ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1809話 急な休日

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 娘たちの体験教室を行った次の日、俺は世界樹の木陰でのんびりとしていた。

 今日仕事へ行こうと庁舎へ向かう前に、グリエルから連絡が入る。今日、明日は、ほとんど仕事が無くなったので、庁舎へ来ても仕事が無いので、のんびりと休むように連絡があったのだ。なので、今日は天気も良かったので世界樹の木陰でのんびりしている。

 何というか、暇だな。

 娘たちは勉強があるようで、妻たちの誰かから勉強を教わっているだろう。午前が勉強、午後が体を動かす形なので、今は勉強をしているはずだ。いや、まだ準備している時間かもしれないな。朝食を食べて、まだ30分も経ってないからな。

 俺が家にいない理由は、邪魔だから出ていくように言われたからだ。自分の部屋に戻ろうとしたら、今日は掃除曜日なようで、自分の部屋からも追い出されてしまいここにいるのだ。

 ここで出来ることと言えば、本を読むくらいだな。ブッ君で読むか本で読むか悩んでいると、何やら声が聞こえた。あたりを見回してみると、食堂の裏口があるあたりから、何やら近付いてくる影が見える。

 ん~従魔たちではなさそうだな。後ろから、シェリルが声を出して追いかけているので、下の子の内の誰かだろう。そして、俺の方に向かってくる1つの影となれば……シンラがこちらに来ているのかな?

 姿がしっかりと見えるようになると、えっちらおっちら走ってこっちに向かっている、シンラの姿がはっきりと見える。シェリルの後ろから、2つの小さい影と2つの大きな影が追ってきているのが分かる。小さい2つはプラムとシオンで、大きい方はイリアとネルだろうな。

 今日は生みの親じゃなくて、この3人が面倒を看ているのか。子どもたちの面倒は、妻たちの誰かが見ているので、いつもライラたちが下の子たちの面倒を看ているわけではない。ミーシャたちの勉強もミリーたちが、いつも見ているわけではないのだ。ウルの勉強だけは、シルキーたちがしているけどね。

 食堂からここまで200メートル近くあるので、シンラがここに到着するのはまだまだ時間がかかるだろう。おぉ? イリアとネルの後ろから、大きい猫の姿が現れた。すげえな、大きい猫が走ってくると、こんなに迫力があるんだな。

 大きな猫はランだが、その背中から1匹の猫が……サイズ的にライだな……飛び降りた。シンラに近付くと、器用にシンラを背中に乗せてこちらに走ってきた。

 ライは、いつの間にかシンラの従魔になったのだろうか? 俺が召喚したはずなのにな……血が繋がってると、命令を聞かせられるのだろうか? いや違うな、前にダマが「特例事項に引っかかれば、命令に背くことができる」みたいなこと言ってたからな。

 シンラを背中に乗せて移動しているあれは……乗せないと命の危険があるってことか? んなバカな。シンラを乗せないだけで、ライが死ぬなんてことは無いよな。ただ単に、俺の子どもだから命令を聞いているんだろう。

 シンラを乗せて走ってきたライが、俺の前で急停止する。その際にお尻を持ち上げ、バイクで言うところのジャックナイフみたいなスタイルになる。何でバイクで例えたか不明だが、思い付いてしまったのだ。

 シンラが放り出されるように、俺の方へ飛んできた。こいつは俺が受け止めることを、疑っていない目をしているな。これがニコとかスライムだったら、受け止めない可能性もあったが、さすがにシンラを受け止めなかったら、色々拙いだろう。

 キャッチしてやると、俺に胡坐をかけ! と足をぺちぺち叩いて要求してくる。シンラは最近、俺の胡坐の穴? と言っていいのか、そこにお尻をすっぽりとはめて、俺のお腹を背もたれにしてオッサンっぽく座るのが、トレンドの様なのだ。

 これでこいつが満足するなら、安いものだろう。

 何故か分からないが、この体勢の場合は、

「急に走り出したと思ったら、お父さんの所に行きたかったんだね。シンラは本当に、お父さんのことが好きなのね」

 追いついたシェリルが、そんなことを言いっていた。その後ろからランが、ライと同じように急に止まって、お尻を持ち上げていた。いつの間にか背中に乗っていた、プラムとシオンが俺に向かって飛んでくる。ついでにテトもいるな。

 ゆっくりと弧を描くように飛んできた2人をキャッチして、シンラの横に座らせると、ご満悦そうにシンラの左右から抱き着いていた。

 で、最近シンラがこの体勢だと何故か、プラムたちがくっ付いても、この世の終わりみたいな顔をしないのだ。姉妹に抱き着かれて、そんな顔をするシンラもどうかと思うのだが、四六時中一緒にいると疲れるんだろうな。強く生きるんだぞ!

 おい、テト! 自分だけキャッチしてもらえなかったからって、俺に噛みつくな。俺の腕は2本しかないんだ。娘が2人飛んで来たら、お前より優先してキャッチしないと、怪我するかもしれないだろうが! それに比べ、お前は100メートル上空から落ちても、無傷だろ。

 当たり前の結果に文句をいうな! だから、痛いってば!

「テト、キャッチしてもらえなかったからって、拗ねないの。この子たちの安全の方が優先なのは、理解してるでしょ? もし、先輩の誰かにバレたら、お説教されるよ」

 ネルに捕まったテトが、体を震わせてあたりを見回している。先輩従魔たちが怖いんだろうな。特に狐のコウとソウは、ねちっこいから大変だろう。

「あっ、コウだ! って、見間違えか」

 俺がそう言うと、テトは体をビクンとさせ硬直し、見間違えと言うと、猛抗議で俺に向かって鳴いてきた。それがうるさかったのか、シンラに「めっ!」と言われて、しょんぼりとしていたな。

 1時間くらいのんびりとしていると、ケットシーが現れて俺の肩に飛び乗り、ニャーニャー鳴いてくる。何事かと思ったがシェリルたちが気付いて、子どもたちのトイレの時間の様だと教えてくれた。

 そういえばこいつら、理由は分からんが、子どもたちの排泄のタイミングが分かるんだよな。トイレの訓練を始めているので、こいつらが早めに呼びにきたそうだ。

 トイレでしていいことが分かると、時間である程度管理できるようになるらしい。上の子たちのときは気付かなかったが、この子たちに何度か座らせてみたら、ある意味反射でトイレだと理解するようになったようだ。

 この子たちも日々成長してるんだな。

 シンラには付いて来いと言われるが、プラムとシオンに絶対来るなと、視線を向けられているので……俺はいかぬぞ! シンラは、シェリルお母さんに手伝ってもらうのだ!

 足から重りが無くなり、自由になったので本を読もうかな。
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