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第2023話 突然の工場見学
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ニコに振り回された次の日、何故か俺たちはみりんの製造工場に来ていた。
「えっと……昨日の夜に、突然ここに集まるように言われたんだけど、どうしてそうなったのか全く分かってないんだ。どういうことなのか、誰か説明してくれないかな?」
妻たちも半数ほど集まり、子どもたちは全員参加している。こういうところでは、抱っこされていることが多い下の子たちは、昨日の勝者であるスライムたちに騎乗して、見学するようだ。
「シュウ様、申し訳ありません。私が昨日、シンちゃんと話していた時に、みりんに興味を持っていたようなので、今度工場見学に行こうかと話したら、いつの間にか今日見学することになって、急すぎるから難しいと言ったら泣いてしまいまして……」
神授のスキルを引き継いだ時は心配していたが、特に問題も無いようなので安心している。そのネルが申し訳なさそうに、昨日の事を話してくれた。
事の始まりは、昨日のおやつに出てきたキャラメルだったそうだ。
俺は、キャラメルで何でみりんにたどり着くのかが分からずに、首を傾げてしまう。
話を聞いていくと、昨日作ったキャラメルの材料が、みりんと生クリームだったそうだ。だけど、キャラメルの材料って、牛乳や生クリームに砂糖とバターやマーガリンじゃなかったっけ? なのに、みりんがなぜ出てきたのか、意味が分からなかった。
どうも、俺がこっちに来てから始まった番組の中に、クッキングガイという家事の素人がMCをやっている番組で、キノコっぽい人や赤い人、アイドルだけど何となく普通っぽい人が絶賛していたらしく、それで紹介されたレシピで再現したキャラメルが昨日のおやつだったらしい。
俺は食べていないので、良く分からなかった。そんな心情を察してか、ブラウニーたちが準備を始めた。
ここで作られている、特上のみりんにダンジョン農園で搾られた牛乳で作った生クリームが出てきた。本当にこれだけが材料みたいだな……砂糖もないってどういうことだ?
分量は1:1みたいだな。少し大きめの平らなフライパンに流しいれ、中火でフツフツと泡が沢山出るまで混ぜ続ける。ある程度したら弱火に変え、とろみが出るまで混ぜ続ける。次第に粘りが出てきて、色がキャラメルっぽくなっていく。
15分ほど混ぜ続けた所で火から降ろして、型の中へ流し込んでいく。粘りが強くなっているので、ゴムベラなどを使ってキレイに落としているな。
見た目はキャラメルそのまんまだな。生クリームとみりんを煮詰めると、何でこうなるのかは分からないが、キャラメルが出来上がっていたのだ。
冷蔵庫などで粗熱をとれば完成なのだが、今回は時間短縮で魔法で出来立てキャラメルを冷やす。少し柔らかめなので、温度を低めにしているとの事だ。
切り別けられたキャラメルを受け取り、口の中へ……うん、お菓子で売っているキャラメルよりは甘くないが、しっかりと甘さがある。みりんや生クリームの甘さだけで、ここまで甘くなるのかね?
シンラたちもスライムで移動して、口の中にキャラメルを入れてもらっている。シンラたちには悪いが、餌をもらうツバメのヒナが、口を開けて一生懸命アピールしている姿に酷似している気がする。
作るのに時間はかかるけど、これならちょっとした時につまめるな。
作るのが大変かと思ったら、実はそんなことは無いそうた。すっかり忘れていたが、塩作りで使っている塩釜を流用して、一気に大量に作れるらしい。人の手が入らなくても、自動で混ぜてくれるように作ったあの釜であれば、温度調整もできるから見ているだけでいいのか……
これを食べたシンラが、みりんに興味を持ったということか。何で生クリームじゃなかったのだろうか? こいつのことだから牛乳と勘違いしている可能性もあるか。
製造工程を見て、日本酒の作り方と同じだと思った。
水に米麴、蒸したお米を入れていたのだ。途中の過程が違うのかと思ったら、既にこの段階で違っているというのだ。魔法で守られていたようで、少し結界を解除すると……
「「「おさけくちゃい」」」
下の子3人がシンクロして、お酒臭いと言った。カエデたちが飲み過ぎた後に、よく言われているセリフだ……じゃなくて、水だと思っていたがアルコールだったようだ。日本酒から作った焼酎で、アルコール度数が40パーセントを越えているそうだ。
お米も種類が違うようで、仕込む前の物を食べさせてもらった。
「「「もっちもち?」」」
また下の子たちがシンクロしている。確かにもちもちだな。ってことは……もち米か?
どうやら正解だったようだ。
米麹、掛米(蒸したもち米)、米焼酎などのアルコール度数が高い物で醪を造るそうだ。熟成の間に、米麹の力で、もち米のデンプンはブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に分解され、旨味や甘味を生じらしい。
完成したら、醪を搾り、みりんとみりん粕が出来上がる。
火入れを行い、瓶詰めをして、落ち着いたら完成なんだとか。
お米のデンプンは麹の働きによって、ブドウ糖に分解されるところまでは日本酒と一緒だ。日本酒では、その糖は酵母のエサとなり、アルコールとガス(二酸化炭素)を生成させ、アルコール発酵が行われる。
一方、みりんはアルコールと一緒に仕込むので、アルコール発酵しないそうだ。糖をアルコールに変える発酵をしない分、麹の力によって分解された糖が残り、日本酒よりも甘くなる……ということらしい。
シンラは分かっていないだろうが、フンフンと頷きながら分かっている風を装っている。
なるほどね。みりんが甘い理由って言うのは、米麹がもち米を糖に変えたものがそのまま残っているから甘いんだな。うちでは、甘さの違うみりんが用意されており、研究をして料理に合うみりんを使っていたりするそうだ。
後日、みりん粕で作った甘酒が、ドリアードたちにひそかな人気になった。酒粕で作られた甘酒とみりん粕でつくった甘酒に、大した違い話は無いと思っていたが、甲乙つけがたい美味しさがあるそうだ。
「えっと……昨日の夜に、突然ここに集まるように言われたんだけど、どうしてそうなったのか全く分かってないんだ。どういうことなのか、誰か説明してくれないかな?」
妻たちも半数ほど集まり、子どもたちは全員参加している。こういうところでは、抱っこされていることが多い下の子たちは、昨日の勝者であるスライムたちに騎乗して、見学するようだ。
「シュウ様、申し訳ありません。私が昨日、シンちゃんと話していた時に、みりんに興味を持っていたようなので、今度工場見学に行こうかと話したら、いつの間にか今日見学することになって、急すぎるから難しいと言ったら泣いてしまいまして……」
神授のスキルを引き継いだ時は心配していたが、特に問題も無いようなので安心している。そのネルが申し訳なさそうに、昨日の事を話してくれた。
事の始まりは、昨日のおやつに出てきたキャラメルだったそうだ。
俺は、キャラメルで何でみりんにたどり着くのかが分からずに、首を傾げてしまう。
話を聞いていくと、昨日作ったキャラメルの材料が、みりんと生クリームだったそうだ。だけど、キャラメルの材料って、牛乳や生クリームに砂糖とバターやマーガリンじゃなかったっけ? なのに、みりんがなぜ出てきたのか、意味が分からなかった。
どうも、俺がこっちに来てから始まった番組の中に、クッキングガイという家事の素人がMCをやっている番組で、キノコっぽい人や赤い人、アイドルだけど何となく普通っぽい人が絶賛していたらしく、それで紹介されたレシピで再現したキャラメルが昨日のおやつだったらしい。
俺は食べていないので、良く分からなかった。そんな心情を察してか、ブラウニーたちが準備を始めた。
ここで作られている、特上のみりんにダンジョン農園で搾られた牛乳で作った生クリームが出てきた。本当にこれだけが材料みたいだな……砂糖もないってどういうことだ?
分量は1:1みたいだな。少し大きめの平らなフライパンに流しいれ、中火でフツフツと泡が沢山出るまで混ぜ続ける。ある程度したら弱火に変え、とろみが出るまで混ぜ続ける。次第に粘りが出てきて、色がキャラメルっぽくなっていく。
15分ほど混ぜ続けた所で火から降ろして、型の中へ流し込んでいく。粘りが強くなっているので、ゴムベラなどを使ってキレイに落としているな。
見た目はキャラメルそのまんまだな。生クリームとみりんを煮詰めると、何でこうなるのかは分からないが、キャラメルが出来上がっていたのだ。
冷蔵庫などで粗熱をとれば完成なのだが、今回は時間短縮で魔法で出来立てキャラメルを冷やす。少し柔らかめなので、温度を低めにしているとの事だ。
切り別けられたキャラメルを受け取り、口の中へ……うん、お菓子で売っているキャラメルよりは甘くないが、しっかりと甘さがある。みりんや生クリームの甘さだけで、ここまで甘くなるのかね?
シンラたちもスライムで移動して、口の中にキャラメルを入れてもらっている。シンラたちには悪いが、餌をもらうツバメのヒナが、口を開けて一生懸命アピールしている姿に酷似している気がする。
作るのに時間はかかるけど、これならちょっとした時につまめるな。
作るのが大変かと思ったら、実はそんなことは無いそうた。すっかり忘れていたが、塩作りで使っている塩釜を流用して、一気に大量に作れるらしい。人の手が入らなくても、自動で混ぜてくれるように作ったあの釜であれば、温度調整もできるから見ているだけでいいのか……
これを食べたシンラが、みりんに興味を持ったということか。何で生クリームじゃなかったのだろうか? こいつのことだから牛乳と勘違いしている可能性もあるか。
製造工程を見て、日本酒の作り方と同じだと思った。
水に米麴、蒸したお米を入れていたのだ。途中の過程が違うのかと思ったら、既にこの段階で違っているというのだ。魔法で守られていたようで、少し結界を解除すると……
「「「おさけくちゃい」」」
下の子3人がシンクロして、お酒臭いと言った。カエデたちが飲み過ぎた後に、よく言われているセリフだ……じゃなくて、水だと思っていたがアルコールだったようだ。日本酒から作った焼酎で、アルコール度数が40パーセントを越えているそうだ。
お米も種類が違うようで、仕込む前の物を食べさせてもらった。
「「「もっちもち?」」」
また下の子たちがシンクロしている。確かにもちもちだな。ってことは……もち米か?
どうやら正解だったようだ。
米麹、掛米(蒸したもち米)、米焼酎などのアルコール度数が高い物で醪を造るそうだ。熟成の間に、米麹の力で、もち米のデンプンはブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に分解され、旨味や甘味を生じらしい。
完成したら、醪を搾り、みりんとみりん粕が出来上がる。
火入れを行い、瓶詰めをして、落ち着いたら完成なんだとか。
お米のデンプンは麹の働きによって、ブドウ糖に分解されるところまでは日本酒と一緒だ。日本酒では、その糖は酵母のエサとなり、アルコールとガス(二酸化炭素)を生成させ、アルコール発酵が行われる。
一方、みりんはアルコールと一緒に仕込むので、アルコール発酵しないそうだ。糖をアルコールに変える発酵をしない分、麹の力によって分解された糖が残り、日本酒よりも甘くなる……ということらしい。
シンラは分かっていないだろうが、フンフンと頷きながら分かっている風を装っている。
なるほどね。みりんが甘い理由って言うのは、米麹がもち米を糖に変えたものがそのまま残っているから甘いんだな。うちでは、甘さの違うみりんが用意されており、研究をして料理に合うみりんを使っていたりするそうだ。
後日、みりん粕で作った甘酒が、ドリアードたちにひそかな人気になった。酒粕で作られた甘酒とみりん粕でつくった甘酒に、大した違い話は無いと思っていたが、甲乙つけがたい美味しさがあるそうだ。
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