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第2054話 出発前の大仕事⑥
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子どもたちの準備も終わり、明日出発! とシンラたちはいき込んでいたが、キャンプじゃないんだからきちんと住めるように建物を作ってからじゃないと、お前らは呼ばないぞ。ミーシャたちはいいけど、シンラたちは我慢できないだろ?
姉たちにつられて準備していただけに、一緒に行けないとなると予想以上に手強い相手になった。
こっちが何か話そうとしても3人でガン泣きして、こっちの声をかき消す。今度行くところの話をすれば、ある程度は話を聞くのだが、自分たちが初めから一緒に行けないと分かると、ガン泣き……もうね、子どもがこんなに大変な生き物だとは思わなかったよ。
正直なところ、建物が出来るまでの間我慢ができるというのであれば、連れて行っても問題ないのだが、それを説明すればガン泣きするので、自分たちでも無理だということは理解しているのではないかと思う。
「とーたん、私たちが面倒を看るから、一緒に連れて行ってあげて。もし駄目そうだったら、ケットシーやスライムたちに協力してもらって、私たちのマイワールドで時間を潰すようにするから……ダメかな?」
ミーシャを先頭にして、シンラたちを一緒に連れていってほしいと、説得された。ゲートをあまり使いたくないと思っている俺の事も考えているが、今回はシンラたちの様子を見て、そっちが勝ってしまったのだろう。
ミーシャたちは、俺がゲートをあまり使いたがらないのを理解しており、移動は移動で楽しめる物だと分かっている。それに建物が出来るまでは、不便な生活になることもしっかりと理解している。だけど、シンラたちはまだそこらへんは、理解できていないからな。
シンラたちには、何かあればゲートを移動に使える! と思わせたくないんだよね。ゲートは便利だけど、根本的にすべてをぶち壊すことのできる技術だからな。
だから、出来る限り制限をかけているつもりだ。これで制限をかけているつもりなのか? と思われることもあるが、暗部も緊急時以外は魔導列車で移動するし、グリエルたち街の上層部でも簡単に使える物ではない。
だけど、娯楽として提供ができる便利な場所なので、ゲートを使ったマイワールドへの移動は制限していない。学校に関しても便利なので使っているし、街のトップの移動は基本的に認めていないけど、話し合いが必要だとは考えているので、会議室だって用意している。
制限をかけているのは、ゲートを使った長距離の移動だけであって、ゲート自体の利用ではないのだ。
ミーシャたちも少し誤解している部分がありそうなので、ここで誤解を解いておくのもいいかもしれないな。
ウルも含めて子どもたち7人を集めた。ウルの腕の中にはシンラが太々しく座り、ミーシャたち3人の前にプラムとシオンが座り、俺の話を聞く体勢になる。
「ウルたち4人は、俺がゲートを使いたがらないと思っているかもしれないけど、それは間違いだ。俺が制限しているのは、ゲートを使った移動だ。移動と言っても、ここからマイワールドを行き来するのは、問題ない。問題としているのは、マイワールドを経由して違う場所……街とかに移動することなんだよ」
ミーシャたちは首をひねっているが、ウルはやっぱりそうなんだ! と言った、納得顔をしている。ウルは聡い子なので、そう予想していたのだろう。
話は変わるが、国民的アニメの青い狸……じゃなくて、猫型ロボットのドアはかなり便利だ。だけど、あれを誰でも使えるようになると、失業する人が大量に発生するだろう。それに保安関係の問題もあって、色々な法整備があり違う問題も抱えることになるだろう。
便利にするということは、悪い事ではない。だけど便利にし過ぎると、そのあおりを受けて大変な目に合う人が大量に発生するということだ。
ドアの一例をあげれば、移動に時間がかからなくなり、長距離を移動する乗り物も必要ではなくなる。電車や飛行機などが必要ではなくなる。この2つを作っている人たち、整備をする人たち、動かす人たちが失業することになる。
航空チケットや旅行プランを考えて、提供してくれる旅行コーディネーターの仕事は楽になるだろうが、簡単にいろんな所へ行き来できるのであれば、現地ガイドみたいな人の方が重宝される可能性が出てくる。
車に関しては、限定された地域を回るために使われることはあっても、長距離を運転して移動するということは減るだろう。中には自分で運転したい人もいるだろうが、車より楽で簡単で安全な移動方法があれば、そちらを選ぶ人は多いはずだ。
長距離トラックに関しては、荷物を瞬時に運ぶ方法があるので、無くなることだろう。
1つの例をとって話したが、ゲートをこの世界で無制限に使えば、色々なモノが崩壊してしまうことは目に見えている。それによってあおりを受けて一家心中するような人たちだって出るだろう。そうでなくても、身売りをしなければいけなくなり、一家離散ということもあるだろう。
だから、緊急時以外は使いたくないと考えているのだ。
失業者の部分は、この世界観に合わせて話したから、ミーシャたちも何とか理解してくれたようだ。シンラたちは、何言ってんだお前? みたいな顔をしているけど、気にしたら負けだろう。
で、ゲートを安易に長距離移動に利用したくないのは、ゲートで簡単に移動ができるんだからと言って、今以上に物流を混乱させたくないんだよね。一般的には知られていないが、ただでさえ魔導列車が活躍して物流に影響が出ているからな。
それでも、高級志向の部分と足りない物を補っているという形で、混乱にはなっていないので、まぁセーフだろう。トラブルが増えるのであれば……魔導列車での物資運搬も見直す必要が出てくるだろう。
っと、話は逸れたが、シンラたちよ。姉たちの言うことをしっかりと聞いて行動でき、我慢できないときは姉たちと一緒にマイワールドで大人しく過ごす、というなら連れて行ってあげよう。
だけど、言うことを聞かないようだったら、問答無用でディストピアに帰すからな! その時は、シルキーたちの監視の元、生活することになるから気を付けるようにな。
俺が最後に言った、シルキーたちの監視という部分に、ミーシャたちまでウッとした表情をしている。確かにあの4人の妖精は厳しいけど、ルールを守ってその範囲内で活動する分には、大したことは無いんだぞ。
まぁ、脅し文句に使われるくらい、特にスカーレットは厳しく躾けるからな。その顔も分からんでもない。俺も、たまに雷が落ちて大変な思いをすることがあるからな。気持ちは分かっているつもりだ。そしてスカーレットさんやい、そんなに睨まんでくれ。
姉たちにつられて準備していただけに、一緒に行けないとなると予想以上に手強い相手になった。
こっちが何か話そうとしても3人でガン泣きして、こっちの声をかき消す。今度行くところの話をすれば、ある程度は話を聞くのだが、自分たちが初めから一緒に行けないと分かると、ガン泣き……もうね、子どもがこんなに大変な生き物だとは思わなかったよ。
正直なところ、建物が出来るまでの間我慢ができるというのであれば、連れて行っても問題ないのだが、それを説明すればガン泣きするので、自分たちでも無理だということは理解しているのではないかと思う。
「とーたん、私たちが面倒を看るから、一緒に連れて行ってあげて。もし駄目そうだったら、ケットシーやスライムたちに協力してもらって、私たちのマイワールドで時間を潰すようにするから……ダメかな?」
ミーシャを先頭にして、シンラたちを一緒に連れていってほしいと、説得された。ゲートをあまり使いたくないと思っている俺の事も考えているが、今回はシンラたちの様子を見て、そっちが勝ってしまったのだろう。
ミーシャたちは、俺がゲートをあまり使いたがらないのを理解しており、移動は移動で楽しめる物だと分かっている。それに建物が出来るまでは、不便な生活になることもしっかりと理解している。だけど、シンラたちはまだそこらへんは、理解できていないからな。
シンラたちには、何かあればゲートを移動に使える! と思わせたくないんだよね。ゲートは便利だけど、根本的にすべてをぶち壊すことのできる技術だからな。
だから、出来る限り制限をかけているつもりだ。これで制限をかけているつもりなのか? と思われることもあるが、暗部も緊急時以外は魔導列車で移動するし、グリエルたち街の上層部でも簡単に使える物ではない。
だけど、娯楽として提供ができる便利な場所なので、ゲートを使ったマイワールドへの移動は制限していない。学校に関しても便利なので使っているし、街のトップの移動は基本的に認めていないけど、話し合いが必要だとは考えているので、会議室だって用意している。
制限をかけているのは、ゲートを使った長距離の移動だけであって、ゲート自体の利用ではないのだ。
ミーシャたちも少し誤解している部分がありそうなので、ここで誤解を解いておくのもいいかもしれないな。
ウルも含めて子どもたち7人を集めた。ウルの腕の中にはシンラが太々しく座り、ミーシャたち3人の前にプラムとシオンが座り、俺の話を聞く体勢になる。
「ウルたち4人は、俺がゲートを使いたがらないと思っているかもしれないけど、それは間違いだ。俺が制限しているのは、ゲートを使った移動だ。移動と言っても、ここからマイワールドを行き来するのは、問題ない。問題としているのは、マイワールドを経由して違う場所……街とかに移動することなんだよ」
ミーシャたちは首をひねっているが、ウルはやっぱりそうなんだ! と言った、納得顔をしている。ウルは聡い子なので、そう予想していたのだろう。
話は変わるが、国民的アニメの青い狸……じゃなくて、猫型ロボットのドアはかなり便利だ。だけど、あれを誰でも使えるようになると、失業する人が大量に発生するだろう。それに保安関係の問題もあって、色々な法整備があり違う問題も抱えることになるだろう。
便利にするということは、悪い事ではない。だけど便利にし過ぎると、そのあおりを受けて大変な目に合う人が大量に発生するということだ。
ドアの一例をあげれば、移動に時間がかからなくなり、長距離を移動する乗り物も必要ではなくなる。電車や飛行機などが必要ではなくなる。この2つを作っている人たち、整備をする人たち、動かす人たちが失業することになる。
航空チケットや旅行プランを考えて、提供してくれる旅行コーディネーターの仕事は楽になるだろうが、簡単にいろんな所へ行き来できるのであれば、現地ガイドみたいな人の方が重宝される可能性が出てくる。
車に関しては、限定された地域を回るために使われることはあっても、長距離を運転して移動するということは減るだろう。中には自分で運転したい人もいるだろうが、車より楽で簡単で安全な移動方法があれば、そちらを選ぶ人は多いはずだ。
長距離トラックに関しては、荷物を瞬時に運ぶ方法があるので、無くなることだろう。
1つの例をとって話したが、ゲートをこの世界で無制限に使えば、色々なモノが崩壊してしまうことは目に見えている。それによってあおりを受けて一家心中するような人たちだって出るだろう。そうでなくても、身売りをしなければいけなくなり、一家離散ということもあるだろう。
だから、緊急時以外は使いたくないと考えているのだ。
失業者の部分は、この世界観に合わせて話したから、ミーシャたちも何とか理解してくれたようだ。シンラたちは、何言ってんだお前? みたいな顔をしているけど、気にしたら負けだろう。
で、ゲートを安易に長距離移動に利用したくないのは、ゲートで簡単に移動ができるんだからと言って、今以上に物流を混乱させたくないんだよね。一般的には知られていないが、ただでさえ魔導列車が活躍して物流に影響が出ているからな。
それでも、高級志向の部分と足りない物を補っているという形で、混乱にはなっていないので、まぁセーフだろう。トラブルが増えるのであれば……魔導列車での物資運搬も見直す必要が出てくるだろう。
っと、話は逸れたが、シンラたちよ。姉たちの言うことをしっかりと聞いて行動でき、我慢できないときは姉たちと一緒にマイワールドで大人しく過ごす、というなら連れて行ってあげよう。
だけど、言うことを聞かないようだったら、問答無用でディストピアに帰すからな! その時は、シルキーたちの監視の元、生活することになるから気を付けるようにな。
俺が最後に言った、シルキーたちの監視という部分に、ミーシャたちまでウッとした表情をしている。確かにあの4人の妖精は厳しいけど、ルールを守ってその範囲内で活動する分には、大したことは無いんだぞ。
まぁ、脅し文句に使われるくらい、特にスカーレットは厳しく躾けるからな。その顔も分からんでもない。俺も、たまに雷が落ちて大変な思いをすることがあるからな。気持ちは分かっているつもりだ。そしてスカーレットさんやい、そんなに睨まんでくれ。
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