ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,906 / 2,518

第1906話 雑談

しおりを挟む
 今までの階層は、階段のある部屋が少し広くなっており、中ボス……いや、小ボスみたいな感じになっていたが、今日突破する予定の10階は、おそらく中ボスがいる。階段の前の部屋がかなり広くなっており、昨日倒したオークキングほどではないが、それなりに強い魔物が複数いる。

 小ボスは倒さなくても突破可能だったが、この中ボスは倒さないと進めないと思われる。ウィスプだと、扉があることは分かるのだが、物理的に触れられないので、鍵が閉まっているか判断できないのだ。ボストラップで、部屋が閉まるタイプもあるので、さらに判断に迷うところだ。

 ふむ、娘たちの準備も出来たみたいなので、出発するようだ。今日は何故か、みんなが格闘スタイルになって、シュッシュとシャドーボクシングみたいなことをしている。

 10階の初めの部屋を見て通路を覗いたところ、広くなっていると判断したので、オークなどの大きな魔物が増えると判断したようだ。大型が増えると何で格闘なのだろうか? 疑問に思っていると、シェリルから浸透勁を習っていたようで、大きい魔物が多いならこっちの方が良いのでは? ということらしい。

 進んでいくと、オークが現れた。娘たちの倍は身長があるからな……かなり大きく見える。そんなオークに、4人は肉薄して膝に攻撃を仕掛けて、膝をついたところで顔面に浸透勁を打ち込んで、倒していた。

 小さい頃から訓練しているせいか、俺みたいに肉を叩く感触が気持ち悪かったりしなかったのかね? 俺なんか、そのせいでゴブリンに殺されかけたしな。今では気にならないけど、覚悟を決めた後もしばらくは辛かったきがする。

 ウルが前に出ることはあまりなかったのだが、今日はジャンジャン前に出ていってるね。ミリーに周囲の警戒よりは、戦闘に力を入れようと言われたためだろう。ウルは、膝を狙わずに背後に回って、心臓のある位置に浸透勁を打ち込んでいるようだな。

 多分心臓がつぶれて死んでいるのだと思う。目や耳から血が垂れてたしね。

 1戦目が終わると、また話し合いを始めた。体が成長している時期に武器を使った訓練は、成長の弊害になるからといって、体術に比べると割り当てられている時間が短いそうだ。体術を長い時間鍛えているせいか、殴る方がシックリくるみたいだな。

 蹴りも使うので脚甲も装備しており、オークの体を蹴る時の音が尋常じゃないね。スキルを使わなければ、腕より足の方が数段強いので、オークが早くひるむようになった気がする。武器より体術の方が強いもんかね?

 警戒をしながら進んでいくが、この階の通路には魔物は徘徊しておらず、罠もない感じだな。何か理由があるのかね?

「そうだ、綾乃とバザール、どうでもいい事なんだけど、ちょっと一緒に考えてくんない?」

「突然何よ」「なんでござるか」

「ロジーがいることで、現地産のダンジョンマスターがいるのは分かっただろ。だけどさ、突発的にダンジョンができる時は、ダンジョンマスターはいないのかね? 誰が管理しているんだと思う? 突発的なダンジョンも、大きくなるらしいよ。誰が大きくしてんだろうね」

「え? ダンジョンが勝手に判断して大きくなってんじゃないの?」

「綾乃殿はダンジョンマスターじゃないから、知らないかもしれないでござるが、ダンジョンは外部から手を加えないと、普通は大きくなったりしないのでござるよ。某も突発的にできたダンジョンを掌握したことがあるでござるが、勝手に大きくなるようなシステムは付いてなかったでござる」

「へ~、知らなかったわ。ダンジョンって放っておいたら、育つものだと思ってたわ。あんたのダンジョンとか、ドンドン大きくなっているしね」

「俺のダンジョンは、ちょこちょこ手を加えているから、大きくなっているだけだからな。ついでに言うと、魔物の追加や排除もダンジョンマスターの能力でやる必要があるぞ」

「じゃぁ、突発型のダンジョンにも、実はダンジョンマスターがいるんじゃないの? ロジーみたいな、現地産のダンジョンマスターが守ってたりして」

「あ~、それはありそうだな。ある程度頭が良ければ、ダンジョンマスターのスキルは使えるか? 宝珠で覚えた場合は、スキルについてある程度理解できるから、宝珠に近い何かを使って覚えた可能性はあるか?」

「それはちょっと、強引ではござらんか? ダンジョンマスターの宝珠みたいなものがあれば、欲しがる人間は多いでござるよ。某的には、掌握していたエリアを奪われて、突発的にできるようでござるから、この世界のシステムの介入の線を推すでござる。

 システムがランダムで生成して、ラスボスにダンジョンマスターのスキルを付与している……みたいな感じでござるかね」

「その線はありそうだけど、シュウは何で急にダンジョンマスターの事を気にしたの?」

「特に深い意味は無いけどさ、ふと思ったわけだ。勇者を倒して良く分からんスキルを手に入れられるなら、この世界の人間がダンジョンマスターを倒したら、どうなるんだ?」

「どうにもならないんじゃない? 実際にダンジョンマスターになったっていうなら、今頃ダンジョンマスターは狩られまくってんじゃない?」

「待つでござる! もし勇者と同じ感じで、ハテナでスキルを覚えた場合、使い方が分からなければスキルを発動させられないでござる。魔物を倒すことでDPを得られても、使い方が分からなければ意味がないでござる!」

「まぁ、そう言うこと。そして、この世界にはスキルという概念はあるけど、スキルの名前やLvって、確認する手段が少なすぎて、意味不明なスキルを覚えても、覚えた意識がない可能性がある……みたいな。だから何だって話なんだけどね」

「私は無理だろうし、覚えられたからってどうなんだろうね。必要があれば召喚してもらえるし、困ってないかな」

「某もダンジョンマスターでござるし、増えたからと言って、特に意味は無いでござるね」

「「「…………」」」

 なんとなく話して、議論みたいな形になったが、結局意味なくね? という感じになり、この話は終わった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

処理中です...