ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,052 / 2,518

第2052話 出発前の大仕事④

しおりを挟む
 ミリーとの話も終わり、シンラの奇行を見てのんびりとしていた。

 シンラの中では遊びに行けると考えたのだろう、プラムとシオンと頭を突き合わせ何かを話したと思っていたら、うきゃー! と奇声をあげたりしている。頭を突き合わせる姿は、ミーシャたちのそれに似ているが、その後の行動は……似ても似つかないな。

 プラムとシオンは奇声を出さないが、奇声をあげているシンラを見ても平然としている。

 そもそも、シンラは何で奇声をあげているのだろうか? 誰か理由を知っている人はいないだろうか? 妻たちに聞いてみると初めての行動だが、何故かシンラの奇声をあげている理由は分かるようだ。

 どうやら、どこかに行けるという事実で喜びが天井突破をしたようで、プラムたちを巻き込んであんなことをしているのだろう、と教えてもらった。

 プラムたちには、いろんな意味で迷惑をかけられているから、仕返しとまではいかないが問題は無いと考えている妻たちが複数いる。確かに、魂が抜けるような顔で、両腕にプラムたちをくっ付かせている姿を見れば、この程度のプラムたちの迷惑なら……問題ないな。

 最近、シンラの行動力が上がってきたのか、プラムたちが振り回される姿を見ている気がするな。振り回し振り回されるシンラたちは……ある意味、相性のいいトリオなのかもしれないな。

 ミーシャたちが近くに来たので、出先ではどんな家がいいのか聞いてみることにした。



 ミーシャは、シンラたちも一緒に行くのだから、しっかりと運動できる場所を準備してほしい。他にも、従魔たちもいるので、のんびりと過ごせるスペースがあった方がいいと言っている。

 従魔たちの過ごせるスペースは、マイワールドにあるので問題ないだろう。運動できる場所は、一応作るつもりだから問題は無いと思う。

 ミーシャは、自分たちより弟妹や従魔の事を考えている、優しい子だな。

 スミレは、家族が近くにいれることはもちろん、何かあったときのために逃げられるように設計するのがいいと言ってきた。できれば、寝る時はみんな一緒がいいとのことだ。

 どれだけ向こうに滞在することになるか分からないが、みんなで寝れる部屋も準備する方がいいかもしれないな。

 ブルムは、兵士たちの事を考えて、遊べる場所や武器の整備がしっかりとできる場所を準備する必要ではないか? との事だ。

 武具に関しては、ドワーフがいるから問題は無いぞ。お酒を餌に、かなりの数のドワーフも来ることになるからな。遊べる場所は考えてなかったけど、そこらへんはレイリーと相談してみるか。

 ウルは、作る街の事を考えて、自分たちが過ごす場所は、いなくなった後に庁舎や兵士たちが過ごす場所として使えるように設計をして、立てる場所を考えるべきだとの事だ。

 ミーシャたち3人は、自分たちが過ごす時間の事を考えているが、ウルだけは自分たちがいなくなった後の事を考えているな。この差は多分、勉強している内容の差だと思う。

 ウルは、裏方として立場的には俺の位置に立つ人を支えるための勉強をしているので、未来を見据えて考えるようだな。おそらくだけど、俺の位置にいずれ来るのは、長男であるシンラだと考えている節がある。

 ミーシャたちは、絶対に嫌! 冒険者になる! と、常々言っているので、少なくとも土木組に近い行動か、密かに尊敬しているスカルズのメンバーのように行動しそうな気がするな。

 正直スカルズの装備は、俺の黒歴史に近いのだが、ミーシャたちはあの全身スーツがカッコいいと思っているようで、大きくなったら作ってもらうと言っているのだ。俺が作らなくても、綾乃やバザールも作れるので、止めることは無理だろう。

 プラムとシオンは良く分からないが、シンラを応援する立場になりそうなので、ウルと同じような感じになりそうだな……

 まぁ、シンラが領主になりたくないというのであれば、それでもかまわないんだけどな。俺の寿命は無いので、最近はずっと続けていいとも考えている。誰かに引き継いでもらいたいとは思っているが、無理やりはさせたくないとも考えている。

 グリエルたちみたいに、優秀な部下がいる間であれば、大した仕事は無いのでそれでもいいかな……と。

 それに、これからも子どもは増えていくと思うので、その中の1人がやりたいと言ってくれればいいなと、考えている自分もいる。妻たちの話では、1人は子どもを産みたいと思っており、出来ることなら3人くらいは産みたいと考えているようだ。

 寿命を延ばしているので、いつかは子どもが100人を超える日が来るかもしれないな。孫と同じや年下の子どもが生まれる日も来るか……いや! 娘たちは、嫁にやらん!

 頭に衝撃を受ける。

 振り向くと、カエデがいた。

「何か考えているかと思ったら、子どもたちの結婚について考えているなんて、思ってもみなかったわ。それに、嫁に行くいかないは、娘たちの自由でしょ。ある程度は見極める必要はあるけど、恋愛は自由なんだからね。邪魔したら駄目だよ」

 また独り言を言って、それを聞かれてしまったようだ。

 でも、娘たちは、とーたんのお嫁さんになる! って言ってるのに、他所に出すなんてできん!

 また頭を叩かれた。

「子どもたちと結婚できるわけないでしょ。バカな事言ってないで、土木組の子たちが来たから、私たちが過ごすための家の事を考えてきなさい」

 おっと、土木組の子たちも来たのか。大体のことは決まっているが、家の設計については全く決まっていない。土木組が協力してくれるので、基本的には石造りになるだろうから、それに合わせた設計をしないとな。

 子どもたちが過ごすことも考えると、一部の部屋は子どもたちが生活しやすいものにしないといけないか……ソフトフローリングを張るべきかな? っと、1人で考えないで、土木組の子たちの意見もしっかりと取り入れないとな。

 基本的には同じ敷地内で生活するので、食堂を中心に作り左右に俺たちと土木組に別れられるような設計にすることが決まる。

 他にも、1階は大きな食堂だが、2階より上は集まって遊べる場所にしてほしいと、お願いがあった。

 土木組の子たちも、ミーシャたちやシンラたちと仲がいいので、一緒に遊べる場所が欲しいとお願いされた結果、2階より上に大きな部屋を準備することが決まった。

 土木組の子たちなら、気にせずに俺たちのエリアに来ればいいと思ったのだが、仲がいいと言っても守るべきラインがあると言われた。

 自分たちのエリアに子どもたちが遊べる場所を作ると、そこに籠ってしまう可能性を考え、寝る場所以外は大きな部屋で過ごすような造りにしようと、妻たちからもお願いがある。

 よし、分かった。基本的な生活スペース以外は、全部そこに集まれるように設計しよう。土木組の子たちもそれでいいかな?

 使い終わった後は、そこに残る人間たちの事も考えないといけないから、無茶な設計はなしな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...