ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1779話 今日の仕事?

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 いつもと同じように妻2人を連れ、テト・ライ・ランの3匹と教育係のダマを連れ庁舎へ出勤してきた。今までお供をしていた、グレンとシエルは仕事を全部ダマに押し付けて、今は敷地内で自由にしている。お前って、本当に苦労性だな。後で美味いもん食わせてやるからな。

 自分の執務室へ入ると、そこにはすでに人がいた……俺の部屋なのに、何で人がいるのだろうか? と思いつつ、中にいた人をみて首を傾げる。

 確かにここに入ってくる人間はお前らしかいないが、俺の出勤前にここにきている理由が分からなかった。もしかして、勇者たちにすでに動きがあったのか? 被害状況は?

「あ~、おはようございます。焦らなくても、シュウ様が思っているようなことは、何も起こっていませんよ。ちょっと確認したのですが、本日のシュウ様の仕事量が少なめでしたので、終業前の報告は魔導無線で行おうと思いますが、よろしいですか?」

「いちいちそんなことを伝えるために、お前たちここにいたのか?」

「いちいちと言いますが、本来シュウ様の時間はあなたが考えている以上に、大切なモノなんです。言うのもバカバカしいですが、街を複数持っていて最大の商会の会長なのです。1分が金貨1枚に相当してもおかしくないのです。

 特に仕事終わりの疲れている時間にする報告会なのですから、はっきりさせておく必要があるんです」

 そんなもんかな? と疑問に思っていると隣で、ジュリエットとマリアが頷いている。何故に?

「言わんとしていることは、理解した。今日は俺の仕事が早く終わるから、先に帰って問題ないが時間だけ合わせて、勇者たちの報告を聞く……ということでいいんだな?」

「そうです。報告の時間ですが、こちらの就業間際に合わせてもらうとして、17時30分頃でよろしいですか?」

 こちらの時間が貴重だと言いながら、時間を部下に合わせるのか……矛盾している気はするが、だからといって不快という訳ではない。こいつらには、色々頑張ってもらっているし、息子たちにも頑張ってもらわねばならんのだ、このくらい問題ないな。

「分かった。その時間に通信できる場所にいれば、問題ないんだな? 家の近くにいれば問題ないだろう。苦労かけるけどよろしくな」

 さて、仕事が早く終わると言っていたが、それはどの程度なのだろうか?

 蓋を開けてビックリ、今日はいつもの量の半分以下だった。何か原因があるのかと思ったが、昨日は時間ギリギリまで仕事をしていたおかげで、今日分の仕事を大分処理していたようだ。報告書の数も、いつもに比べて少ないようだな。

 妻たちが分別した報告書を読んでいく。

 特に変わった報告書は無いな……おっと、たまにある、きちんと読んでいるかチェックする書類があるな。今回は、どこに連絡を入れればいいんだ?

 ふむふむ、学校の入っている階に行って、子どもたちに話しを聞いてサインをもらうと。

 俺の時間が貴重と言っているが、こういうことが無くならないのは何故なのやら? 俺も楽しんでるからいいんだけどな。

 妻たちは分別を続けるので、テトたち3匹とダマを連れて移動だ。

 学校エリアに移動できるゲートに入ると、がやがやと賑やかな声がする。ちょうど今は休み時間のようだな。子どもたちを集めて、話を聞いていく。

 同時に話し出すので、頭の中で整理するのが大変だが、子どもたちにそんなことを言っても仕方がない。聞き逃してしまったら、謝ってもう1回話してもらえば問題ないしな。

 ここの子たちは、勉強が嫌いではなさそうでよかった。お昼ご飯がご褒美みたいな話もちらほら聞こえてくるが、それで勉強する気になれるのなら安いものだろう。

 ディストピアだけではなく、他の街からもディストピア関係者の子どもたちが、ここには通ってきているので結構な数の子どもがいるな。俺の通っていた学校より、既に人が多そうだ。

 話を聞いていると、今日のサインをしてくれる人が現れた。

「みなさん、シュウ様とお話ししたいのは分かりますが、そろそろ授業の時間ですよ。授業受けない子には、昼食が出せないことになっています。今日はみんなの大好きな、カツカレーですが……食べたくないのですか?」

 教師がそう言うと、みんながハッとした顔をして、俺にあいさつをして教室へ戻っていく。

「すいませんでした。子どもたちは元気に見えましたか? 色々苦労していますが、みんなが笑顔で通ってきてくれていると思い、頑張らせていただいていますが……時々、正しいのかわからなくなってしまい、自信が無くなってしまうのですが」

「気にすることは無いと思います。みんな元気で、授業も好き嫌いはありますが、知識がついて色々知れることが楽しいと考えている子も多いです。中にはまだ低学年なのに、目標を決めて勉強している子もいますしね。間違ってないと思いますよ」

 自信のない顔から、少し笑顔がこぼれる。

「あ、サインしますね。今日は、ご面倒をおかけしました」

「あなたの所為じゃないですよ。この訪問も、グリエルたちが俺に行ってほしいから、こんな回りくどいことをしているだけだからね。子どもたちが元気なのが一番です。もし子どもたちが間違ったことをしたら、叱ってあげてくださいね」

 勉強を教えるだけが教育ではない。良いこと悪いことの判断を、できるようになるのも教育だと、俺は考えている。ただ生活しているだけでは、知らないことなんていくらでもある。子どもの知らないは大人の所為だが、大人の知らないは本人の所為なのだ。今のうちに色々学んでほしい。

 少しだけ授業風景を見てから、自分の執務室へ戻った。

 戻ると、ジュリエットとマリアはお茶をしていた。もう分別が終わっているようだ。俺には、

「冷たいミルクティーですね。今入れますので、お待ちください」

 ミルクを使って煮出した、特製ミルクティーを入れてもらう。牛乳自体が濃厚で甘さを感じるので、甘味料は一切入れない。本当に美味しいミルクティーである。煮出したままだと熱いので、魔法を使って冷やして俺の好きな温度で出してくれる。

 ん~完璧だ。

 お茶を楽しみながら、報告書を読んでいくと……11時には仕事が終わってしまった。

 今日は時間があるな。帰りながら、何するか考えるかな。
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