ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,820 / 2,518

第1820話 専用機?

しおりを挟む
 勇者の片割れの事後処理が終わり、眠りについた。時間的には、朝と言っていい時間に眠ったので、目が覚める頃には、13時を過ぎていた。昼食の時間がもう終わっている……しまった、シルキーたちに朝食の件も昼食の件も話してなかった……謝って、何か食べさせてもらおう。

 食堂に入るとアマレロがいたので、謝り頭を下げた。

「はぁ、何を言っているのですか? ご主人様は、急なお仕事で朝まで働いていたんですよね? それなのに、食事をすっぽかしたからって、怒るわけないじゃないですか。いつ起きられても食事が出来るように、準備しておりますよ。

 私たちが怒るのは、自分勝手な理由で食事を忘れて、遊んだりするのがいけないと言っているのです。仕事なのに怒るとかありえません。シュウ様の好きな、鶏料理を準備しています。お昼なので、少しガッツリ系の食事となっております」

 そういえば怒られたときって、決まって時間を忘れて遊んでたり、工作に夢中になって忘れてたり、仕事とは関係ない自分勝手な理由だったな。

 昼食は、チキンカツサンドがメインで、具沢山ポトフやチキンティッカも付け合わせとしてあった。美味かったな。

 みんなに武器のことを話しておきたいと思ったけど、それは夜でいいか。みんな何かしているみたいだしな。それよりも、綾乃に剣を専門に使う人造ゴーレムを頼まないとな。

 あいつがどこにいるか分からなかったので、無線で連絡を取ってみると……バザールと一緒に、ダンジョン農園の開発室……俺たちの工房にいるようだったので、向かうことに。

「お前たち、何をしているんだ?」

「お~きたきた、シュウ。今日はね……強化外骨格の進化系を考えているんだよね。今あるのは、ロボットタイプと全身タイプと、アームタイプでしょ? あれって結局は、装着者が操るタイプでしょ? そうじゃなくて、自立支援が可能な強化外骨格を考えているのよ」

「はぁ? 強化外骨格っていわゆるパワードスーツだろ? 乗って力を強化したり、防具としての役割があるのが、強化外骨格なはずだろ? それなのに自立支援が可能ってどういうことだよ」

「ん~綾乃殿その説明では、よろしくないでござるよ。今考えているのは強化外骨格というよりは、強化外骨格3式のアームが、人造ゴーレムみたいに勝手に動く感じでござるな」

「……それって、何の意味があるんだ? 自分の意志で動かせないと……戦闘には邪魔じゃないか?」

「ある程度自分で戦闘できる人にとっては、邪魔だと思うでござる。だけど、戦闘できない綾乃殿にとっては……十分意味のある装備でござるよ」

「自分のための装備ってことか?」

「イエス ザッツ ライト!」

「メッチャ、日本語発音だな。まぁ、綾乃が自分の仕事をして、空いた時間に自分の装備を作っているだけだろ? なら、何の問題も無いな」

 綾乃が露骨に視線を逸らした。

「……綾乃、まさかと思うが、自分のノルマをこなさずにこんなことしてるのか? お前に与えられているノルマは、1時間も頑張れば問題ないはずだろ?」

「たはは……」

「はぁ、素材生み出すのが飽きたって言うなら、違う仕事をさせてやるよ。ちょうどお前案件の仕事が入ったんだ」

 俺がそう言うと、目をキラキラさせた綾乃が俺に詰め寄ってくる。

「分かった分かった、それ以上近付くな。ウザいウザい! でだ、ちょっとした伝手で、エクスカリバーとカリバーンをゲットしたんだ。だから、それを使う専用の人造ゴーレムを作ってほしいんだ」

「エクスカリバーとカリバーン? 有名な武器じゃん。何で自分で使わないの?」

「良く切れる武器ではあるんだが、生物や魔物が長いこと持っていると、精神汚染されて暴れるんだとさ。だから、精神の無い人造ゴーレムに持たせるために、専用の人造ゴーレムを作ろうと思ってな」

「精神汚染……そんなのいらんぽーい。で、今までの人造ゴーレムじゃダメなの?」

「ん~今までの人造ゴーレムって、万能型じゃん? だから、専用みたいなのを作れないかなって思ってな。出来る出来ないは別として、そう言うの好きだろ? できれば、剣と盾を持ったタイプと、剣1本で戦うタイプの2種類を考えているんだけど、お願いしていいか?」

「まぁ、悪くない仕事ね! 私的には、その他の槍とか斧とかも作ってみたいわね!」

「オーケーオーケー、剣のタイプが出来たら、勝手に作っていいからまずは剣を作ってみてくれよ。で、人造ゴーレムに覚えさせたエクスカリバーとカリバーンの、重心と重さを完璧にコピーした剣を持ってきているから、それを使ってくれ」

「りょーかい。期限はあったりするの?」

「期限は無いけど、ひとまず2週間くらいを目途に、どこら辺までできるか試してもらっていいか? それで続けるか、廃案にするか決めるから」

「最低でも2週間は楽しめるのね! 上手くいけばしばらくは、専用機で楽しめるってことか……気合入れて頑張らないとね!」

 鼻息荒く工房の中を歩いていく。

 これで、剣の方は問題ないかな?

「バザール、あいつが暴走しないように見張っといてくれ。後、剣オンリーや、剣盾の組み合わせの資料を取り寄せて、学習専用の人造ゴーレムを作ってくれ。できれば、今まで蓄積した分も流用したいから、Sランクの魔石を存分に使ってくれ」

 そう言って、Sランクの魔石を20個ほど手渡しておいた。

 俺は、しばらく2人の様子を見てから、工房を後にした。

 その日の夜、妻たちに神たちとの話をして、神具にはデメリットがある武器も存在していることを話しておいた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

無能なオタクの異世界対策生活〜才能はなかったが傾向と対策を徹底し余裕で生き抜く〜

辻谷戒斗
ファンタジー
高校三年生で受験生の才無佐徹也は難関国立大学の合格を目指し猛勉強中だったが、クラスメートと共に突然異世界に召喚されてしまう。 その世界には人の才能を見抜く水晶玉があり、他のクラスメートたちにはそれぞれ多種多様な才能が表れたが、徹也は何も表れず才能がない『無能』であると判定された。 だが、徹也はこの事実に驚きはしたものの、激しく動揺したり絶望したりすることはなかった。 なぜなら徹也はオタクであり、異世界クラス召喚の傾向はすでに掴んでいたからだ。 そして徹也はその傾向を元にして、これから起こり得るであろうことへの対策を考える。 これは、『無能』の徹也が傾向と対策で異世界を生き抜いていく物語である――。 *小説家になろう・カクヨム・ノベルアップ+でも連載しています。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

処理中です...