石の筒に気付いたようなので、それに沿った少しヒントを出すことにする。

「筒と池の隙間から少しずつ水が滲み出てくるのは、隙間があるからだよね。なら、それを塞いでみてはどうかな?」

 これはちょっと嫌らしいヒントでもある。地形や土の質にもよるのだが、今回は筒と池の底の隙間を詰めただけでは、滲みだす水を止められないように魔法でいじっている。

 もう1個の簡単というかポピュラーな方法で、ジグザク状の板を何枚も重ねるように底に打ち込んで、基礎工事する場所を囲みその中の水を抜くという方法もある。その場合は、筒を乗せて隙間を埋めるよりは、水がしみ出しにくくなる。

 地球ではどちらの方がコストなどを含めて、パフォーマンスがいいのかは分からないが、魔法で石の筒が作れる世界であるここでは、圧倒的に土木組の子たちが思い付いた方法の方が、パフォーマンスがいい。

 ただ、この子たちの魔法技能からすれば、いちいちこんな面倒な方法を取らずに、技術と魔力のゴリ押しで橋脚と基礎部分を作ることは可能なんだけどね。

 そもそも、俺たちクラスの魔法使いであれば、天変地異だって起こせるからな。魔法は練度とイメージによって、効果を及ぼせる範囲が決まってくるので、物質を作りだしたり操作する土魔法は、比較的難しい部類に分類されているけどね。

 そうだな、多分俺の魔力と技術なら、100メートルほどなら橋を一気に作れるかな? 地面の土や石を利用した壁は、数キロにわたって作れたけど、今回は一から全部生み出して正確に配置しないといけないから、距離が極端に短くなってしまうんだよね。

 いろんな方法で、水がしみ出してこないように工夫しているが、やはり難しいようだな。

「みんな、筒と池の底に接している部分だけ、隙間を埋めてもこの池には意味が無いぞ。言っていることが分かるかな? 水を抜いた底をよく見てみて、筒との隙間以外にも水がにじみ出ている場所が無いかな?」

 俺の助言で、筒と池の底の隙間から水が入ってきていると思っていた勘違いに気付いたようだ。

 この助言で気付いてほしいのは、池の底の土にも隙間があり、水圧がかかることで滲み出てくることがあると、理解してほしかった。それは主目的で副目的で、隙間を埋めるために池の底を固めるだけでは、タダ蓋をしてしまうだけだと言うことを知ってほしかった。

 とはいえ、ヒントとしては、隙間を埋める、池の底からも滲みだしてくる、の2つしか与えていないので、その後の工事のことまで考えられるだろうか?

 池の底から染み出てこなくできる、で80点、筒の延長上に水が滲み出せないようにすることができて100点かな。

 正直なところ、掘りながら滲みだす水を防いでいれば、問題なく作業は出来るが、魔法が苦手でもなんとか工事ができる方法を学んでほしいので、後者の答えを用意した感じだな。

 あ~、魔法の技術と魔力でごり押しする方法をとったチームがいた。

 筒の中から水を抜いた後に、強引に基礎工事をするという形をとったのだ。池の底にいると仮定して、基礎を作る部分を魔法で形成してしまった。間違いではないんだけど、今回の課題には適していないから駄目だぞ。

 答えには、半分以上たどり着けたようだな。今度からは、自分たちで考える大切さに気付いてくれたらいいな。

 作業を開始して分かったのだが、今回作った水堀の底は、思っている以上に地盤がしっかりしていたので、もう1つの工法教える教材にするべきだと、カエデとリンドが言ってきたので変更することとなった。直前に変えても、素材を魔法で作る予定だから出来る変更だよな。

 今回、橋の基礎とするのは、鉄筋コンクリートの塊のような物を基礎にして、地盤を安定させて重さを分散できるようにして、その上に橋を作る予定だったが、杭式の基礎を中心にすることになった。

 杭……長い鋼鉄の棒を地面に何本も打ち込み、岩盤の硬い位置で固定して、杭の出ている部分を横に通した鋼鉄の棒などで繋ぎ固定して、鉄筋コンクリートの要領で橋脚を作る方法だ。現実とはだいぶ違う作り方だが、魔法が全てを解決してくれる。マジで便利!

 岩盤の硬い位置を確認するために、魔法で調査する方法を教える事になった。

 魔力を地面に流し込んで、返ってくる反応で地盤の固さを判断する方法を教えた。ただこれには問題があって、慣れていない人だと鉱石、岩盤、大きな岩などの区別がつかないということだ。

 硬さと素材によって魔力の流れる感覚が変わるのだが、慣れていないと同じくらいの魔力消費量だと、違いが判断できなかったりするのだ。大きな岩と岩盤は、正直大きさの違いに近いところもあるので、広範囲に流して判断するしかなかったりもする。

 これが土の上級精霊のノーマンだったら、文字通り目をつぶってても全てを見通すことができる。リバイアサンたちでも、岩盤とそうでない場所の判断は可能かな。水の浸透具合とかで分かるらしい……マジで化物の領域だな。

 まずは、橋脚を作る場所に円筒形の石を置きましょうかね。魔法を使って、中の水を筒の外へ追い出して、滲み出てくる前に隙間を埋めていく。筒の延長上を硬化することで、水が浸透してこないようにしてから、少し掘り下げる。

 岩盤の位置を調査するために、代わる代わる魔力を通して、どこら辺に岩盤があるか話し合ってもらった。

 その話し合っている間に、俺とカエデ、リンドの3人も岩盤の位置を確認する。

 カエデとリンドの2人は、俺ほど魔法は上手くないが、ドワーフの血が流れているためか、相性が良く誤差程度で俺たちの意見は一致した。約15メートルほど下に岩盤がある、という意見だ。

 問題はないはずだが、一応連れてきたシリウス君に確認したところ、10センチメートルほどの誤差はあるが、大体あっているようだ。9メートル付近に大きな岩があるので、勘違いするかもしれないが、土木組の子たちは分かるだろうか?

 心配は杞憂に終わり、次の工程へ移ることにした。
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