ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,890 / 2,518

第1890話 対策が進む

しおりを挟む
 上の子たちは、勉強中みたいなので、俺は部屋に戻った。

「さて、今回の宗教がらみは、本当の神が関わっているから、放っておいたら面倒になることは目に見えてるよな。気付いたら、俺の街以外全部が……いや、聖国は大丈夫な気がする。神じゃないけど、一応あがめられている奴がいるしな」

 自分が思っていることを口に出して、自分がどんなことを考えているか、どういう風にしたいか、考えてみることにした。

「そもそも宗教って、良く分からんからな……心の支えになる物かね? 仏教も神教も宗教か。こっちに迷惑をかけないなら、何でもいいんだけどな。勧誘とか意味が分からんな」

 俺の宗教観念などこんなもんである。他人に迷惑をかけないなら、どうでもいいと思っている。戦争したり、同じ宗教内でも問題を起こしたり、他人に迷惑をかける奴らが多いから、そう感じるのかもしれんな。

「さて、一応対策を取ったつもりだけど、十分か心配になってくるな。街の中では、一切の宗教活動を禁止しているので、何かあればすぐに住民が報告してくれるだろう。自分だけのプライベートスペースで、御祈りとかなら問題ないので、配慮をしたつもりだしな」

 ミューズで行ったことを、全ての街で行う感じである。外から入り込んでくる、宗教家をしっかりとシャットアウトすれば、ある程度は問題ないと思う。他の街に行っていた住人が、汚染されて戻ってくることだよな……

 汚染というのは語弊があるが、宗教に染まって帰ってきてしまった場合、問題がある。その住人のプライベートスペースで家族が染まって、それがどんどん拡大していく可能性が……ん~家族まではセーフだけど、それより先はアウトかな?

 家族ならプライベートスペースと言い切れるが、家族以外の住人となれば、プライベートスペース以外で宗教活動を行ったことになる。本人にとっては家の中はプライベートスペースでも、家の住人以外はプライベートスペースじゃないからな! という、屁理屈じみた考えだな。

 よし、これはグリエルに伝えて、徹底してもらおう。宗教活動を行う際は、プライベートスペースでなくてはならない! みたいな感じでどうだ?

 っと、そもそもプライベートスペースって、どういう意味だろうか?

 辞書を引いて笑ってしまった。

「プライベートスペースって、個人の部屋、つまり個室や寝室のことを指すんだな。リビング・ダイニング・バス、トイレなど家族全員が共通で使用するのは、パブリックスペースって言うんだ。じゃぁ、家族に広がるのもアウトだな。しっかりと通達しておいてもらおう」

 家族がいなければ、家の中はプライベートスペースになるだろうけど、家族がいるなら自分の部屋……個室だけなんだな。思った以上に範囲が狭くて、ビックリしたわ。雑魚寝の冒険者たちには個室なんてないだろうから、祈ることも出来ないけど、そう言った人間は狙われんだろうしな。

 後、問題になってくるのは、街の外で壁までのエリアだよな。俺の領地ではあるけど、街の外になると行動は縛れなくなるからな。盗賊行為や犯罪行為は、もちろん処罰対象だけど、勧誘を処罰対象にするのは難しいって言ってたもんな。

 あ~バザールはどうせ付き合わされているだけだから、俺の話を聞いてもらっても良かったか?

 時計を確認すると、おやつの時間になりそうなので、子どもたちと少しふれあったら、骨の所に行ってみるか。バザールの事を骨と呼んだことには、特に意味はない。

 ミーシャたちは、今日やった事を3人で話すもんだから、半分くらい何をしたか分からなかったわ。シンラは、プラムとシオンの好物のおやつが出たため、2人からおやつを死守しながら食べてたな。プラムとシオンって、おやつを奪おうとするんだな、知らなかったわ。

 子どもたちとちょっと遊んで、工房へ戻ってくると……綾乃がソファーで寝ていた。理由を聞いてみたら、新型を作るのに徹夜をしていて、新しく作り始めたのはいいが、ブレーカーが落ちたようなので、ソファーに放り投げたらしい。

「で、何か用事でござるか? 宗教問題? 特に何も聞いていないでござるよ」

「やっぱりそうだよな。かくかくしかじかうまうまで、ちょちょいのちょいだったわけよ」

「さっぱりわからんでござる。かくかくしかじかで分かるのは、漫画やアニメの中だけでござるよ」

「だよな……まぁ、神が神託を誰かに降ろして、その宗教が広がっているらしいんだわ。で、勢力拡大もしているみたいなんだけど、俺の事も狙っている動きがあるわけよ。だから、いろんな対策を考えているけど、備えが足りるか分からんから、お前にもアイディアを貰いに来たわけだ」

「なるほどでござる。ちなみに、今の対策はどんなもんでござるか?」

 バザールに、先日の事と対応についてザックリと説明する。

「パッと思いつく対策はしていると思うでござるな。それ以上となるとでござる……暗部が動いて闇から闇に葬り去るか、街に入ってくる人間に真偽判定の魔道具を使わせて、宗教に入っているか確認するくらいでござるかね?

 入っているって分かれば、家族にも知り合いにも広めることは、犯罪行為だと念を押して後日家族に話を聞く……みたいな感じで、対応するのはどうでござるかね?」

「忘れてたけど、真偽判定の魔道具なら、はいって言ってもらえばいいだけだもんな。ごまかしようがないからな。早めに街へ公告してもらう必要があるな。家族にも誰かが宗教の事を話し始めたら、止めるように言っておかないとな。聞くのは犯罪にはならないが、聞いてしまえば話した人間は犯罪だからな」

「そうでござるね。色々と問題は出ると思うでござるが、神が関わってくるとなれば、そこまで徹底しないと何が起こるか分からないでござる。主殿の配下であれば、そんな些末なことに惑わされることは無いでござるが、普通の住民まで浸透させるのは難しいでござるよ」

 問題の多い方法ではあるが、徹底しておかないと足元をすくわれかねんからな。もともと中立地帯だった場所はおそらく問題ないと思う。独自に頑張ってきていた街だしな。特にミューズは、宗教アレルギーみたいなのもあるしな。まぁ、ヴローツマインも問題ないだろう。

 ジャルジャンは……フェピーにも今回の事話しておくか。

 グリエルの所へ行ったら、何しに来たんですか? みたいな顔をされたけど、めげない! 公告を早めにするようにお願いし、真偽判定の魔道具を各街の門に2つは設置するように、通達を出してもらう。俺は、ドッペルに乗り換えて、ゲートで各街へ行って魔道具を召喚した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...