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第1761話 休ませて!
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グダグダ考えることを放棄して、見たままに反応しよう。
理由は簡単だ。だって、勝ち負けが死に直結する状況じゃないもん。だけど、相手は本気。ならばこの機会を使って、反射に任せた戦闘も面白そうだ……と言うだけの話である。
先ほどと同じように2人とも突っ込んできた。
シェリルは右のフック気味の攻撃を顔に、ネルは左の拳でリバーブロウか?
違う方向からの攻撃はさばきにくいが、ネルの攻撃は右の足の裏で強引に止め蹴り返す。シェリルの攻撃は手のひらで抑え、拳を掴んだ状態にする。ネルが俺の蹴りで距離が離れると、体を反時計回りに回転させながらシェリルの懐へ入り込み、一本背負いの要領で地面にたたきつける。
シェリルの口から息が漏れる。
こんなチャンスを逃すわけもなく、寸止めする形でシェリルの顔に突きを放つ。
油断していたわけじゃない。だけど、見て反応するにはシェリルの動きが速すぎた。突きを放った俺の拳を避け、手首を両手でつかみ、足を跳ね上げ俺の腕に絡みついてくる。そして、左足で俺の首を刈るように勢いをつけて地面へと倒された。
腕ひしぎ十字固めの状態である。完璧に関節が決められた状態だ……本来ならここで試合は終わるのだが、残念ながら俺はこれじゃ止まらないんだよね。
だけど、それを知らないシェリルからは、降参するように警告が出る。
それでも降参を言わないので、ネルが追撃を仕掛けて来た。俺が先ほどシェリルにした攻撃と同じ、顔面を思い切り突く体勢だ。これは避けられずに寸止めされれば、負けが確定する。
固められている右腕に意識を集中する。入れていた力を一気に抜き、更に筋肉を緩める。そうすると何が起こるかと言えば、肘関節が曲がってはいけない方向へ曲がってしまう。
だけどこれは、意識的に関節を外す裏ワザだ。それなりに痛いが、組まれている状態から抜け出すための方法なので気合で我慢。肩の関節も外して、腕を引っ張るようにして体を回す。
シェリルが手首をつかんだ状態のままだったので、1つ裏技をつかう。左手のでシェリルの足首を掴み、親指に力を入れる。特にそれだけで何があるわけでもないのだが、俺たちクラスの力を一点に集めると刺されたような痛みが走るのだ。
その一瞬で右腕を抜き、ネルの顔面突きを躱して、距離を取る。
「その腕……」
シェリルとネルが、少し泣きそうな顔をしているが、
「気にする必要はないよ。ふーー、ハッ!」
脱力した状態から一気に右腕に力を入れ、肩関節と肘関節を強引に入れた。
「この通り。肉体を改造してから出来るようになった裏技だよ。それなりに痛いけど、問題なく動かせるし骨折もしていない。だから、俺はまだ、戦闘可能だよ」
そう言うと、改めて顔を引き締めた2人が距離を詰めて来た。
今度は、一撃の重い攻撃ではなく、手数で攻めて来た。
2人も成長して大きくなったが、やっぱり俺に比べると軽いんだよね。男と女の差っていうのもあるけど、力と素早さのステータスに重さが加わって威力になるので、無手だと体重差が結構出たりするのだ。
威力を重視しない軽い攻撃なら、俺は簡単に受けることができる。
蹴りや突きを受けて、そのまま反撃したり、甘い攻撃は回避と同時に投げて落としたりしている。
体を改造していなければ、この子たちに有利な立ち回りはできなかっただろう。ここまでできるのも、思考を意識的に加速できるからだ。
5分ほど打ち合っていると、受けている拳に体の内側に響く攻撃が混ざってきた。
俺は打ち合いながら、
「2人とも、模擬戦でスキルを使うのはどうかと思うぞ。ということで、終わりにしようか」
一歩強引に足を進め、左手でシェリルのあごを、右手でネルのあごに触れた状態で攻撃を止める。
「ぶ~、また勝てなかった。みんなのお父さんは強いね!」
試合を観戦していた子どもたちのもとへ向かったシェリルが、子どもたちにそういった。
それに反応して、ミーシャたちが歓声を上げていた。
「腕、本当に大丈夫?」
ネルは、俺のことを心配して声をかけて来た。子どもたちの意識をそらすために、シェリルが向こうに行ったのだろう。その間に、ネルが回復する感じで声をかけて来た。
「ああ、問題ないよ。多少痛むけど、体をある程度操作できるようになったから可能な芸当だよ。関節は痛むから、回復しないといけないんだけど、子どもたちには気付かれないうちに回復してるよ」
ネルは安心した顔をしている。それにしても、シェリルやイリア、ネルってミーシャたちと並ぶと、歳の少し離れた姉妹に見えるな。
少し離れたところで観戦していた、他の妻たちも合流した。
今日は、他の妻たちとも模擬戦をすることに決まった……俺の休みが、休みじゃない気がするんだが!
全員と模擬戦をすることになったが、やはりシュリが一番手強かった。手強いというか、一撃が俺と同じかそれ以上なので、受ける選択肢が無くなって回避を前提に動かないといけなくなるからね。
連戦した影響もあるのだが、俺の戦績は15勝8敗だった。
勝ちが先行してはいるが、勝ち負けは誤差だったと思う。特にシェリルとネルは、2人で戦った時より1人で戦った時の方が、戦い難かった。
俺が負けたのは、シェリル・ネル・シュリ・アリス・シャルロット・リリー・サーシャ・メルフィ、の八人だ。並べてみると分かったが、前衛の近接やタンクに弱いという結果になった。
この子らの戦っている間合いは、かなり近いから格闘戦にも生きているのだろう。
おやつの時間になる頃には、へとへとになり久々にモフモフな従魔たちに埋もれて休んだ。
そんなモフモフパラダイスで休んでいれば、娘たちが放っておくわけもなく一緒に埋もれることとなる。俺の従魔たちは、俺より子どもたちが近くにいた方が喜ぶから、いい結果になったと思おう。
理由は簡単だ。だって、勝ち負けが死に直結する状況じゃないもん。だけど、相手は本気。ならばこの機会を使って、反射に任せた戦闘も面白そうだ……と言うだけの話である。
先ほどと同じように2人とも突っ込んできた。
シェリルは右のフック気味の攻撃を顔に、ネルは左の拳でリバーブロウか?
違う方向からの攻撃はさばきにくいが、ネルの攻撃は右の足の裏で強引に止め蹴り返す。シェリルの攻撃は手のひらで抑え、拳を掴んだ状態にする。ネルが俺の蹴りで距離が離れると、体を反時計回りに回転させながらシェリルの懐へ入り込み、一本背負いの要領で地面にたたきつける。
シェリルの口から息が漏れる。
こんなチャンスを逃すわけもなく、寸止めする形でシェリルの顔に突きを放つ。
油断していたわけじゃない。だけど、見て反応するにはシェリルの動きが速すぎた。突きを放った俺の拳を避け、手首を両手でつかみ、足を跳ね上げ俺の腕に絡みついてくる。そして、左足で俺の首を刈るように勢いをつけて地面へと倒された。
腕ひしぎ十字固めの状態である。完璧に関節が決められた状態だ……本来ならここで試合は終わるのだが、残念ながら俺はこれじゃ止まらないんだよね。
だけど、それを知らないシェリルからは、降参するように警告が出る。
それでも降参を言わないので、ネルが追撃を仕掛けて来た。俺が先ほどシェリルにした攻撃と同じ、顔面を思い切り突く体勢だ。これは避けられずに寸止めされれば、負けが確定する。
固められている右腕に意識を集中する。入れていた力を一気に抜き、更に筋肉を緩める。そうすると何が起こるかと言えば、肘関節が曲がってはいけない方向へ曲がってしまう。
だけどこれは、意識的に関節を外す裏ワザだ。それなりに痛いが、組まれている状態から抜け出すための方法なので気合で我慢。肩の関節も外して、腕を引っ張るようにして体を回す。
シェリルが手首をつかんだ状態のままだったので、1つ裏技をつかう。左手のでシェリルの足首を掴み、親指に力を入れる。特にそれだけで何があるわけでもないのだが、俺たちクラスの力を一点に集めると刺されたような痛みが走るのだ。
その一瞬で右腕を抜き、ネルの顔面突きを躱して、距離を取る。
「その腕……」
シェリルとネルが、少し泣きそうな顔をしているが、
「気にする必要はないよ。ふーー、ハッ!」
脱力した状態から一気に右腕に力を入れ、肩関節と肘関節を強引に入れた。
「この通り。肉体を改造してから出来るようになった裏技だよ。それなりに痛いけど、問題なく動かせるし骨折もしていない。だから、俺はまだ、戦闘可能だよ」
そう言うと、改めて顔を引き締めた2人が距離を詰めて来た。
今度は、一撃の重い攻撃ではなく、手数で攻めて来た。
2人も成長して大きくなったが、やっぱり俺に比べると軽いんだよね。男と女の差っていうのもあるけど、力と素早さのステータスに重さが加わって威力になるので、無手だと体重差が結構出たりするのだ。
威力を重視しない軽い攻撃なら、俺は簡単に受けることができる。
蹴りや突きを受けて、そのまま反撃したり、甘い攻撃は回避と同時に投げて落としたりしている。
体を改造していなければ、この子たちに有利な立ち回りはできなかっただろう。ここまでできるのも、思考を意識的に加速できるからだ。
5分ほど打ち合っていると、受けている拳に体の内側に響く攻撃が混ざってきた。
俺は打ち合いながら、
「2人とも、模擬戦でスキルを使うのはどうかと思うぞ。ということで、終わりにしようか」
一歩強引に足を進め、左手でシェリルのあごを、右手でネルのあごに触れた状態で攻撃を止める。
「ぶ~、また勝てなかった。みんなのお父さんは強いね!」
試合を観戦していた子どもたちのもとへ向かったシェリルが、子どもたちにそういった。
それに反応して、ミーシャたちが歓声を上げていた。
「腕、本当に大丈夫?」
ネルは、俺のことを心配して声をかけて来た。子どもたちの意識をそらすために、シェリルが向こうに行ったのだろう。その間に、ネルが回復する感じで声をかけて来た。
「ああ、問題ないよ。多少痛むけど、体をある程度操作できるようになったから可能な芸当だよ。関節は痛むから、回復しないといけないんだけど、子どもたちには気付かれないうちに回復してるよ」
ネルは安心した顔をしている。それにしても、シェリルやイリア、ネルってミーシャたちと並ぶと、歳の少し離れた姉妹に見えるな。
少し離れたところで観戦していた、他の妻たちも合流した。
今日は、他の妻たちとも模擬戦をすることに決まった……俺の休みが、休みじゃない気がするんだが!
全員と模擬戦をすることになったが、やはりシュリが一番手強かった。手強いというか、一撃が俺と同じかそれ以上なので、受ける選択肢が無くなって回避を前提に動かないといけなくなるからね。
連戦した影響もあるのだが、俺の戦績は15勝8敗だった。
勝ちが先行してはいるが、勝ち負けは誤差だったと思う。特にシェリルとネルは、2人で戦った時より1人で戦った時の方が、戦い難かった。
俺が負けたのは、シェリル・ネル・シュリ・アリス・シャルロット・リリー・サーシャ・メルフィ、の八人だ。並べてみると分かったが、前衛の近接やタンクに弱いという結果になった。
この子らの戦っている間合いは、かなり近いから格闘戦にも生きているのだろう。
おやつの時間になる頃には、へとへとになり久々にモフモフな従魔たちに埋もれて休んだ。
そんなモフモフパラダイスで休んでいれば、娘たちが放っておくわけもなく一緒に埋もれることとなる。俺の従魔たちは、俺より子どもたちが近くにいた方が喜ぶから、いい結果になったと思おう。
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