ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1996話 期待バク上がり?

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 土づくりが終わり2日間、ミーシャたちは何か変化があるわけでもないのに、1日に何回もプランターや畑を見に行く姿が微笑ましかった。ドリアードから土の変化は無いと説明を受けていたが、タネをまく日まで待ちきれないのか、ワクワクしている様子が見られた。

 普段は大人びていると感じるウルも一緒に、プランターや畑を見に行く姿を見て、年相応の行動もとるんだな、と思っていた。

 妻たちも同じように考えていたが、ミリーたち3人は、あっちの世界に連れていかれて、退行した可能性を心配していた。年相応であれば退行しても構わないと思うが、心がやんでいないか心配をしているのだ。様子を見ると言って、シルクちゃんとツィード君にはお願いしていないからね。

 ん~心配になるが、俺には機微は分からん。様子を見るのは妻たちにお願いして、俺はいつも通りに娘たちを甘やかす役を引き受ける。

 急に行動が変われば、子どもたちの不審に思うし、いつも通りに振舞うということは、自分たちが思う以上に周りに安心感を与えると分かっているので、俺はいつも通りに娘たちを甘やかすことにした。

 いつも通りに振舞うことが大切なのは、グリエルやガリアだけでなく、ゼニスやレイリーにもことあるごとに言われている。俺だけでなく妻たちも言われているのは、街のトップ……俺の妻たちだから、最低限必要な振る舞いとして色々教わっているのだとか。

 レイリーの話では、指揮をする人間が取り乱す姿を見せれば、下の者たちが不安になり士気が下がる。戦略的にも良くないのだが、戦術的には部下たちにこの人についていってもいいのか? と不信感を募らせてしまうので、どんな時でも落ち着いていることが大切だと教わった。

 ゼニスからは、商売をするうえでポーカーフェイスは、大切な技術だと聞く。予想外の事があっても、それを覚らせるとこちらが不利になるので、いつも通りに振舞うことは大切なんです! と言われている。

 かみ砕いた内容であるが、精神的支柱の人間が落ち着いているだけで、集まっている人間は落ち着ける要素になる。どんなことがあっても、平常心・いつも通りを心掛けるようにグリエルたちにも言われている。

 俺がいなくなっていた期間、妻たちが落ち着くまでは、かなり大変だったとグリエルたちが言っていたので、相当取り乱していたんだろうな……でも、俺たちが安全だということが分かって、心配だけど安心できる状況になったから、ディストピアに何もなかったんだろうな。

 もし俺の様子が分からなかったら、妻たちが暴走しただろうし、それに応呼して従魔たちも制御不能になり、子どもたちも暴走すれば……街の1つや2つ無くなってもおかしくない戦力が、暴れ出すところだったんだよな。

 街を破壊するだけなら、メグちゃんとシリウス君がブレスを吐けば一発だしな。

 そう考えると、かなり危ない状況だったんだな。

 本日何度目か分からないが、プランターや畑を見に行く娘たちの後に続いて、俺も一緒に様子を見に行く。それを発見したシンラがいち早くスライムに指示して、追いかけてきた様子は面白かったな。何か必死になってこっちに来るんだから、何事かと思うわな。

 別にくっ付いていたわけでもないのに、シンラが移動したと分かるとプラムとシオンも追いかけてくるのは、もはや見慣れた光景だな。そういえば、追いかけられている姿は見るけど、寝てるとき以外に抱き着かれている姿を見る機会が減っている気がするな。

 ウッドデッキに出た俺とシンラは、先に出ていた姉たちをみる。土の様子を見ているだけではなく、プランターに何を植えるか、どこにどういった色の物を配置するか考えているようだ。

 自分のタブレット端末を取り出して、いろいろ相談している。追いついてきたプラムたちは、そのまま姉たちのもとへスライムを進めて、話し合いに参加し始めた……何をするのか理解しているのかね?

 ズボンに重さを感じるので見てみると、シンラが俺の服に捕まり体をよじ登ってきていた。どうやら、抱っこをしてほしいみたいだな。スライムの上の方が気持ち良くないのか? とも思うが、俺がいいみたいだな。たまには可愛いことを言ってくれるじゃないか!

「別にそう言うことじゃないと思うかな。スライムたちだと高さがないから、ちょうどいいところにシュウさんがいたから、体をよじ登ったんだと思いますよ」

 プラムたちを追いかけて、ライラたち母親が追いかけてきたようだ。ライラが言ったように、ある程度の高さがあればいいのか、ライラを見つけると移動したがるので、シンラを受け渡した。

 娘たちの輪に入ろうとしたら、プラムとシオンが何やらスライムに指示を出したようで、集まってきたスライムに行く手を妨害される……俺の従魔なのに何で俺がハブられるんだろうか? そして、プラムとシオンに嫌われることなんてしてないと思うんだけどな。

 本当にあの2人は良く分からないから困るわ。それに下の子たちは、俺でも指示に苦労するスライムたちを、意のままに操るんだから恐れ入るわ。

 シンラにもフラれ、娘たちにもフラれ、俺は意気消沈である。

 ウッドデッキに設置した椅子に腰を掛け、しばらく様子を見ることにした。

 どうやら当初の予定通り畑には花を植えるので花を選んでいるが、プランターには野菜を植えるようだ。自分たちも良く知らない野菜を植えるらしく、成長後の野菜をみて雰囲気で決めているようだな。

 でもな、根菜類はそのプランターじゃ無理だから、植えちゃだめだぞ。妻たちよ、誰か注意してくれ。せめて、横に寝るような感じで根っこが伸びるように、塩ビ管でも使わないとおかしなものができるぞ。

 グリーンカーテンを作るのはどうかと思ったが、ウッドデッキの大きさを考えると無理だな。準備に時間がかかるし、それだけになっちまうからな。

 時期的に育たないようなものまで植えようとしているけど、そこらへんは勉強ということで、育たなかったらその原因を考えさせてもいいかもな。

 初めての事だから、本人たちに考えてもらうのが一番だろう。アドバイスはドリアードたちに任せてるからな。

 話し合いが終わったのか、ミーシャたちが俺の椅子付近に集まってきた。俺の背中にミーシャ両足にスミレとブルムが張り付いたので、両腕が空いている……ウルに向けて両手を開くと、恥ずかしそうな表情で胸のあたりにピトリとくっ付いてきた。

 ミーシャたちも何かわかっているのか、ズルいとかいうことなくニコニコしている。
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