ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2061話 数が多いとそれだけで大変

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 暗部から追加でもらった情報を聞きながら、頭痛がしているような気分になり、こめかみを揉んでしまっていた。その様子をウルに見られてしまい、体調が悪いのではないかと心配されてしまう。

 ウルはミーシャたちと違い、比較的自由に行動している。近くにはハクと小さくなったバッハが、護衛として付き添っているけどね。ってハクさんやい、お前は俺の従魔なのにそっちにいるのか? あ~、俺みたいなむさい男より、ウルみたいな可愛い方がいいのね……

 ハクは大きくなったと言っても、俺の腕に収まらなくなったくらいで、人を乗せられるほど大きい姿ではない。Lvを考えれば問題なく乗せられはするのだが、体のサイズを考えると危ない。

 小さいバッハは、ずんぐりむっくりとしていて、とてもバハムートには見えない。なんというか、クトゥルフ神話のモノたちが色々出てくるアニメで、主人公の男の子を守るために地球に来たなんちゃらホテプの女の子が連れてきた、シャンタク鳥の小さいバージョンみたいだな。

 何でこのアニメを思い出したかと言えば、ちょっと前に子どもたちの部屋で流れているのを見て、思い出したのだ。個人的にはあのアニメ、ぶっ飛び過ぎていて意味は分からないけど、人間関係性は見ている分に面白いし、絵も子どもうけするからミーシャたちが好きみたいなんだよな。

 そんなことを考えていたら、バッハがシャンタク鳥にしか見えなくなってきた……あの鳥の産む卵って上手いらしいけど、お前って卵生の魔物なのか?

 俺の視線を受けたバッハが何かを感じ取ったのか、ウルの後ろにコッソリと隠れた。お前さ、護衛なのに護衛対象の後ろに隠れるっておかしくねえか?

 っと、ウルよ、心配しなくても大丈夫だ。少し面倒な話を聞いてしまって、この先の事を考えたら疲れそうだと思ってね。あの子たち、多分最後までいるつもりだろうけど、いつ終わるか分からないから、最悪ウルに協力してもらって連れて帰ってもらうことになるかもしれないけど、お願いします。

 ウルも分かっているようで、最後までここに残れるとは考えていなかったようだ。ミーシャたちとシンラたちはここに遊びに来ているが、ウルはどちらかというと学びに来ているので、そこら辺はしっかりと理解しているみたいだな。

 俺も最後まで残るわけじゃないだろうし、毎日ゲートでディストピアの庁舎に足を運ぶので、どこにいても変わらんのだが……まぁ、長くても難民の対応が一段落するくらいまでだろうな。早ければ、対策が終わって壁を造ったら帰ってもいいよ! ってなりそうだけどな。

 そうすると、治療院の人たちが苦労することになるから……おそらくは、兵士たちの撤退に合わせて、水堀を拡張したあたりで帰ることになるかね。そこらへんは俺の匙加減ではなく、グリエルやガリア、ゼニス、レイリー当たりの判断になる。

 何で俺がしないかだって? 俺がしたら、止め時が分からなくなるからな! こういっちゃなんだが、街を建造するタイプのシュミレーションゲームは、ゴールが明確になっていないと止め時を見失って困るので、手を付けていないという理由があるのだ!

 さて、ウルが苦笑いを始めたので、何をしにきたのか聞くことにした。

「そうだった! お父さん。ミーちゃんたちがテントを建て終わったから、お食事にするから……と伝言を受けてきました」

 なるほど、あの子たちはテントを建て終わったのか。ウルに手を引かれながら、ミーシャたちとシンラたちの活躍を聞くことにした。

 ふむ……どうやらシンラはテントを建てるのは前向きのようだな。プラムとシオンは、シンラが頑張っているから仕方がなく、という印象が感じられる。それを分かってなのか、ミーシャたちは度々プラムとシオンに耳打ちをしては、ヤル気を出させていたようだ。

 耳打ちの内容も、頑張るとシンラが喜ぶとか、そう言った内容のものが多かったみたいだな。今日の夜は、シンラには関係ないのに、プラムたちのシンラへの甘え度が高くなりそうだな。疲れたおっさんの様な目をするシンラを、幻視してしまった。

 寝る場所に関して、テントの入り口は解放した状態にするが、シンラたちはテントの中でエアーマットを敷いて寝るそうだ。ミーシャたちはテントではないが、シンラたちのテントの近くにベッドを置きそこで寝るらしい。

 何でそんなことになっているかと言えば、ここにいる間は近くで下の子たちの面倒を看るように! とスカーレットに命令を受けたからだそうだ。下の子たちは、姉たちの言うことをしっかりと聞いて、問題を起こさないように言い含められているらしい。

 どちらか一方が約束を守れなかった場合は、2組ともディストピアに強制送還されるそうなので、プラムたちは仕方がなくテントを建てていたようだな。ヤル気が無いのに頑張らせても、いい結果にはならないと思うけど大丈夫なのだろうか?

 食事をするスペースへ向かうと……いつも通りのシンラたちがいた。シンラはプラムとシオンの間で、自信が来てもここを動かんと言わんばかりの顔をして、プラムとシオンは何とかシオンにくっ付こうとしてもがいている感じだな。

 いつもの事とはいえ、良く飽きないものだね。

 ブラウニーたちがいるので、食事は家にいる時と変わりはないな。違いがあるとすれば、ビュッフェ形式ではなく、決まったメニューのみの提供となっていることくらいかな。

 そう言えば、後から来る5000人の食事って誰が作るの?

 食休みをしている時に気になったので、近くにいたアマレロに聞いてみた。

 ブラウニーたちが指揮をとって食事の準備をするそうだが、調理自体は兵士たちが行うそうだ。ブラウニーたちなら、嬉々として作りそうな気もするけど、実際はそうではなかったようだな。

 兵士たちの食事は、質より量を求められるので、ブラウニーたちからすると少し違うのだそうだ。それでもやりがいはあるので一定数の人数は集まるのだが、1000人を超えてくるとさすがにブラウニーたちでは対応しきれないので、兵士たちも駆り出して調理させているのだとか。

 そう言えば、俺の管理している街の兵士たちの練兵過程に、調理についての実習もあったな。これをマスターできないと、新兵から卒業できないとか言ってたっけな?

 確か自衛隊の中には、調理を専門とする部署があって、そこの人たちが自衛隊の人たちに調理をしているんだっけ? そう考えると、同じ自衛隊だけど、専門的な隊員となるのかね?

 とりあえず、調理については問題なさそうだな。ただ、場所を分けると面倒になりそうなので、まとめて作って運ぶか、食堂に食べに来させるか……だな。どう考えても後者は、惨事にしかならないので、部隊ごとにまとめて配給する形かな。小学校の給食みたいになりそうだな。
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