ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,085 / 2,518

第2085話 炉の作成開始

しおりを挟む
 昼食も終わり、食休みの時間も終わったが……まだ雨が降っているみたいだな。外での作業は、やはり今日は難しい様子だな。

 食休みしている時にリンドに話を聞いたが、もう少しで鍛冶工房の棟の箱は完成するので、それが終わってから俺の作業を始めてほしいと言われた。理由は簡単で、土木組の子たちは今までに炉などを作った事がなかったため、勉強のために説明しながら作りたいのだとか。

 炉の形や作り方だけなら、知識を詰め込んでいるので問題ないが、お手本となるように作り説明することは俺にはできないから、説明は全部リンドに任せよう。

 午前中はしっかり運動をして、昼食をいつも以上に多く食べたせいか、ウルも含め子どもたちは全員スライムベッドでスヤスヤ眠っている。シンラは、プラムとシオンに抱き枕にされており、険しい表情をする時がある。プラムとシオンも静かな時は、天使みたいだな。

 あの2人は、起きていると何かと俺を攻撃してくるので、正直困りものである。昔に比べれば甘くなってきたが、今でも足に噛み付かれたりと大変だが……まぁ、動き始めたころに比べれば、俺への攻撃は弱まってきた気がするが、従魔を使うテクニカルな攻撃が増えてきた気がするが……

 さて、土木組が鍛冶工房を完成させる間に、俺はカエデと鍛冶工房の中身を考える事にした。

「カエデ、ここにはどのレベルの炉を用意するんだ?」

「溶鉱炉で製鉄を行う必要は、ないから高炉は必要ないかな。修理とある程度は、新しく武具を作れるような炉があれば十分だから、家にあるような炉だけで十分よ。火の精霊がいないから、炉の性能は少し良くしておかないと、使う鍛冶師たちが苦労するかもね」

 なるほどね。大きな炉は必要ないのな。精錬された金属は運び込めばいいから、その通りではあるな。それにしては、鍛冶工房の棟が大きかった気がするが……何か意味があるのだろうか?

 炉のサイズと鍛冶に必要な道具の確認をして、子どもたちを起こさないように他の部屋で、必要な物を準備していく。

 やはり魔法のある世界。必要になる物が少ないな。炉の温度を上げるための火も、火力を強くするための風も、すべてが魔法で解決できてしまうのだから恐ろしい。

 それでも、炭を使う必要のある場面もあるし、ある程度の大きさを確保しておかないと、使い物にならなくなってしまうので、注意が必要だと言われた。

 そういえば、始めの頃に鉄を叩いていた時は炭も使っていたが、ミスリルなどのファンタジーな金属の時には、炭を使っていなかったことを思い出す。あの時は、言われた通りに打っていただけで、理由なんて考えもしなかったな。

 金床は、アダマンタイトで作ろうかとも思ったが、カエデに止められたので、この世界でもそこそこ上の金床を召喚してから、それを魔核で強化する形をとった。一定の条件を満たしたら、魔核が崩れるように調整して、金床へ埋め込んだ。

 その他の道具にも、同じ条件で魔核の効果が無くなり、魔核崩れるようにしている。少し手間ではあるが、何かあったときに高性能のまま持ち出されたら困るので、効果が消滅する方法で対処することにした。

 炉に関しては持ち運びはほぼ不可能なので、鍛冶をする際に身に着ける前掛けにも魔核を埋め込み、これが近くに無いときに操作するか、操作手順を間違えると炉のしての役割しか果たさなくなる。操作手順の1つに鍵を使っているため、普通では思いつけるものではないな。

 前掛けには少し危険を感じているので、そこらへんは考える必要があるな。登録した人以外となると、新しく来た場合はどうするんだ! と言う話になるからな。

 最終手段として、遠隔起動でこの建物自体を崩壊させれるようにしておくか。おそらく使うことは無いが、備えあれば憂いなしということで、監視室のスプリガンの皆さんにお任せしよう。

 こちらの準備が終わると、リンドが俺たちを呼びに来た。子どもたちは全員起きてきており、工房作りの見学に来たいということで、連れていくこととなった。

 家にも鍛冶工房はあり、誰かか近くにいれば入ることは出来るので、どんな物かは知っているだろうが興味はあるらしい。俺としては、一昨日の挽回ができればいいのだが……

 妻たちからの付き添いは、リンドとカエデだけで他の妻たちは、今日はゆっくりするらしい。毎日働いているという訳ではないが、ガッツリと休んでいるみんなを見るのは久しぶりかもしれないな。映画見たり遊んだりするとか言ってたな。

 おぉ、窓からのぞくようにして見てたから広いとは思っていたが、中から見ると予想以上に広く感じるな。

「リンド、四隅に1つずつ炉を作って、その間に十字に部屋を作ればいいってことか? 漢字の田んぼの田みたいな感じで、真ん中の十字を太くしてその部分を部屋にすればいいんかな?」

「えっと、四隅に作るからそこまでの広さはいらないかな。不自由のない程度の広さがあれば十分。壁際は他の工房へ行くための通路にして、中央に資材置き場を作ってほしいわね。炉のある部屋から直で入れるようにしたいから、その辺も考えてほしいかな」

 少し聞いていた話と違うが、大した問題ではなさそうだな。

 まずは一番隅になる角に炉を作っていこう。

 土魔法で一気に作ってもいいのだが、出来れば正規の作り方で土木組の子たちに教えたいから……ということで、素材から魔法で準備する方法をレクチャーすることになった。

 これに関しては、同じようなことをやっているが、耐火煉瓦の様なモノは作った事が無いので、その辺から教えることになっている。耐火煉瓦の場合は一度焼く工程が入るのだが、魔法を使って作る方法は、魔力と操作技術があれば、簡単に作ることができる。

 この子たちも、レンガ自体は作った事があるので、イメージからさらに一歩踏み込んで、魔法の過程もイメージできるように教える事となった。

 魔法の使い方は簡単に習得できたが、やはり工程をイメージするのが難しいようだな。リンドでも耐火煉瓦なら作ることができるので、工程のイメージはリンドに丸投げしておいた。

 俺はその話を聞きながら、黙々と耐火煉瓦を作っていく。

 子どもたちは元気に走り回っているな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...