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第1922話 ここはどこ?
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肉球マッサージをした夜、不思議な夢を見た。いや、肉球マッサージは関係ないんだけど、不思議な夢を見たのだ。
眠りについたはずなのに、目が覚めた感覚があり目を開く。
俺が横になっていた部屋ではなく、どこか分からない森の中で寝ていたようだ。あたりを見回し、自分の知っているものが無いか探し始めた。知らないものばかりだと落ち着かないので、心の安定を求めて自分の知っている物を必死に探したのだと思う。
今いる場所からは、俺の知識にある物は見つけられなかった。目の前にある木でさえ、俺の知識の中にないモノなのだ。
俺が4人くらいで手を伸ばせば、1週出来るほどの幹の天辺に、ちょこんと数枚大きな葉っぱがあるだけの木や、針葉樹と広葉樹の葉が混ざって1つの木から生えていたり、俺の知らないものが目の前にあるのだ。
少なくとも、ここが日本ではないのは確かだろう。地球だったとしても、針葉樹と広葉樹の葉を同時につける木なんて無いと思う。ってことは、やはり召喚された世界のどこかなのだろうか?
確認するために手を伸ばし、ダンジョンマスターのスキルを発動した。が、発動しなかった……
「ん? ここは、あの世界でもないのか? ってか、夢の中だよな? 良く分からないけど、無駄にリアリティが高い夢だな。俺はこんな夢で何をしたいんだ?」
体が正常に動くかを確認する。特に変わりはないと思う。ダンジョンマスターの能力が使えないので、身体能力が地球にいたときに近いかと思ったが、そうでもなかった。チビ神に改造されて、レベルをカンストした寝る前の体と変わりがないと思う。
その証拠に、太い幹だけの良く分からない木を殴ると、破裂したように幹が吹っ飛んだ。っと、そういえば、来ている服って……おや? この前ダンジョンに着ていった、革鎧をつけているな。クリエイトゴーレムを使って、伸び縮みする特殊な革だ。
ということは、
「マジックアロー」
…………
魔法を使ってみたが、魔法は発動しなかった。やっぱり、地球でも召喚された世界でもない、どこか分からない星なのだろうか? 魔法は使えないが、スキルは有効のようだ。鑑定ができるのだ。できても、植物の名前もどんな植物なのかも、文字化けしていて全く分からないんだけどな。
「さて、ここはどこなのだろうか? そして、俺は何でこんな夢を見ているんだろうか?」
自分の考えをまとめるために、いつもの独り言が始まる。
「未知の惑星だとしよう。地球と召喚された星は、結構共通点があったよな。意識してなかったけど、似たような木はどっちにもあったし、食材も見たことある物が多かった。知らないものももちろんあったが、それは地球でも一緒だろう」
ん~、何でこんなところにいるかは、考えても無駄なのだろう。召喚された時と一緒で、俺に決定権なんて何もなかったもんな。
「でも、チビ神たちには、世界を跨いだ転移は不可能だったはずだし、勇者召喚されたのなら祠の様なところだよな? ダンジョンマスターとして、ここに来たわけではないのなら……って、夢の中でそんなこと考えても仕方がないな」
ストレッチをしながら、体の一部をつねってみたりして痛覚も確認してみる。夢だったらこれで目が覚めるオチなのだが、ただ単に痛い……
「さて、どうしたものか? 目の前の木を殴れば弾けたが、この世界でステータスとしてはこれが普通なのか、本当に寝る前の体が基準になっているのか、良く分からないな。死んだところで目が覚めるとも限らんし、少しこの世界を探検するか?」
夢落ちで目が覚めるならいいのだが、夢の中で死んで精神まで一緒に死んでしまったら、どうしようもなく困るのだ。俺は意地でも、妻や子どもたちのいる現実に生きて帰るのだ。
俺がこんな風に考えているのは、異世界に転移させダンジョンマスターという能力を、付与できる存在が実際にいることを知っている。この現実と区別のつかないような夢の中で、実際に死んだら現実でも死んでしまうのでは? という疑念があるからだ。
「さて、魔法は使えないが、防具はある。一応、ナイフもあるな。ナイフというよりは剣鉈か。クリエイトゴーレムで作った、腰の後ろに刺してあるミスリル合金製にアダマンコーティングをしている奴だな。見た目が一緒だからって、性能が一緒とは……一緒っぽいな」
木を切りつけてみたら、刃が簡単に全部埋まった。他の木でも試してみたが同じような感じで、刃が木の幹に埋まる。
「でも、これしかないのに、多用しすぎて壊れるのは困るな。革鎧の伸縮機能はあるが、自動修復機能も有効か分からないしな。身体能力は高いんだから、高い木に登って周囲を見渡してみるか」
そう口にしながら、一番背の高い木を探す。俺の感覚がおかしくなっていないのであれば、初めに殴りつけた木がおよそ20メートルほどだろう。針葉樹と広葉樹の特徴を持っている木が、3~40メートルくらいだと思う。
地球の木ってこんなに高かったっけ? ディストピア周辺の木は、30メートルはあったと思うけど、あれは数日であのサイズになるけど、ほとんどそれ以上大きくならないんだよな。
見回して、一番高そうな木に登っていく。始めのジャンプと三角飛びの要領で、10メートルくらいの所にしがみつく。幹に指を指して握っているような形だ。足の踏ん張るところが無いので、腕の力だけで20メートルほど登ると、やっと枝に到着する。
枝を伝いどんどんと上へ進んでいき、天辺に近付く。幹は多少細くなっているが、天辺付近でも直径20センチメートル位あるんじゃないかな?
一番高そうに見えた木なのだが、他にも同じくらいの木がたくさんあるので、見渡しにくいが……うん、これは全く知らない世界だな。
バッハとかに乗って色々な場所を見たりしたけど、こんな景色は見たこと無かった。何に近いかと聞かれれば、ダンジョンの中にある法則を無視した、森林系のダンジョンだと思う。あそこには、俺の知らない植物とか普通にあったからな。
「でも見える範囲に、鳥もいないし生物も見当たらないんだよな。山ではないみたいだし……水場を探すべきか? 良く分からないけど、向こう側は森が途切れている気がするんだが……崖だったりしないよな?」
身体能力に物を言わせて走ってもいいが、その時にこの世界の生物に遭遇して、もし相手が俺より強かった場合は、とても困ってしまう。樹海を歩くような慎重さで、水場を探すべきか?
何でこんな夢を見ているのか、まったく意味が分からんな。
眠りについたはずなのに、目が覚めた感覚があり目を開く。
俺が横になっていた部屋ではなく、どこか分からない森の中で寝ていたようだ。あたりを見回し、自分の知っているものが無いか探し始めた。知らないものばかりだと落ち着かないので、心の安定を求めて自分の知っている物を必死に探したのだと思う。
今いる場所からは、俺の知識にある物は見つけられなかった。目の前にある木でさえ、俺の知識の中にないモノなのだ。
俺が4人くらいで手を伸ばせば、1週出来るほどの幹の天辺に、ちょこんと数枚大きな葉っぱがあるだけの木や、針葉樹と広葉樹の葉が混ざって1つの木から生えていたり、俺の知らないものが目の前にあるのだ。
少なくとも、ここが日本ではないのは確かだろう。地球だったとしても、針葉樹と広葉樹の葉を同時につける木なんて無いと思う。ってことは、やはり召喚された世界のどこかなのだろうか?
確認するために手を伸ばし、ダンジョンマスターのスキルを発動した。が、発動しなかった……
「ん? ここは、あの世界でもないのか? ってか、夢の中だよな? 良く分からないけど、無駄にリアリティが高い夢だな。俺はこんな夢で何をしたいんだ?」
体が正常に動くかを確認する。特に変わりはないと思う。ダンジョンマスターの能力が使えないので、身体能力が地球にいたときに近いかと思ったが、そうでもなかった。チビ神に改造されて、レベルをカンストした寝る前の体と変わりがないと思う。
その証拠に、太い幹だけの良く分からない木を殴ると、破裂したように幹が吹っ飛んだ。っと、そういえば、来ている服って……おや? この前ダンジョンに着ていった、革鎧をつけているな。クリエイトゴーレムを使って、伸び縮みする特殊な革だ。
ということは、
「マジックアロー」
…………
魔法を使ってみたが、魔法は発動しなかった。やっぱり、地球でも召喚された世界でもない、どこか分からない星なのだろうか? 魔法は使えないが、スキルは有効のようだ。鑑定ができるのだ。できても、植物の名前もどんな植物なのかも、文字化けしていて全く分からないんだけどな。
「さて、ここはどこなのだろうか? そして、俺は何でこんな夢を見ているんだろうか?」
自分の考えをまとめるために、いつもの独り言が始まる。
「未知の惑星だとしよう。地球と召喚された星は、結構共通点があったよな。意識してなかったけど、似たような木はどっちにもあったし、食材も見たことある物が多かった。知らないものももちろんあったが、それは地球でも一緒だろう」
ん~、何でこんなところにいるかは、考えても無駄なのだろう。召喚された時と一緒で、俺に決定権なんて何もなかったもんな。
「でも、チビ神たちには、世界を跨いだ転移は不可能だったはずだし、勇者召喚されたのなら祠の様なところだよな? ダンジョンマスターとして、ここに来たわけではないのなら……って、夢の中でそんなこと考えても仕方がないな」
ストレッチをしながら、体の一部をつねってみたりして痛覚も確認してみる。夢だったらこれで目が覚めるオチなのだが、ただ単に痛い……
「さて、どうしたものか? 目の前の木を殴れば弾けたが、この世界でステータスとしてはこれが普通なのか、本当に寝る前の体が基準になっているのか、良く分からないな。死んだところで目が覚めるとも限らんし、少しこの世界を探検するか?」
夢落ちで目が覚めるならいいのだが、夢の中で死んで精神まで一緒に死んでしまったら、どうしようもなく困るのだ。俺は意地でも、妻や子どもたちのいる現実に生きて帰るのだ。
俺がこんな風に考えているのは、異世界に転移させダンジョンマスターという能力を、付与できる存在が実際にいることを知っている。この現実と区別のつかないような夢の中で、実際に死んだら現実でも死んでしまうのでは? という疑念があるからだ。
「さて、魔法は使えないが、防具はある。一応、ナイフもあるな。ナイフというよりは剣鉈か。クリエイトゴーレムで作った、腰の後ろに刺してあるミスリル合金製にアダマンコーティングをしている奴だな。見た目が一緒だからって、性能が一緒とは……一緒っぽいな」
木を切りつけてみたら、刃が簡単に全部埋まった。他の木でも試してみたが同じような感じで、刃が木の幹に埋まる。
「でも、これしかないのに、多用しすぎて壊れるのは困るな。革鎧の伸縮機能はあるが、自動修復機能も有効か分からないしな。身体能力は高いんだから、高い木に登って周囲を見渡してみるか」
そう口にしながら、一番背の高い木を探す。俺の感覚がおかしくなっていないのであれば、初めに殴りつけた木がおよそ20メートルほどだろう。針葉樹と広葉樹の特徴を持っている木が、3~40メートルくらいだと思う。
地球の木ってこんなに高かったっけ? ディストピア周辺の木は、30メートルはあったと思うけど、あれは数日であのサイズになるけど、ほとんどそれ以上大きくならないんだよな。
見回して、一番高そうな木に登っていく。始めのジャンプと三角飛びの要領で、10メートルくらいの所にしがみつく。幹に指を指して握っているような形だ。足の踏ん張るところが無いので、腕の力だけで20メートルほど登ると、やっと枝に到着する。
枝を伝いどんどんと上へ進んでいき、天辺に近付く。幹は多少細くなっているが、天辺付近でも直径20センチメートル位あるんじゃないかな?
一番高そうに見えた木なのだが、他にも同じくらいの木がたくさんあるので、見渡しにくいが……うん、これは全く知らない世界だな。
バッハとかに乗って色々な場所を見たりしたけど、こんな景色は見たこと無かった。何に近いかと聞かれれば、ダンジョンの中にある法則を無視した、森林系のダンジョンだと思う。あそこには、俺の知らない植物とか普通にあったからな。
「でも見える範囲に、鳥もいないし生物も見当たらないんだよな。山ではないみたいだし……水場を探すべきか? 良く分からないけど、向こう側は森が途切れている気がするんだが……崖だったりしないよな?」
身体能力に物を言わせて走ってもいいが、その時にこの世界の生物に遭遇して、もし相手が俺より強かった場合は、とても困ってしまう。樹海を歩くような慎重さで、水場を探すべきか?
何でこんな夢を見ているのか、まったく意味が分からんな。
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