ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,821 / 2,518

第1821話 都合よくいかないな

しおりを挟む
 妻たちにエクスカリバーとカリバーンの事を話したが、もともと良く切れる剣としか認識していなかったため、興味を持っている者もいなかったようだ。使い慣れた武器の方が、いざという時に頼りになるということらしい。

 他にも理由を揚げるとすれば、切れすぎる剣では、受けることが困難だということだろう。完璧に受けて今までの武器なら、問題なかった行動なのに、エクスカリバーだった場合は……受けた相手の剣が切れて、切れた勢いのままこちらに向かってくるのだから、危なくて仕方がない。

 そういう風に言われて、やっと気付いたのだ。良く切れる武器は攻めるのには向いていても、守りには向かない武器だということだ。そういう意味では、二刀流のコンセプトである怒涛の攻撃性は、エクスカリバーとカリバーンの特性に合っているかもしれないな。

 となると、専用機の剣オンリーはあまり成果が上がらない可能性があるか? もう片手に防御に向いている、マインゴーシュみたいなのはありかね?

 マインゴーシュと組み合わせるなら、レイピアってイメージがあるけど……すべてを受け流す物と考えれば、エクスカリバーとの相性も悪くない気がするな。

 すべてを受け流す最強の守りマインゴーシュ、すべてを穿ち薙ぎ払う最強の攻めエクスカリバー、マインゴーシュは基本的に利き手ではない方に持つみたいな話を聞いたことあるけど、あれって本当なのかね? メインの武器を聞き手に持つことを考えれば、ありえる話だけどな。

 夜は、年中組のみんなに押し切られて、みんなで致すことになり、俺は時を経るごとにやつれていくが、妻たちは永久機関か! と言わんばかりに元気になっていたな。原理は分からないけど、理不尽だと思う!

 朝起きればすでに12時を回っていた。シルキーたちは、妻から報告を受けていたので何も言わなかったが、昼食は思いっきり精のつく料理が並んでいたな。

 午後からでも庁舎へ向かおうとしたが、今日は問題ないので家でのんびりしていてください、と連絡が入っていたようだ。

 のんびりと本でも読もうとしたら、スプリガンから連絡が入る。

『ご主人様、大至急監視室に来てください!』

 慌てている様子のスプリガンが、緊急だと言って早く来るようにお願いされた。普段は使わないのだが、大至急なのでゲートを使っての移動をして、監視室へ向かった。

「ご主人様、勇者を監視していたのですが、急に仲間割れを始め、殺し合いを始めてしまいました。勇者はまだ無傷なので問題ないですが、人数を考えると殺されてしまう可能性もあり、大至急来ていただきました」

 良く分からないが、勇者たちが殺し合いを始めたそうだ。スプリガンの話では、勇者の持つ収納のアイテムに多少の食料は入っているが、男のメンバーに分け与える量が少なく、勇者+女と男に分かれて殺し合いが始まったそうだ。

 ここにきて、勇者の称号なんてクソの役にも立たねえからな。今まで傲慢だった勇者を殺して奪う……っていう選択肢があってもおかしくはないか。それに優遇されている女たちも憎く見えるだろうな。

 といっても、勇者を殺されるのだけは困るんだよな……しょうがないか。

「こいつらのやってきたことを考えれば、食料が少なくなれば殺し合いがすぐにも始まるのは、おかしくないよな。女は今のところ、勇者に従っている感じか?」

「それなのですが、食料を持っているのがあの勇者なので、従っているだけに見えます。何かのきっかけがあったら、あの勇者を殺して収納のアイテムを奪いそうですね」

「そこまでボロボロな内部状況なのね。こりゃ駄目だな。勇者だけを隔離するか……何とか落とし穴に落ちてもらい、1人でダンジョンを彷徨ってもらうか?」

「生き意地の汚い勇者なので、自殺は無いと思いますが……どう転ぶか分からないので、神経を使いますね」

「そっか、負担かけてごめんな。それなら、勇者だけ回収してしばらくは、オリバーに頑張ってもらうか」

 よし、そうしよう。集まれるメンバーだけ集まってもらい、オリバーとジャックとオスカー、それに従魔たちに招集をかける。妻は、半分程が来れたが、これ無かった妻たちの代わりにメグちゃんが来ている。シリウス君とメグちゃんの、リバイアサンコンビだ。

 本当の姿をみたら1匹でも絶望的なのに、それが2匹もここにいる。ついでとばかりにバッハも来ているし、あれ……何でお前までいるんだ?

 バッハの後ろにたまに見かける、ユグドラシルの分体がいた。話を聞くと、ドリアードとは方向性が別だが、植物に干渉することのできる分体が手伝いに来てくれたようだ。

 植物に干渉すると言っても、本体があのユグドラシル……世界樹なので、分体から本体の世界樹を生やして、それに干渉して攻撃や罠、防御に転用するのがこいつの戦い方らしい。

 それを聞いて、対象だけを隔離できないか聞いてみると、木の根で分断するのであれば問題ないとの返答がある。よしよし、これで簡単にとらえられるな。

 ということで、ユグドラシルさん、やっておしまい!

 指示を出すと、勇者たちが戦っている部屋に、急に木の根が生えだして、部屋にいる勇者パーティーを攻撃し始める。おや? 隔離してほしいと言っただけなんだが……

 すぐに答えが分かった。攻撃を仕掛けることで、勇者から人を遠ざけているようだ。十分に離れた所で、勇者だけが木の根の檻に囚われた。

 俺はすかさず、勇者の隔離されたエリア一帯を落とし穴に変え、下に作ったダンジョンへ落とす。

 予定だったのだが、勇者が粘って何とか木の根に飛びついてしまったようだ。ユグドラシルも木の根で攻撃させているのだが、ここにきて勇者の特性が効果を発揮しているのか……木の根を攻撃に使っている木の根を、簡単に切り払っている。

 檻用は頑丈なようだが、攻撃に転用しているのは強度が低いらしい。

 となれば、メグちゃん、シリウス君、お願いしていいかな? シェリルとイリアに抱かれている2匹が、一鳴きして水を生み出し、木の檻に向かって流れを生み出した。

「クソが! また水責めかよ!」

 少し離れた部屋にいたのに、ここまで響いてくるような声で、勇者がそんなことを言っていた。

 2匹のリバイアサンの水責めに、ユグドラシルの木の根攻撃をくらって、奮戦むなしく新しく準備したダンジョンへご招待。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る

イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。 《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。 彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。 だが、彼が次に目覚めた時。 そこは十三歳の自分だった。 処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。 これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

処理中です...