ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1777話 最終確認

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 会議が終わった後に、自分の執務室へ戻ってきてゼニスたちと話をする。

「勇者たちの件を、フレデリクの支店長に任せてしまったけど、大丈夫だったかな?」

 俺は任せると決めたが、強引に押し付けてしまったので大丈夫か心配になってきたので、ゼニスたちに意見を貰うことにしたのだ。

「そこらへんは、大丈夫だと思います。フレデリクに派遣している支店長は、商会でも能力の高い人材ですからね。シュウ様の始まりの地ということでしたので、腕利きを派遣しています」

 初めて訪れた街ではあるが、始まりの地というのは仰々し過ぎるかと。

「商会もそうですが、あの街の領主代行も優秀な人ですよ。元々能力の高い人でしたが、私とガリアが直々に教育した自慢の部下です。彼には、支店長と協力して対応するように言っていますので、問題ないでしょう。

 もし手に負えなければ、すぐに連絡が入ります。自分の能力を正確に理解しているのも彼らの強みですので、無謀なことはしないので安心して任せられますよ」

 領主代行も能力のある人間のようだな。

 よくよく聞くと、フレデリクとリーファスは隣街なので、領主代行も支店長も両方の街を担当しているのだとか……んん? それって支店長と言えるのか? それに代行って他の街と兼任しても平気か? 代行の方は、既に実例があったな。

「あの領主代行は、裏切るとか取り込まれる心配はありませんからね」

「それは、支店長も同じですね。理由はおそらく一緒だと思います」

 そこまで自信があるからには、何かしらの根拠があると思う……もしかして、奴隷の首輪をつけているとか?

 違った。元々は奴隷だったが、裏切ったり取り込まれる心配がないのと、奴隷だったことには因果関係は無いらしい。奴隷だった時期が影響しているが、それはマイナスではなくプラスの意味で影響しているらしい。

 ますます意味の分からないことを言い始めた2人に、言葉を濁さずに教えるように言う。

 奴隷だった時期は、自由に子供を作る権利もないのだとか。薄々感じていることではあったが、言葉として明確に聞いたのは今回が初めてだ。だけど、今その話をする理由が分からんのだが? 説明には続きがあるから、疑問は最後にしてほしいって? 分かったから、続きを頼む。

 知識奴隷ではなかったのに、優秀だったということで教育を施したら、大化けしたらしい。それならと、フレデリクの行政関係や商会関係の一新をして、新体制に移行させたのだとか。

 言われるまで忘れていたが、フレデリクやリーファスの行政関係は、邪魔な奴だけを排除してそのままだったっけ? そこに派遣された形の人員ってことか。

 ある程度の地位につき立場があるので、子どもを作る余裕ができて、子宝に恵まれたのだ。それはめでたいことだ! で、話がよく見えてこないのだが……? 奴隷から解放してもらって、子どもを作る余裕も生まれたから感謝しているということか?

 それも違うのか? ならどういうことだ?

 感謝はしている。それは間違いないのだが、それが一番の原因ではないのだとか。最大の理由が、生まれてきた子どもたちが、領主館や各支店などに配置されているスライムたちを気に入っているのだとか。

 もし自分が裏切れば、子どもたちがスライムと会えなくなる。その原因が自分にあると知られれば、可愛い子どもたちに口も聞いてもらえなくなる可能性があるから、絶対に裏切らないと言い切れるらしい。

 確かにニコから生まれたスライムたちは可愛い。だけど、それだけで裏切らないと言えるのか?

 え? もし俺が、娘さんたちに口を聞いてもらえなくなる可能性があると分かって、地雷を踏みに行くかって? そんなことするわけないだろ! あぁ、そういうことか。やっと授かった子どもに嫌われることなんて、したくないよな。

「話を戻しましょう。勇者を匿い雇うとしましょう。支店で雇ったからと言って、ゴーストタウンに連れてくる必要はないのです。フレデリクや周辺に張り付けておけば、こちらに害はないでしょう。

 勇者たちから、ゴーストタウン行きや中立地域への移動に関して、何度も聞かれるのであれば、限りなく黒に近付くと考えればいいのではないでしょうか?」

 そっか、匿ったからと言って、本拠地があるゴーストタウンに連れてくる必要は皆無だ。向こうから言い出すのであれば、違う目的があるのかもしれないな。

「あの地域に張り付けるというなら、こちらから指示をして街からも商会を通して勇者たちに色々依頼すれば、仕事に関しては問題ないと思われます」

「一つ注意しなければいけないのは、在庫の保管されている倉庫の地下にある、駅でしょうな。日々商う商品は、持ち込まれるものや契約している場所から仕入れていますが、ディストピア由来の物はあそこを使って運び入れていますからね」

 確かにそれは問題だ。

「それなら少し手間になるが、倉庫の出入り口は封鎖して、違うところから搬入する形にするか?」

「あ~、出入り口の封鎖はお願いしたいかもしれないですね。搬入に関しては、もともと偽装で仕入れの部隊がいますので問題ありません。どうしても駅を使いたいのであれば、領主館へ行けば問題ありませんので」

 そういうものか。そもそも駅を利用するのは、物資の運び入れくらいなので問題ないんだとさ。

 きちんと連絡してから、入り口を潰しておく。これで、勇者たちが自由に歩いても問題はないだろう。

 勇者の対応は、ひとまずこれで終了だ。後は、どんなアクションを起こすか、経過観察をするだけだな。

 グリエルたちが自分たちの執務室へ帰り、俺は自分の小部屋へ戻ろうと立とうとしたら、膝にテトが乗ってきた。なんだなんだ? かまってほしいのか? この寂しがり屋さんめ!

 うん、違った。そろそろ食事が食べたいらしい。お腹が減ったんだな。時間を確認すると、昼を過ぎておやつの時間が近くなっていた。テト、ライ、ランに謝り、ブラウニーたちに渡されていたこいつらの食事を、収納の腕輪から出して前に置く。

 娘たちがしているように食べる前にはお手をさせて、それから食べてもいいと許可を出す。俺も食事にするかな。俺の食事は、庁舎の食堂で働いているブラウニーたちが持って来ているので、小部屋に行けば食事の入ったケースが置いてあるはずだ。

 小部屋に戻ると、ケースが置いてあり中から食事を取り出す。ガッツリしたいものを食べたかったが、ガッツリ系は冷めると味が落ちるので、味の落ちにくいサンドイッチが入っていた。具の種類が沢山あり、飽きずに食べれそうだ。
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