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第2002話 発展は見られず
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食堂へ行くと、俺と同じように休憩をしている職員がいた。仕事のパフォーマンスをあげるために、休憩は多く設定している。まぁ、始めは休み過ぎて仕事が終わらないこともあったが、今では適度に休みを取ることができており、それでもなお終業前に1日のタスクが終わる。
庁舎で働くだけあって、みんな優秀なのである。初めのころの失敗は、知らないからこそ起こる失敗ということだ。未知に対して正確に答えを出せる者なんていないからな。
優秀なみんなを見て思うが、俺は微妙な働き方をしているから、みんなに悪い気がするんだよね。日本では学生だったから、社会に出て優秀かそうでないかは分からないけど、インドアでゲーム好き……自分の得意分野なら、指示されればそれなりにできただろう。
でも、指示を出す側にはなれないと思う。指示を出される環境で働いていれば、その内できるようになった可能性もあるが、良く分からない。
今の俺も色々指示している立場であるが、現状は大体決まった仕事を丸投げしているだけだからな。領主の仕事は、ほとんどがグリエルたちに丸投げ。決裁の必要な書類や、確認をしてほしい報告書などだけが回ってくる状況だな。
今日のおやつは……プリンか。庁舎の食堂では、この時間に個別の注文は出来ないが、準備されたお菓子やスイーツを食べることが可能である。個数の制限はあるが、無料で配布されている。なかなか休まなかった人たちに、休む口実を与えるために始まった施策だったかな?
ブラウニーたちにプリンをお願いすると、他の職員とは違う棚から俺専用ということで、プリンを出してくれた。もちろん、従魔たち用のおやつも準備してくれている。
俺たちは空いている場所へ移動して、みんなの前におやつを置いてやる。
床ではなく、テーブルの上に置いてもキレイに食べるので、全員分テーブルの上に置いている。ダマやテトは椅子にちょこんと座り食べ、シエル・グレン・レオンは、机の上にシートを引いてその上に乗り食べ始めた。ライとランは体が大きいので、床に座った状態でテーブルの上に顔が届く。
糖分が頭に染みわたる……気がする。喉が渇いたときに水分を取ると、五臓六腑に染みわたるという言葉のような比喩的な言い回しだが、プリンを食べたことで頭がすっきりした気がする。
これでいい考えでも浮かべばいいのだが、そうは問屋が卸さない。
子どもたちと触れ合える時間が減るが、一番時間の余っている俺が考えないでどうする! といき込んでみたものの、いい方法などは思いつかない。よし、援軍を呼ぼう。あまり役に立たないかなと思って、綾乃とバザールには声をかけていなかったんだよね。
その2人にも話を聞いてみよう。
2人とも呼び出して10分もかからずに到着した。どこで何してたんだ? とおもったら、急ぎだと思ったからゲートを利用してきたらしい。執務室への直通は俺がいないと使えないので、一番近いゲートを使って移動してきたようだ。
住人は入ったゲートからしか出られないのだが、俺が許可した人だけは、複数あるゲートを自由に行き来できるようにしているんだった。緊急時以外は使わないように言ってあった。久しぶりだったせいで思い出せなかったようだ。
20分くらいで簡単に状況を説明して、今までの話し合いの結果を伝える。
「あらかた議論されつくした感じでござるな。今もひっきりなしに送られてくるメールも、派生系や応用系のようなものでござる」
「そうね。ここまで議論されていて結論のすべてが否定されているとなると、私たちの知らない未知の力ってことよね。それだと探しようがないわね……呪いと言えば、丑の刻参りとかどう?」
「あれは、深夜に人形を釘で打ち付けるでござったか? あれは、人に見られたらいけないとかあるでござるが、複数人を同時に行うものではないのではござらんか?」
「丑の刻参りって言うとあれか、頭にロウソクをつけて白装束をきてやるあれだったな。頭にロウソク……不安定な状態でロウソクが燃えたら垂れるよな? あれ火傷しないのかね? 技術の進んだ今なら、火傷するほど熱くないロウもあるみたいだけど、昔は……そう考えると、すげえな」
長ければ落ちる間に冷えるかもしれないけど、ダイレクトに解けたロウが垂れたら、頭皮が火傷だらけになりそうだ。かなり高等な技術だったかもな。
「話がズレてる。丑の刻参りじゃなければ……陰陽道的な何かかな?」
「あれは、誰かに呪いをかけたりするんじゃなくて、どちらかというと穢れを払ったり、守ったりする感じじゃなかったでござるか?」
「そもそも、あそこらへんの技術が本物だったとして、誰でも習得できる物でもないよな? 転生者やダンマスや勇者が陰陽道の何かを使える確率を考えると……さすがにありえなくね?」
「勇者でござったら、一応検索に引っかかるでござるよね? 近くにいないでござるか?」
「あ~、隠蔽勇者の件から1日に3~4回ほどチェックしてもらって、どの街に何人いるか確認はしているんだよ。イメージや場所が分かれば、何とかできるんだったらチェックは意味がないからな~。あんまりあてにならんし、ダンジョンマスターだったら調べられないしな」
「ダンジョンマスターの能力だったりしないの?」
「俺より上のダンジョンマスターが、この世界にいるとは思わないけど、いたとしても相手のエリアに干渉するとなれば、そうとうなDPがかかるはずだし、何かしらの痕跡がありそうなものだけどな」
「でも、ダンジョンではないでござるから、調べる方法は無いでござるよね?」
確かに調べることなんてできないな。
2時間ほど3人で頭を悩ますが、やはり手詰まりだな……取り合ず今日は解散するかな。骨と引きこもりを家に送り帰そう。
「もうさ、特定物質の過剰摂取なんじゃない? 薬とか言って、体の中にあっても不思議じゃない物質が大量に摂取したんじゃない?」
「一応、そっちの捜査も進めてるけど、今の所それらしき手掛かりは無いんだよな。亡くなった男性の家族にもお願いして、家を調べさせてもらったけど、それらしき物は無かったんだ」
「どうにもならないでござるね。本当は偶然だったって可能性も、あるでござるな」
今日は解散となる。
庁舎で働くだけあって、みんな優秀なのである。初めのころの失敗は、知らないからこそ起こる失敗ということだ。未知に対して正確に答えを出せる者なんていないからな。
優秀なみんなを見て思うが、俺は微妙な働き方をしているから、みんなに悪い気がするんだよね。日本では学生だったから、社会に出て優秀かそうでないかは分からないけど、インドアでゲーム好き……自分の得意分野なら、指示されればそれなりにできただろう。
でも、指示を出す側にはなれないと思う。指示を出される環境で働いていれば、その内できるようになった可能性もあるが、良く分からない。
今の俺も色々指示している立場であるが、現状は大体決まった仕事を丸投げしているだけだからな。領主の仕事は、ほとんどがグリエルたちに丸投げ。決裁の必要な書類や、確認をしてほしい報告書などだけが回ってくる状況だな。
今日のおやつは……プリンか。庁舎の食堂では、この時間に個別の注文は出来ないが、準備されたお菓子やスイーツを食べることが可能である。個数の制限はあるが、無料で配布されている。なかなか休まなかった人たちに、休む口実を与えるために始まった施策だったかな?
ブラウニーたちにプリンをお願いすると、他の職員とは違う棚から俺専用ということで、プリンを出してくれた。もちろん、従魔たち用のおやつも準備してくれている。
俺たちは空いている場所へ移動して、みんなの前におやつを置いてやる。
床ではなく、テーブルの上に置いてもキレイに食べるので、全員分テーブルの上に置いている。ダマやテトは椅子にちょこんと座り食べ、シエル・グレン・レオンは、机の上にシートを引いてその上に乗り食べ始めた。ライとランは体が大きいので、床に座った状態でテーブルの上に顔が届く。
糖分が頭に染みわたる……気がする。喉が渇いたときに水分を取ると、五臓六腑に染みわたるという言葉のような比喩的な言い回しだが、プリンを食べたことで頭がすっきりした気がする。
これでいい考えでも浮かべばいいのだが、そうは問屋が卸さない。
子どもたちと触れ合える時間が減るが、一番時間の余っている俺が考えないでどうする! といき込んでみたものの、いい方法などは思いつかない。よし、援軍を呼ぼう。あまり役に立たないかなと思って、綾乃とバザールには声をかけていなかったんだよね。
その2人にも話を聞いてみよう。
2人とも呼び出して10分もかからずに到着した。どこで何してたんだ? とおもったら、急ぎだと思ったからゲートを利用してきたらしい。執務室への直通は俺がいないと使えないので、一番近いゲートを使って移動してきたようだ。
住人は入ったゲートからしか出られないのだが、俺が許可した人だけは、複数あるゲートを自由に行き来できるようにしているんだった。緊急時以外は使わないように言ってあった。久しぶりだったせいで思い出せなかったようだ。
20分くらいで簡単に状況を説明して、今までの話し合いの結果を伝える。
「あらかた議論されつくした感じでござるな。今もひっきりなしに送られてくるメールも、派生系や応用系のようなものでござる」
「そうね。ここまで議論されていて結論のすべてが否定されているとなると、私たちの知らない未知の力ってことよね。それだと探しようがないわね……呪いと言えば、丑の刻参りとかどう?」
「あれは、深夜に人形を釘で打ち付けるでござったか? あれは、人に見られたらいけないとかあるでござるが、複数人を同時に行うものではないのではござらんか?」
「丑の刻参りって言うとあれか、頭にロウソクをつけて白装束をきてやるあれだったな。頭にロウソク……不安定な状態でロウソクが燃えたら垂れるよな? あれ火傷しないのかね? 技術の進んだ今なら、火傷するほど熱くないロウもあるみたいだけど、昔は……そう考えると、すげえな」
長ければ落ちる間に冷えるかもしれないけど、ダイレクトに解けたロウが垂れたら、頭皮が火傷だらけになりそうだ。かなり高等な技術だったかもな。
「話がズレてる。丑の刻参りじゃなければ……陰陽道的な何かかな?」
「あれは、誰かに呪いをかけたりするんじゃなくて、どちらかというと穢れを払ったり、守ったりする感じじゃなかったでござるか?」
「そもそも、あそこらへんの技術が本物だったとして、誰でも習得できる物でもないよな? 転生者やダンマスや勇者が陰陽道の何かを使える確率を考えると……さすがにありえなくね?」
「勇者でござったら、一応検索に引っかかるでござるよね? 近くにいないでござるか?」
「あ~、隠蔽勇者の件から1日に3~4回ほどチェックしてもらって、どの街に何人いるか確認はしているんだよ。イメージや場所が分かれば、何とかできるんだったらチェックは意味がないからな~。あんまりあてにならんし、ダンジョンマスターだったら調べられないしな」
「ダンジョンマスターの能力だったりしないの?」
「俺より上のダンジョンマスターが、この世界にいるとは思わないけど、いたとしても相手のエリアに干渉するとなれば、そうとうなDPがかかるはずだし、何かしらの痕跡がありそうなものだけどな」
「でも、ダンジョンではないでござるから、調べる方法は無いでござるよね?」
確かに調べることなんてできないな。
2時間ほど3人で頭を悩ますが、やはり手詰まりだな……取り合ず今日は解散するかな。骨と引きこもりを家に送り帰そう。
「もうさ、特定物質の過剰摂取なんじゃない? 薬とか言って、体の中にあっても不思議じゃない物質が大量に摂取したんじゃない?」
「一応、そっちの捜査も進めてるけど、今の所それらしき手掛かりは無いんだよな。亡くなった男性の家族にもお願いして、家を調べさせてもらったけど、それらしき物は無かったんだ」
「どうにもならないでござるね。本当は偶然だったって可能性も、あるでござるな」
今日は解散となる。
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