ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1765話 親子は似る?

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 意識は覚醒していないが、何やら笑い声が聞こえる……なにか、面白いことでもあったのかな? だけど、まだ眠いから寝かせてくれ。

 しばらくすると、笑い声が大きくなっている。人が多くなったようだ。む~、眠いのに……

 目を開け周りを見ると、妻たちがエアーベッドの周り集まって、俺のことを見て笑っていたのだ。ん? 今の俺は何かおかしい状態なのか? ただ、大の字になって寝ているだけだぞ。

 目が冴えてくると、妻たちが見ているのは俺だけじゃなく、俺の隣も一緒に見ている。隣? シンラが寝ているはずだが……なるほど、妻たちが俺のことを見て笑っている理由が分かった。

 寝姿が同じだった。

 シンラも俺も、大の字になって寝ていて、その様子を見た妻たちが笑っていたようだ。

 やっと目を覚ましたシンラが笑われていたことに気付き、何やら不服を訴えるために頬を膨らましていた。そんな様子も、妻たちから見れば可愛くおかしく見えていることだろう。可愛いと言いながら、笑っているぞ。

 そんな様子に更に怒ったのか、シンラが俺のことをポコポコ叩き始めた。当たるなら俺じゃなくて、笑っている妻たちに当たってくれよ。

 そんな願いもむなしく、シンラからの攻撃を受ける続けることになった。そして、それを何かの遊びか、俺を倒すための行動かと思ったのか、プラムとシオンまで混ざって俺をポコポコ叩いてきた。

 その様子を見た妻たちが、さらに笑っていた。笑ってないで助けてくれよ!

 10分くらい下の子たちの攻撃を受けていたら、姉たちが駆けつけて助けてくれた。もっと早く来てほしかったな。

 やっと起きられた俺は、妻たちが撮ってくれた写真を見て、俺も笑ってしまった。これは笑わずにはいられないな。

 大の字で同じ体勢で寝ていただけでなく、スライム枕を使い左を向いていて、口の端から涎をたらしているところまでシンクロしていて、枕にされていたスライムが涎を嫌がっているような仕草までシンクロしていたのだ。

 これは、笑わずにはいられない光景だろう。

 何かを察知した、ウルに抱いてもらっているシンラが抗議の声をあげていた。お前のことを笑っているわけじゃないぞ、笑っている対象に俺自身も入っているしな!

 そういえば、寝姿を見るためだけに集まったのか? おやつだと呼びに来たら、俺たちが面白かったので他の妻たちも呼んだらしい。姉たちは、おやつが食べたいのに戻ってこない母親たちを探しに来た、というのが真相のようだ。

 食堂に入ると、猫たちに飛びつかれた。おやつを待っていたのに、なかなか来ない俺に抗議をしているようだ。って言われてもな……しょうがない。今日は、ブラウニーたちが試作した、猫専用のフレッシュなおやつを出してやろう。

 ブラウニーに言って、出してもらう。おやつの皿をブラウニーたちに持っていかれたため、猫たちが慌てて俺の足にすり寄ってきた。どうも、抗議に対しての報復だと思われたらしく、俺にごまをすり始めたのだ。

 可愛いから許すけど、そんなことしなくてもおやつは出すっての。

 ブラウニーたちがフレッシュなおやつを持って来てくれたのを見た猫たちは、狂喜乱舞しているかのようにニャーニャー鳴いていたよ。そんなに嬉しいのか?

 さて、俺もおやつを食べるかな。

 子どもたちにはプリンアラモードが出され、俺には大福が出てきた。

 う~む、俺に知っている大福と若干形が違うな。しかもいつもの大福より大きい……この形と大きさ、何かがあるとみた。

 普通に食べるのが正解なのか、それとも他の食べ方があるのだろうか? 考えても良く分からないので、いつものように食べてみることにした。

 普通の大福だな、いつもと形と大きさが違った理由が分からん……いや! 今日の大福は少し甘みが控えめな気がするぞ。 もう一口食べようとかぶりついて気が付く。

 大福の中に何かが入っていた。柔らかく、少し酸味のある酸っぱい何かが入っていた。

 その酸味のおかげで、大福の餡子がいつも以上に甘く感じる。かぶりついた断面を見て、中に入っていた物を理解する。

 俺の食べていた大福は、イチゴ大福だったようだ。そして芸の細かいことに、普段食べているイチゴではなく、甘さ控えめで少し酸味の強いイチゴを、イチゴ大福だけのために品種改良したらしい。

 イチゴってどうやって品種改良するんだろうな? 花に違う種類の花粉でもつけるのかね?

 いやー、それにしても、このイチゴ大福は俺好みの味だな。甘々なのも好きだけど、こういった合わせ技の甘さも好きなんだよね。うまうま。

 子どもたちのプリンアラモードも、甘さ控えめにして飾りつけの果物に俺のイチゴと同じように、少し酸味のある物やクッキーなどを飾って、味を変えながら食べられる工夫をしたそうだ。

 それにしても、美味しそうに食べるな。プラムたち下の子は、プリンだけだがホイップクリームで飾りつけされており、シンラなんかは鼻の頭や頬にクリームをつけながらパクパク食べていた。

 俺は、熱い緑茶をすすりながら、子どもたちの様子を眺めた。

 量にするとたいしたことは無いが、やはり控えめにしたとはいえ甘いものなので、それなりにカロリーは高い。少し運動して、消費しておかないとな。

 久しぶりに、レジャー施設へ行きますかな。

 温泉に併設したスポーツジムに、子どもたちを連れていくことにした。スライムを14匹と妻たちが、半数ほどついてくることになった。

 俺は、ボルダリングをしてみようと施設へ行ったが、人気がありすぎて2時間待ちとかだった。なので、ボルダリングは諦めて、泳ぐことにした。

 この世界では、あまり泳げる人は多くないので利用者は少ない。利用している人の多くは、水の抵抗を利用したウォーキングで、ダイエットや膝に負担をかけないで運動する人だ。

 俺はそんな中で、一番消費の大きいバタフライで泳ぐことにした。山育ちなので比較的泳げる人が多い地域だった。

 世の中には勘違いをしている人が多いが、寒くて雪が降る地域の人たちはみんなスキーを滑れるわけじゃない。それと同じように、海が近い地域でもみんなが泳げるわけじゃない。

 きちんと比較したことは無いが話を聞いている限りでは、俺の地域で泳げる割合は沖縄で泳げる人の割合より多いと思う。オンラインゲームで知り合った沖縄の友達の周りには、泳げない人が多いと言っていた。泳げないけど浮ける人は多いのだとか。

 授業で水泳とかあるのに、どうしていたのだろうか?

 そんなことを思い出したが、考えていられたのも始めのうちだけ。1分もすれば、息が上がり泳ぐのがしんどくなってくるが、限界まで頑張る! 5分で1キロメートルを泳ぎ切った。

 世界記録をぶっちぎってるな。俺の泳ぐスピードが速く腕のかく力が強かったためか、プールではありえない波が出来ていたそうだ。船の波紋みたいに少しなっていたとか。

 波か……流れるプールはあるけど、人工波のプールは無かったな。作ってみるのもいいかな?

 子どもたちは可愛い水着を着せてもらい、浅いプールで母親とスライムたちに囲まれて遊んでいた。うんうん、楽しそうで何よりだ。
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