ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1837話 日常の一コマ

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 くだらない事に巻き込まれて、疲れて家に帰ると……今日も今日とて元気に、レースを楽しんでいるようだ。タッタッタと聞こえてくると、シンラが玄関に現れる。最近はハイハイではなく、ちょっとふらつきながらも走ってくるようになったのが、今までと違う点かね?

 普通に走るよりハイハイの方が速かったので、ハイハイで迎えに来てくれていたが、立って走った方が早くなったので、最近は走って迎えに来てくれるようになったのだ。

 一着シンラ、二着プラム、三着シオンの順で玄関に飛び込んでくる。シンラは俺たちを見るなり、俺以外に3人の母親がいたので、迷いなくシェリルの所へ走っていった。プラムはイリアに捕まり、シオンはネルに捕まる。

 何故か、御付きの妻が3人いると、シンラは俺の所に来ず妻たちの方へ行くのだ。そんなに俺のことが嫌いなのか! と叫びたくなるが、実はそうではない。シンラをいつも抱っこしているので、たまにプラムとシオンも抱っこしたくなる俺は、3人抱っこをするためシンラに避けられるのだ。

 ったくこいつは……本当にズル賢くて困るわ! お前を餌にしないと、プラムもシオンもなかなか抱っこできないんだよ。俺の気持ちを分かってくれ。

 最近は、昼間は1人でいられることが多くなっているから、くっ付かれていてもあまり気にしない風なのだが、この時間だけは何か違うみたいなんだよな……シンラの中に何かがあるのかね?

 シンラの頭をウリウリと撫でてやった後に、食堂へ向かうとミーシャたちがプラムたちを待っていた。イリアとネルに降ろしてもらうと、2人はミーシャたちに付いて、猫や従魔たちの餌やりをするようだ。姉たちは複数個もって来るが、プラムたちはまだ1個ずつしか無理みたいだな。

 ペットや従魔たちへの餌やりは、子どもたちの大事な仕事だからな。それなのにシンラは……シェリルに抱かれて、太々しさ満点である。シェリルが降ろそうとすると、自分で歩くのが嫌なのか、必死の抵抗をするためシェリルも苦笑気味だ。

 こういう風になると、こいつは梃子でも動かなくなってしまうので、強引に俺が抱きかかえる。しかめっ面でこっちを見てくるが無視である。子どもの仕事をしないのに、抱いてもらえると思うなよ! 俺がシルキーを探す仕草を見せると、慌てて降ろすように動き出し、姉たちに付いて餌を運び出す。

 初めからそうしていればいいのに……ちょっと前に一度だけ、餌やりを手伝わなかったときがあり、その日のおやつが抜きになったことを覚えているのだ。明日のおやつをもらうために、必死になる姿は……昔、成績が良かったら、ゲームを買ってくれるって言われて必死になっていた俺みたいだな。

 食事の準備も整い、夕食が始まる。今日は、ハンバーグなんだな。シンラの好物だ。他の子どもたちも好きなのだが、ハンバーグが一番好きなのはシンラだ。姉やプラムやシオンは、ハンバーグよりはステーキのような、肉々しいのが好きらしい。

 ステーキに限らず、少し歯ごたえがある方が好きみたいだな。肉食系女子か! 好きなものは多いが、嫌いなものが無いのは子どもとしては珍しいだろう。シルキーたちの作ってくれる食事は、何でも美味いからな。

 特に生野菜とか、何で美味しくなるか分からないような食べ物でも、何故か他のとこで食べるより美味しく感じるんだよな……調味料に依存性のナニカが使われているんじゃないか? って思ったこともあるくらいだ。

 結局のところ、一番おいしいタイミングで生野菜……サラダを出してくれるので、単純に美味い! というのが、シルキーたちの言である。

 シンラは……モリモリ食べているけど、食べ方がちょっと汚いな。この時期の子どもの食べ方が汚いのは、仕方がないんだけどな。でもな、途中でフォークからお肉が落ちたのに口に運んで、モグモグするのはどうなんだ?

 口に何も入ってないのに、何かを噛んでいる仕草をするから不思議だよな。そう考えると、プラムとシオンの方が、キレイに食べるな。姉たちの真似でもしているのかね?

 ちょっと前までは、食べ散らかしているイメージがあったのだが、今はシンラだけがそうなっていて、プラムとシオンは大分キレイに食べるようになっている気がする。口の周りを汚してしまうのは、仕方がないことだけどな。

 うむ、みんな元気そうでいいことだ。昼間にあった、大人の汚い部分を洗い流してくれるようだな。

 食事も終わりのんびりしていると、シンラがウトウトし始めた。ん? 今日は何かしてたのか? 食事の後はいつも元気で、そのままお風呂に行くシンラなのだが、今日は珍しくウトウトしているな。

 昼間の話を聞くと、今日はほとんど寝ずに起きていたらしい。じゃぁ何してたんだ? と聞いてみたのだが特に何もせずに、近くに来た従魔やペットたちを撫で、ボーっと過ごしていたのだとか……お前は、おじいちゃんか?

 ん~この時間に寝ると、さすがに夜元気になってしまうので、寝かせるわけにはいかない。最悪起きたまま両サイドをプラムとシオンに固められて、動けずに一晩過ごすことになるぞ。

 仕方が無いので、寝そうになっているシンラを小脇に抱えて、お風呂へ連れていくことにした。俺の息子というだけあって、お風呂は好きなのでテンションが上がるかな? と思い、一緒に入ることにした。

 何かあってはいけないので、スライムたちや母親たちも一緒に入る。

 ニコに座ってお風呂場を移動しているシンラは、食堂にいたときよりは目が冴えているようだが、やはり眠いみたいだな。いつもみたいな元気がない。

 プラムたちは、寝る時にシンラがいれば大人しいので、起きていても寝ていても大した差はない。

 お風呂で寝てしまうのは危険なので、今日は早めに上がろうか。シンラよ、お風呂にしっかり入りたかったら、昼間寝るか起きていてもこの時間に眠くらならないように体力をつけるか、どっちかしかないぞ!

 下の子たちは、いつもより2時間ほど早く眠りにつくことになる。

 次の日、プラムとシオンはシンラに抱き着きぐっすり眠っていたが、シンラはパッチリと目を開け誰かが来るのを待っていたらしい。
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