ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,771 / 2,518

第1771話 すでに調教済み!?

しおりを挟む
 普通の猫たちとバステトの話し合いが終わったようだ。どうやら違うところへ移動するようだ。

 向かった先は、子ども部屋でいつも猫たちが陣取っている場所だ。フカフカの毛布や、クッションなどが敷いてある場所だ。

 初期に召喚された猫たちは一番いい所を思い思いに陣取り、綾乃から引き取った猫たちは先輩猫たちの邪魔にならないように陣取る。バステトは、そんな先輩たちの邪魔にならない位置で丸くなった。

 猫って怖いな。いや、怖いもの知らずというべきか? 自分たちより遥かに強い、Sランクの魔物の猫だぞ。そんな猫を、自分たちの下につかせるなんて。

 あっちはいいとして、問題はストームキャットか? 体の大半が埋もれている下の子たちは、気持ちよさそうだな。俺も埋もれたい……けど、既に下の子たちの眷属みたいになってねえか? 俺が召喚したんだけどな……おかしいな。

 おぉ、サンダーキャットとスライムたちの話し合いが終わったようだ。こっちは特に問題はなさそうだ。娘たちに抱き着かれているが、スライムたちは何も反応してないな。召喚した時はちょっとピリピリしてた気がするが、大丈夫そうだな。

 あのピリピリ感は何だったのだろう?

 それにしても、バステトはともかくサンダーキャットとストームキャットは、何で太っちょなんだ? ゴブリンやオークも、召喚するたびに姿が違うもんな。それの一つで、たまたま太っちょ猫なのかね?

 うちの猫はブラウニーたちに栄養管理をされて、しっかり躾られているので太っている猫がいないのだ。だけど、太っちょ猫が好きな俺としてはもう少しふっくらしている猫がよかったのだ……この二匹は嬉しいのだが、ブラウニーたちの躾で痩せないか心配である。あのままで維持をお願いしたい!

 ちょっと娘たちよ、俺にもサンダーキャットをモフらせてくれ。

 さすがに奪う訳にはいかないので、ちょっと視線を送ってみるが全く気付かれずに無視された。落ち込んで背中を丸めていたら、スライムたちが俺の背中に乗ってきた。慰めるのではなく、いじるんかい!

 そんなことをしていたら、夕食の時間になった。

 猫たちも一緒に移動するのだが、バステト・サンダーキャット・ストームキャットの順で猫たちの最後をついてきていた。

 食堂に入る前に三匹が止まって、多分バステトが代表してニャーと鳴く。そうすると、何かに気付いたスカーレットが三匹の前に飛んできた。そうすると、三匹が香箱座りで手を前に少し伸ばして伏せをした。

 三匹が次々にニャーニャーと言って、スカーレットが頷いている。

「よしっ!」

 何が「よしっ!」なのか分からないが、その声と同時に立ち上がり食堂へ入ってきた。既にシルキーの支配下にはいったようだ。

「ご主人様、猫たちですが元々この体型はご主人様の希望なので、維持したいとのことでした。なので、現状維持でよろしいですか?」

 まじか!? スカーレットってこいつらの言ってることが分かるのか?

「話している言葉が分かるのか?」

「いえ、言葉は分かりませんが、ご主人様のことで何かを訴えているのであれば、配下同士通じるものがあるんです」

 知らなかった……ミーシャなんかは、普通に従魔たちと会話しているみたいだけど、それはどうなんだろうか?

「えっと、あんまり太っちゃうとただのデブ猫になるから、ポッチャリくらいだと嬉しいな」

「分かりました。バステトは姿が変えられるようなので自由にさせますが、サンダーキャットとストームキャットは、体重を計りながら様子を見ます。魔物なので成長以外では、体型は変わらないと思いますが、様子観察しますね」

 え? 魔物って体型変わらんのか? 俺は慌ててニコを振り返る……確か召喚した時は、もう少し小さかった気がするのだが、お前は太ったんじゃなくて成長したのか? それより、スライムって成長するのか?

 俺の視線に気付いたニコは、何かを察したのか生まれたときの大きさになっていた。お前って、体の大きさ変えられたんだったな。忘れてたよ。すまんな。

 後でミーシャが教えてくれたのだが、子どもたちの相手をするのには、あの大きさがちょうどいいみたいで、今はあの大きさで生活しているんだとさ。特に、乗ったりクッションになったりするときに、ちょうどいい大きさなのだとか。

 そういう理由があったんだな。

 猫たちは行儀よく餌を貰える場所で待機している。娘たちが餌を運んできても、誰一人としてがっつくようなことは無かった。猫って待てが出来ない猫が多いが、うちの猫は食べていいよと言われるまで絶対に口をつけないのだ。

 娘たちに嫌われるのが嫌と言うのもあるだろうが、それ以上に娘たちの後ろにいるシルキーたちの逆鱗に触れるのが怖いのだと思う。

 前に悪さしたときに、食事が味気ない安物のカリカリだけになり、量も少なかったことが堪えているのだろう。長くやれば虐待になるので次の日に解除されたが、今まで美味しいものを食べていた猫たちからすれば、地獄だったかもしれない。

 うちは従魔も含めて、全員が胃袋を掴まれているからな……俺でも逆らえない。

 おや? 猫たちに餌を置き終わったと思ったら、ウルたちが猫たちの前にしゃがみ手を出していた。何をしているんだ?

 そう思うと、おもむろに猫たちが手を娘たちの手のひらに乗せた……マジか、お手をしている。今日召喚された三匹も含め全員のお手が終わったところで、四人から食べていいと声がかかった。

 今日は、鳥のササミっぽいものに、何かドロッとしたものがかかっているな。猫は濃い味は良くないっていうから、栄養価の高いこいつらが好きな何かなのだろうか? 分からんけど、美味そうに食ってるな。

 俺も食事を食べた。その後にお風呂へ向かうと、召喚した三匹もついてきた。

 猫は頻繁にお風呂に入れるのは良くないから、大丈夫なのかと思ったら、

「この子たちは、魔物だから毎日入っても問題ないんだって! ハクたちと同じみたい! それにとーたんのお風呂好きが遺伝しているみたいだよ」

 と、ミーシャが教えてくれた。この子、本当に魔獣たちの声が聞こえるみたいだな。そういえば、ミリーもテイマーとしての才能があるんじゃないか? って思ったことがあったけど、それも影響しているのかね? ダンジョンマスターの俺とも血が繋がっているし、何か持ってるのかもな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...