ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2059話 想定と違いすぎない?

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 スライムたちの件で子どもたちを呼んでいたのを思い出す。

 姉たちはいつも通りなのだが、シンラたち下の子は、不満を顔に張り付けた表情で、姉たちに抱っこされて俺の部屋に入ってきた。本当にこの子たちは……

 子どもたちにスライムたちの話をすると、姉たちは問題ないが下の子たちは面倒と言わんばかりの顔をしている。こいつらはいつもスライム〇イト気取りで、脚代わりに使っているのに、お礼の意味を込めて洗ってあげることも出来んのか……

 ため息をつくしかないな。俺が言うことは、全部拒否! みたいな、良く分からん反抗期に入っているみたいで、俺の言うことを全くきかねえんだもんな……よし、スカーレットを呼んできてくれ。

 俺が言ってもダメなら、スカーレットが言うしかないだろう。妻たちでもいいのだが、甘さが残ってしまう妻たちなので、やらなければならないことだと強く認識させるためには、一番発言力の強い人に頼るべきなのだ!

「……それで私の出番ということですね。納得したくありませんが、言いたいことは良く分かりました。ご主人様の下のお子様方に、今の話をすればよろしいのですね? お風呂に入ったときに、遊び半分で洗ってあげれば喜ぶスライムたちなのに、ご主人様が言うと何で拒否反応を示すのでしょうね?」

 それは俺も知りたい。何でなん?

 スカーレットが部屋から出ていって1分足らずで戻ってきた。その後ろでは、何故か3人揃って敬礼しているシンラたちがいる。そのポーズは可愛いけど、お前たちは何でそのポーズをとっているんだ? そして、戻ってくるの早すぎねえか?

 説得というよりは、話しただけで終わったんじゃないか?

 シンラたちの後に入ってきたミーシャたちは苦笑気味だ。スカーレットとシンラたちのやり取りを一部始終見ていたのだろう。3人を呼んで話を聞いてみると、スライムのスの字が出た段階で、3人とも敬礼のポーズをとったらしい。

 スカーレットが何を言いにきたのか、理解していたんだろうな。本当に頭のいい子たちなことで。

 スカーレットもここまで簡単に話が進むとは思っておらず、苦笑いをして頬をかいているくらいだ。スカーレットにこんな表情をさせるのは、お前たちくらいだからな!

 とりあえず、スライムたちのモチベーションは、天元突破したと言ってもいいだろう。

 報告書を読み終わるころに、国境検問所に当たる門に到着する。

 最近、ここら辺のマップを開いていなかったから知らなかったが、ここの門の外側にも帝国の検問所ができてたんだな。知らなかったわ。他の場所でこんな形になっていることは聞いていたけど、帝国の外れのここらへんでも同じことになっているとは思わなかった。

 検問所とは言っているが、出入りを監視しているだけで、税をとったりしているわけではない。俺たちの街から禁制品が運び出されることは無いので、帝国へ入る商隊は積み荷の内容と行先だけを聞かれて終わるらしい……それでいいのか?

 それに対して、帝国を出ていく……俺たちのエリアへ入ろうとする商隊などのチェックは、かなり厳重に行われている。禁制品を運び込んでこちら側で発見して、問題になった事があるので厳重に行われるようになったのだとか。

 禁制品は持ち込まれたくないけど、あまり厳重にチェックを行われると、商隊の人たちもこちらに来難くなるよな。それが目的だったりするのかね?

 壁はこちらで作っているので、全ての権利を有している。壁の外側にも、監視をできるように多少兵士たちが待機できる場所があるのだが、そこも全てこちらの兵士だけしかいない。

 帝国の兵士たちは、門から少し離れた位置……マップ先生で見る限り10メートルほど離れた位置に検問所を作っていた。こちらより大規模に作られており、わざわざこんなに人を派遣する必要があるのだろうか? と思う規模である。

 そこらへんは、帝国の考えがあるだろうから考えても無駄だな。壁と検問所の隙間から人が入らないように、柵が建てられているみたいだな。こっちからすれば、あっても無くても同じなんだがな。門を入らなければ、こちらにはこれ無いからな。

 門の隊長にある程度話を聞いたが、俺たちが考えていた話と大分ズレたことを言い出した。方向性はあっているんだけど、想定していたことと全然違うんだよ!

 俺たちが住む建物を門に併設しなくていいのは分かった。だけどさ、壁に沿って水堀を作り、難民は壁の中に通路を作って、そこを進んで街の建設予定地へ入れるようにしてほしいのだとか。商人たちの通路は、難民たちとは逆方向へ作り、水堀を迂回する形でラディッツに向かわせるんだとさ。

 俺たちの計画では難民たちが作る街は、完全な管理は無理なのである程度手助けした段階で手放し、悪く言えば放置、よく言えば見守る形に近かったが、現地の兵士たちの考えでは、不穏分子となるのであれば、移動できるエリアを制限しておくべきだ! とのことだ。

 なので、壁の中に通路を作り、いける場所を限定させるそうだ。出入口もその通路しか準備せずに、こちらに従順するまでは出入りの管理まで行うそうだ。自由に出入りは出来るが、必ず監視されている状態だということだな。

 出入り口を限定させるということは、俺たちが考えた方法では不可能なので、新しく難民たちが住むエリアに壁を作ってほしいそうだ……この壁を作ったときの事を考えれば、大したことの無い距離なのだが……範囲はどうするんだ?

 兵士たちからすれば、どのくらいの規模の畑が必要になるか分からないので、そこらへんは内政に詳しい人たちに考えてもらいたいんだとさ……よしグリエル、仕事だ。どれだけの範囲が必要か計算してくれ。

 実際にどのくらいの難民が来るかもわからないから、1000人区切りくらいで壁の広さを考えてくれ。後は、少なくとも20年ぐらい先は見越して、生まれてくる子どもたちの分も考えてくれよな。

 難民だって、きちんと生活できる環境があれば、人間らしい営みは増えるからな。数が増えるのはおかしくない。

 俺たちの生活する建物だが、水堀の内側の中心で問題ないそうだ。壁に沿うように横長な長方形にして、左右の余った空間を訓練スペースにして、建物を中心として走る場所の確保は問題なくできる。武具をメンテナンスする建物は、近くてもいいけど別に作ってほしいってさ。

 保管庫を兼ねた鍛冶場みたいな形にしてもらえると、メンテナンスをしてくれる人たちがやりやすいんだとさ。お風呂を作る側の、ちょっと離れた位置に立てることにしよう。

 後何故か、建物を建てる場所は、少し土を盛って高くしてほしいと言われた。理由は分からないが、そちらの方が便利なんだってさ。門までは水堀があるので、跳ね橋の準備もお願いされたな。

 考えていたより、ガッツリと現地の兵士たちに注文を付けられた気がしたよ。

 その内容をグリエルたちに伝えて、今後の展開について想定するようにお願いしておいた。
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