ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1933話 行動開始

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 ウルの作ってくれたカレーを食べながら、綾乃に簡単な説明を行った。俺たちと合流できたから、綾乃もその可能性を考えていたらしい。短い時間で良く辿り着いたと思ったが、俺たちが探していたということは、ここにきている人間に共通点があると言うことだろう、と考えたんだとさ。

 こういう時のこいつって、本当に勘が鋭いと言うかすごいよな。それが間違っていないんだから、さすがというべきかね。

 できればもう寝てしまいたいのだが、寝るための道具……寝具がねえんだよな。この状態で寝るのは、かなり厳しい。簡易的にでも、何かを用意しないとな。

「綾乃、今日は適当でもいいから、敷布団と掛布団をスキルで作ってもらっていいか?」

 綾乃の神授のスキルで生み出される素材は、結構イメージ通りに生み出せるのだ。羊毛を毛布状に生み出せたりするので、それをお願いする。綾乃は、気軽に了承してくれた。

 人数分。俺、ウル、綾乃、ライガ、ロジーと5人分だ。バザールは、必要ないので作る必要はなかった。

 バザールに警備を任せて、俺たちは寝ることにした。綾乃は、お風呂にはいれていなかったので、風呂があると分かった瞬間に、突撃していった。俺は、ウルと少し話をしてから寝ようと思ったが、良く分からない所に連れてこられたウルは、俺たちと合流できたとは言え、かなり参っている様子だ。

 マジで神共に文句を言わねえと気が済まねえな……チビ神、あれだけ色々貢いでやってたのに、この仕打ちは本当に許さん!

 ウルは、1人で寝るのが怖いと言うことで、俺と一緒に寝ることになった。綾乃じゃなくて俺を選んでくれるのは、お父さんとしてすごく嬉しいのである! 普段ならミーシャたちがいるから、俺の体から離れた位置なのだが、今日は抱き着くような形で俺の腕枕の中で寝ている。

 目が覚めるとウルは昨日寝る前と同じような体勢で、俺に抱き着いたまま寝ていた。時計がないから、何時かは分からないが、いつもの感覚で言えば朝食を食べている頃だろう。

 ウルの事を考えると起こすのは良くないよな。俺やバザール、綾乃の日本から来たグループは、2度目の体験で多少混乱はしたものの、年の功もあって立て直すことができた。でもウルは、過酷な乳幼児期を送っていたが、俺たちとは違うのだ。

 合流できたとしても、まだ子どもだ。俺たちのように、全てを飲み込み混乱せずにいることは出来まい。抱きかかえるようにして、背中をポンポンとしてやる。まだ寝ているので無意識なのだろう、先ほどより強く抱き着いてきた。

 無意識なのに、不安を感じているのだろう。ウル、俺はお前の父親だ。お前のことは、死んでも守ってやる……違うな、意地汚く生きてお前を守ってやる。どんなに卑怯だと言われても、守ってやる。

 1時間ほど経った頃だろうか、目が覚めたようで、

「お父さん、おはよう」

 そう言って、ウルが目を覚ました。昨日よりは、落ち着いているかな? それとも実感がない状態で、不安だけを感じている状態かな?

 朝食は、全員がご飯を食べたいとのことだったので、綾乃に調味料や香辛料を各種出してもらい、ライガに卵、ベーコン、ウィンナー、干物、梅干し、ホウレン草、納豆などを出してもらう。

 素材から力を入れているブラウニーたちの食事には負けるが、飽食の国から取り寄せているのと変わらない食材を使い、せっせと料理を作っていく。ウルも手伝うと言って、キッチンに一緒に立つ。

 手の込んだものを作るわけではないので、ウルにも問題なく作ることができる。ウルには手間のかからない、ベーコンやウィンナーを焼いてもらいながら、ホウレン草を茹でてもらった。湯がき終わったら絞って、おひたしにしてもらう。

 俺は、卵を溶いて鉄板でスクランブルエッグを作りながら、バザールの作ったグリルでアジ、イカ、サバなどの一夜干しを焼いていく。お米はレトルトで、ライガに出してもらったものを湯煎している。米も綾乃が素材として召喚できるのだが、炊く物がなかったので湯煎で対応している。

 簡単に用意したものだが、量はかなりのものだ。5人分なのだが、量的には20人分くらいは軽くある。綾乃とウルは、一人前ちょっとだろう。ロジーに至っては、半人前も食べないかな? 俺が二人前ほどで、残りは全部ライガだな。

 英雄症候群のライガは、人の数倍は食べないと力を維持できないからな。シュリと比べても、ライガの方がよく食べるだろう。体の大きさが違うから、食べる量もそれに応じて増えているのだと思う。

 正直、ライガが自分で食料を生み出せなかったら、四六時中食料確保を念頭に置いて行動しなければならなかったと思う。俺の知らない所で、神授のスキルをライガに継承したみんな、グッジョブだ!

 ライガは、朝食を作っている間も、自分で生み出したおにぎりをムシャムシャ食ってたしな。そのうえで、更に十五人前以上食べるつもりなのだ。恐ろしく燃費の悪い体だが、戦闘になればこいつほど頼りになる奴はいないな。

 食事を食べ終わり、俺たちは今後の行動方針を考えることにした。

 現状、神の遊戯と仮定しているが、クリア条件が分からないので、敵を捕らえ尋問や拷問をして、情報を引っこ抜くしかないんだよな。俺が魔法を使えれば、簡単だったんだけどな……

「とりあえず、二手に分かれよう。ライガはバザールと組んで情報収集を頼む。俺と綾乃は、色々モノづくりをしていこう。身に着ける武器防具もそうだけど、念のために魔法薬が作れるか確認したいし、拠点の充実化もしていきたい」

 情報収集とは言っているが、ウルがいるので濁していっている。ウルとロジーは、俺たちとは違う視点で集めた情報を見てもらうことになった。限定的にでもダンジョンマスターの力が使えれば、ウルたちに娯楽を提供できたんだけどな……

「よし、行動開始! バザールは、サイレントアサシンを操って、ライガとの連絡役と拠点の周囲の警戒をよろしく。俺と綾乃は、初めに拠点の充実化を図る。あ、バザール、工房みたいなのも作れるか?」

「問題ないでござる。リッチであれば、昨日魔力が余っている時に作り出しておいたので、問題ないでござる」

 こいつ、アンデッド作成のスキルを使えるらしい。俺は使えないのに、何でこいつだけ……魔法を使えるのと同じ理由かね? 拠点で魔力に困らなくなるのは、正直助かるな。

「シュウ、魔道具の作成も視野に入れるの? 効率は悪いけど、魔力を外部から注ぐタイプも作ってたわよね。あれは、作るつもりあるの?」

「あ~、大量に魔力を消費する、炉には使った方が良いかもな。俺の魔力は基本的に、余っている状態だから無駄にするのも良くない。でもその前に、きちんとしたベッドと寝具を作るぞ! その後は、服だな。そこらへんが整ったら、拠点を充実させて、装備を作っていこう。ライガ、無理だけはするなよ」

 全員が行動を開始する。
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