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第1778話 追加の報告会
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今日は、途中で緊急会議を開き、書類仕事が終わるのがいつもより遅かったが、時間的には終業時間前に終わらせることができた。
さてさて、仕事も終わったし帰ろうかな。
帰る支度をしていると、不意に執務室の扉が開かれ、ビクッと体が硬直した。何事かと思い、小部屋から出て扉を確認する。
会議用に準備していた所に、グリエルとガリア、ゼニスが座っていた。ん? 何か緊急の用事でもあるのか? 慌てて種類のリストを見て見るが、午前中のあの書類以外には緊急のマークはついていなかった。
恐る恐るグリエルたちの元へ向かう。
「シュウ様、何をしているんですか? あなたの執務室なのですから、コッソリと近付いてくるのはおかしいですよ。今日の報告に来ましたので、早めにこちらに来ていただけると助かるのですが……」
「報告とは何ぞや? 今までにわざわざ、口頭での報告会なんてなかったと思うが……?」
「それもそうですね。ですが、今回のことはしっかりと情報共有しておくべきだと、私たちで判断してこの時間に1日の報告に来ました」
そういうことか。勇者たちの件を下手に取り扱うと、ダンジョンマスターである俺は窮地に陥る可能性がある。今までは問題なく退けていたが……いや、2度死にかけたな。
1度目は、不意打ちを食らって首に矢を受け毒まで使われて、もう少しで死にかけたな。2度目は、子どもを洗脳して暗殺者に仕立て上げ、毒の付いたナイフで刺し殺されるところだったっけな?
勇者関係は、どんなにステータスに差があっても、俺の守りを抜いて致命傷をいきなり与えることがあるんだよな。本当に面倒な奴らだ。
だから、グリエルもガリアもゼニスも、勇者関連のことは甘く見ていない。
勇者の称号は、ダンジョンマスター関係に特攻を与え、仲間にも伝播させることができる。この伝播させられる能力が一番厄介だ。各々の勇者に神が与えた特殊なスキルがあるようだが、それは今のところ脅威になったことは無い。
厄介な能力を与えられて、俺が窮地に追い込まれたことはあったが、神が与えた勇者専用のスキル自体が俺をピンチにしたことは無かったはず。
なんにせよ、勇者関連は慎重に取り扱うべきだと考えて、この3人が俺の所に集まってきたのだ。
「報告と言いましても、勇者たちの動きについて、送られてきた情報を共有しておかしな動きが無かったか、判断する予定です」
「了解。今日は、保護してから今までの報告ってことか?」
「そうですね。今日の勇者たち動きですが、保護してもらうので商会のことを手伝わせてほしいと、申し出があったそうです。シュウ様と同じレベルの教育を受けているためか、勇者2人の計算能力は高いようです。
それに比べ、ついてきた11人は、冒険者の中で少し賢いくらいだそうです。力はありますので、倉庫整理や荷物の配達を頼んでいるみたいですね」
「先進国なら、日本と同等以上の教育を受けているはずだからな。多少常識が無くても、それらが絡まない情報の処理なら得意だろうな。本人の頭の出来にもよるけどな」
「とは言いましても、ここに来れば埋没してしまう程度でしょう。計算や情報処理が速いだけでは、ここでは働けませんからね」
「ゼニス、話後それているぞ」
「おっと失礼。一日観察した結果、今のところは保護してもらったということもあり、役に立つために頑張っている……といった印象とのことです」
「そうだ、名前とか分かるか?」
「勇者たちは、キムとかリーとか呼ばれているそうです」
「キムにリーか……中国や韓国、北朝鮮あたりの名前かね? それとも、二世や三世で外国にいるタイプかね? 関わったら面倒な気配がするわ」
「分かりました。シュウ様に関わらないように、慎重に対応するように伝えておきます。後、勇者の従者に1人だけ不審な動きをしている、魔法使いがいましたのでマークを強めてもらっています」
「頑張ってるんじゃなかったの?」
「全体的には、頑張っている印象でしたが、その魔法使いだけ商会員が何やら不信を感じたので、担当のスプリガンに動きを追ってもらっています」
「あ~聞き忘れてたけど、犯罪の称号は無かったんだよな?」
「称号はもちろんありませんでした。保護してもらいたいと向こうが言ったときに、こちらの条件として真実の瞳を使い、犯罪を犯していないと証明してもらっています。もし、保護してから犯罪の称号があり、こちらが不利になっても困りますので」
「聖国が称号の付いていない、騎士や司祭を準備していた可能性は……あるか?」
「そこまでは判断できませんね。可能性は無限ですからな。気になるのでしたら、アンデッドバンパイアの教皇に聞いてみてはいかがですか?」
「聖国が送り込んできたとしても、教皇が知っている範囲外でのことだと思うんだよな。どう考えたって、あの教皇にメリットなんぞないからな。聞くだけ無駄だろうさ。ゼニス、再度確認だけど、支店では仕入れに関しては独自の商隊を持っていないんだよな?」
「そうですね。持ち込まれた商品を買い、それを売るのが基本です。ディストピアからの商品に関しては、商会が保有している商隊を使って、輸送していることになっています」
ん? 輸送していることになっている? どういうことだ?
「本当は、魔導列車で運んでいるので、ダミーとしての商隊がいくつもあるんです」
納得した。
「今日の所は、1人が不審な動きをしただけで、特に大きな問題は無かったということだな」
「今後の方針なのですが、領主代行と話をして、勇者たちが冒険者登録しないのであれば、周囲の盗賊や魔物の退治を中心にしてもらおうと考えています。魔法が得意でしたら、街の外のインフラ整備をお願いするのもありかと考えております」
「そっか、俺は基本的に街の中のインフラ整備しかしてないもんな。多少の金で済むなら、勇者たちに街道整備を任せてもいいかもな。もし手抜きをするのであれば、スプリガンが見つけてくれるだろうしな」
「では、その方向で話を進めておきます」
「まぁ、フレデリク周辺が終わってしまったなら、リーファスにでも行ってもらえばいいかもな。あ~、労働に対しては、しっかりと金を払ってくれよ。いらないと言われたら、毎回受け取りを拒否したって証明書みたいなのを書いてもらえよ」
「……すいません、それは思いつきませんでした。指示しておきます」
勇者たちが受け取りを拒否していたとしても、こちらが払っていなかったと言われれば、金銭の受け渡しがない以上こちらが不利になることもあるので、きちんと証明できるものを貰っておくべきなのだ。
これで、今日の報告会が終わる。
さてさて、仕事も終わったし帰ろうかな。
帰る支度をしていると、不意に執務室の扉が開かれ、ビクッと体が硬直した。何事かと思い、小部屋から出て扉を確認する。
会議用に準備していた所に、グリエルとガリア、ゼニスが座っていた。ん? 何か緊急の用事でもあるのか? 慌てて種類のリストを見て見るが、午前中のあの書類以外には緊急のマークはついていなかった。
恐る恐るグリエルたちの元へ向かう。
「シュウ様、何をしているんですか? あなたの執務室なのですから、コッソリと近付いてくるのはおかしいですよ。今日の報告に来ましたので、早めにこちらに来ていただけると助かるのですが……」
「報告とは何ぞや? 今までにわざわざ、口頭での報告会なんてなかったと思うが……?」
「それもそうですね。ですが、今回のことはしっかりと情報共有しておくべきだと、私たちで判断してこの時間に1日の報告に来ました」
そういうことか。勇者たちの件を下手に取り扱うと、ダンジョンマスターである俺は窮地に陥る可能性がある。今までは問題なく退けていたが……いや、2度死にかけたな。
1度目は、不意打ちを食らって首に矢を受け毒まで使われて、もう少しで死にかけたな。2度目は、子どもを洗脳して暗殺者に仕立て上げ、毒の付いたナイフで刺し殺されるところだったっけな?
勇者関係は、どんなにステータスに差があっても、俺の守りを抜いて致命傷をいきなり与えることがあるんだよな。本当に面倒な奴らだ。
だから、グリエルもガリアもゼニスも、勇者関連のことは甘く見ていない。
勇者の称号は、ダンジョンマスター関係に特攻を与え、仲間にも伝播させることができる。この伝播させられる能力が一番厄介だ。各々の勇者に神が与えた特殊なスキルがあるようだが、それは今のところ脅威になったことは無い。
厄介な能力を与えられて、俺が窮地に追い込まれたことはあったが、神が与えた勇者専用のスキル自体が俺をピンチにしたことは無かったはず。
なんにせよ、勇者関連は慎重に取り扱うべきだと考えて、この3人が俺の所に集まってきたのだ。
「報告と言いましても、勇者たちの動きについて、送られてきた情報を共有しておかしな動きが無かったか、判断する予定です」
「了解。今日は、保護してから今までの報告ってことか?」
「そうですね。今日の勇者たち動きですが、保護してもらうので商会のことを手伝わせてほしいと、申し出があったそうです。シュウ様と同じレベルの教育を受けているためか、勇者2人の計算能力は高いようです。
それに比べ、ついてきた11人は、冒険者の中で少し賢いくらいだそうです。力はありますので、倉庫整理や荷物の配達を頼んでいるみたいですね」
「先進国なら、日本と同等以上の教育を受けているはずだからな。多少常識が無くても、それらが絡まない情報の処理なら得意だろうな。本人の頭の出来にもよるけどな」
「とは言いましても、ここに来れば埋没してしまう程度でしょう。計算や情報処理が速いだけでは、ここでは働けませんからね」
「ゼニス、話後それているぞ」
「おっと失礼。一日観察した結果、今のところは保護してもらったということもあり、役に立つために頑張っている……といった印象とのことです」
「そうだ、名前とか分かるか?」
「勇者たちは、キムとかリーとか呼ばれているそうです」
「キムにリーか……中国や韓国、北朝鮮あたりの名前かね? それとも、二世や三世で外国にいるタイプかね? 関わったら面倒な気配がするわ」
「分かりました。シュウ様に関わらないように、慎重に対応するように伝えておきます。後、勇者の従者に1人だけ不審な動きをしている、魔法使いがいましたのでマークを強めてもらっています」
「頑張ってるんじゃなかったの?」
「全体的には、頑張っている印象でしたが、その魔法使いだけ商会員が何やら不信を感じたので、担当のスプリガンに動きを追ってもらっています」
「あ~聞き忘れてたけど、犯罪の称号は無かったんだよな?」
「称号はもちろんありませんでした。保護してもらいたいと向こうが言ったときに、こちらの条件として真実の瞳を使い、犯罪を犯していないと証明してもらっています。もし、保護してから犯罪の称号があり、こちらが不利になっても困りますので」
「聖国が称号の付いていない、騎士や司祭を準備していた可能性は……あるか?」
「そこまでは判断できませんね。可能性は無限ですからな。気になるのでしたら、アンデッドバンパイアの教皇に聞いてみてはいかがですか?」
「聖国が送り込んできたとしても、教皇が知っている範囲外でのことだと思うんだよな。どう考えたって、あの教皇にメリットなんぞないからな。聞くだけ無駄だろうさ。ゼニス、再度確認だけど、支店では仕入れに関しては独自の商隊を持っていないんだよな?」
「そうですね。持ち込まれた商品を買い、それを売るのが基本です。ディストピアからの商品に関しては、商会が保有している商隊を使って、輸送していることになっています」
ん? 輸送していることになっている? どういうことだ?
「本当は、魔導列車で運んでいるので、ダミーとしての商隊がいくつもあるんです」
納得した。
「今日の所は、1人が不審な動きをしただけで、特に大きな問題は無かったということだな」
「今後の方針なのですが、領主代行と話をして、勇者たちが冒険者登録しないのであれば、周囲の盗賊や魔物の退治を中心にしてもらおうと考えています。魔法が得意でしたら、街の外のインフラ整備をお願いするのもありかと考えております」
「そっか、俺は基本的に街の中のインフラ整備しかしてないもんな。多少の金で済むなら、勇者たちに街道整備を任せてもいいかもな。もし手抜きをするのであれば、スプリガンが見つけてくれるだろうしな」
「では、その方向で話を進めておきます」
「まぁ、フレデリク周辺が終わってしまったなら、リーファスにでも行ってもらえばいいかもな。あ~、労働に対しては、しっかりと金を払ってくれよ。いらないと言われたら、毎回受け取りを拒否したって証明書みたいなのを書いてもらえよ」
「……すいません、それは思いつきませんでした。指示しておきます」
勇者たちが受け取りを拒否していたとしても、こちらが払っていなかったと言われれば、金銭の受け渡しがない以上こちらが不利になることもあるので、きちんと証明できるものを貰っておくべきなのだ。
これで、今日の報告会が終わる。
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