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第1753話 ゼニスの隠し玉
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ガリアが帰ってきた。
奥さんは、しきりにお礼を言っていたが、お礼を言いたいのは俺の方である。
そういえば、子どもたちとは会えているのだろうか?
そんなことを、グリエルとガリアに聞いてみたが、どうやら週一でテレビ電話……映像無線? まぁ、顔は見ているらしい。そして、2人ともいつの間にか結婚をしていて、子どもも出来ていたらしい。
何で教えてくれないのさ! 海側に作った新しい街のトップ2人なのに、俺が知らないってどういうことだ! ちょっと怒ってしまった。
グリエルとガリアからすると、子どもたちのために俺の時間をいただくなんて……とか言われたけど、俺の時間なんて腐るほどあるからな。よし、次の休みにいきなり訪問してみるかな。
ガリアがグリエルに、いなかったときの報告を受けている。
俺の妻たちが何でいるのか疑問に感じていたようだが、内容を聞いて納得していた。ガリアもここまでとは思っていなかったようだが、妻たちの仕分けを見てこれなら手伝ってもらいたいと考えるのは分かる、としきりに頷いていたな。
この世界の知識レベルが低いせいもあるだろうが、仕事のできる妻たちはちょっと誇らしい。俺が係わってはいないが、ちょっと優越感があるね。
知識レベルで思い出したが、俺の出資している孤児院からの卒院生たちが優秀で、色々なところから引っ張りだこになっているのだとか。
ただ平民の優秀な人材は、偉い人たちに目をつけられやすいということもあり、度々トラブルに巻き込まれてしまっているらしい。将来のために……と思って、孤児たちに教育をしているが、度合いを考えた方が良いのだろうか?
俺の孤児院のない街では、もっと大変な人生を歩むことになる孤児が多いので、教育は今のレベルで行っていた方が良いとグリエルたちに聞いたんだよな。知識があれば避けられるトラブルも多いのだ。
特に賃金が安く、何かミスした際に押し付けてスケープゴートにされやすいのが、孤児なんだってさ。相手側も司法側も、明らかに嘘だとはわかっているが口封じされてしまえば、証拠を見つけることが難しいのだ。
それに対して孤児院の卒院生は、教育せずに即戦力になるので、使いやすいが少し賃金の高めの労働力という感じだろう。多少高くても教育期間にかかるお金を考えれば、横のつながりで雇う商人たちのバカ息子を雇うよりはるかにお得なんだってさ。
横つながりの商人たちでも、自分の息子たちより優秀な人間がいれば、無理に雇えなんて言えないよな。自分たちだって、どっちを選ぶかなんて考えるまでもないもんな。もし言うような奴がいれば、商人たちの中での評価が激落ちするのは間違いない。
そこまで優秀ではないにしても、商人たちの息子は一般の家庭の子どもたちからすれば、優秀であるから横のつながりを考えて雇っていることが多いんだとさ。
そこに優秀な孤児が出てくれば、商人や街の役人が欲しがるのも無理はない。
その弊害で、雇ってもらえなかった商人の息子や、あふれてしまった能力のないそこそこ地位の高い子どもたちが、逆恨みしてトラブルに巻き込まれてしまうのだ。
無能でプライドだけが高い人間は、得てして問題が自分にあることを理解できず、すべてを人のせいにするのだ。本来自分のいるべき場所を奪った相手をターゲットとして、バカなことを行うことが多い。
孤児たちに、俺の商会のある街以外での就職は、基本的に勧めていない。トラブルに巻き込まれた際に、助けることが難しくなるからだ。それでも、条件が良ければ行ってしまうことはあるが、そのうちの2~3割は前にあげたバカ者たちによって、治らない傷を受けてしまうことがある。
助け出せれば体の傷は何とでもなるが、心の傷をいやすことは難しい……
こうなると、もう戦争である。ちょっと前に知ったのだが、ゼニスが俺に内緒で作っていた懲罰部隊が、加担した商人と子ども、手伝った人間、すべてを洗い出して報復を行っているんだとさ。
戦争は戦争でも経済戦争であり、無尽蔵の資金を持つ俺の商会に目をつけられたら……落ちるところまで落ちるしかない。そしてこの懲罰部隊で一番質の悪いのは、一切の不法行為を行わず、早ければ数日で遅くても3週間ほどで相手を食いつぶすらしい。
情報通の商人や情報屋には、ダークキャラバンと呼ばれ、闇を連れてくる商隊と恐れられている。恐ろしいことに、ジェノサイドキャラバン……敵をすべて排除する戦う商隊と瓜二つなのだ。
普段は、同じように活動しているのだが、一度情報を聞きつければ現れる最強のキャラバンである。むしろ、戦闘力だけで言えばジェノサイドキャラバンより懲罰部隊の方が上である。
その原因となったのは、綾乃だ。ゼニスが報酬で釣って、人造ゴーレムの技術を応用して作ったあれこれを渡しており、その上で馬車に擬態できる人造ゴーレムをを作ったのだ。
馬車に擬態できる人造ゴーレムってなんぞ? って思ったが、何体かを繋げ合わせることで床部分に隠れ潜むことのできるゴーレムだった。見せてもらった時に、外枠にキレイに収まっていく人造ゴーレムたちは、シュールだったな。
懲罰部隊が過剰とも思える戦力を有しているかと言えば、あくどく稼いでいる奴らは、得てして強い護衛が多い。そしてその護衛は、札付きの悪だったりすることが多いのだ。
前に、他の国で指名手配犯になり、他国に逃げて戦力として重宝されるシングル冒険者がいたが、ああいった感じの輩がそれなりにいるのだ。そのせいで、裁けない貴族も多い。大半は一緒になって、うまい汁を吸っているんだけどね。
そんな奴らを敵に回すので、過剰とも思える戦力を持たせているのだとか。
各商会の支店にも、過剰と思える戦力が置かれているのも、そういった奴らへの対策のためだったりする。敷地内に寮を作っているのも、そういった対策のためである。
ゼニスが一番、俺の知らない所で色々している気がするわ。
盛大に話がそれたな……
何考えてたんだっけ? 妻たちが優秀で、鼻が高いみたいなことを思ってたっけな? あ~違うな、その前に2人に孫が出来ていたって話からそれて、あの話になったんだったわ。
今度休みの日に、グリエルたちの子どもにいきなり突撃しようと考えていたんだった。
何歳なんだろな? 何を持っていけば喜んでくれるかね、妻たちに相談してみるか。今日家に帰ったら、しなきゃいけないことが決まったな。
奥さんは、しきりにお礼を言っていたが、お礼を言いたいのは俺の方である。
そういえば、子どもたちとは会えているのだろうか?
そんなことを、グリエルとガリアに聞いてみたが、どうやら週一でテレビ電話……映像無線? まぁ、顔は見ているらしい。そして、2人ともいつの間にか結婚をしていて、子どもも出来ていたらしい。
何で教えてくれないのさ! 海側に作った新しい街のトップ2人なのに、俺が知らないってどういうことだ! ちょっと怒ってしまった。
グリエルとガリアからすると、子どもたちのために俺の時間をいただくなんて……とか言われたけど、俺の時間なんて腐るほどあるからな。よし、次の休みにいきなり訪問してみるかな。
ガリアがグリエルに、いなかったときの報告を受けている。
俺の妻たちが何でいるのか疑問に感じていたようだが、内容を聞いて納得していた。ガリアもここまでとは思っていなかったようだが、妻たちの仕分けを見てこれなら手伝ってもらいたいと考えるのは分かる、としきりに頷いていたな。
この世界の知識レベルが低いせいもあるだろうが、仕事のできる妻たちはちょっと誇らしい。俺が係わってはいないが、ちょっと優越感があるね。
知識レベルで思い出したが、俺の出資している孤児院からの卒院生たちが優秀で、色々なところから引っ張りだこになっているのだとか。
ただ平民の優秀な人材は、偉い人たちに目をつけられやすいということもあり、度々トラブルに巻き込まれてしまっているらしい。将来のために……と思って、孤児たちに教育をしているが、度合いを考えた方が良いのだろうか?
俺の孤児院のない街では、もっと大変な人生を歩むことになる孤児が多いので、教育は今のレベルで行っていた方が良いとグリエルたちに聞いたんだよな。知識があれば避けられるトラブルも多いのだ。
特に賃金が安く、何かミスした際に押し付けてスケープゴートにされやすいのが、孤児なんだってさ。相手側も司法側も、明らかに嘘だとはわかっているが口封じされてしまえば、証拠を見つけることが難しいのだ。
それに対して孤児院の卒院生は、教育せずに即戦力になるので、使いやすいが少し賃金の高めの労働力という感じだろう。多少高くても教育期間にかかるお金を考えれば、横のつながりで雇う商人たちのバカ息子を雇うよりはるかにお得なんだってさ。
横つながりの商人たちでも、自分の息子たちより優秀な人間がいれば、無理に雇えなんて言えないよな。自分たちだって、どっちを選ぶかなんて考えるまでもないもんな。もし言うような奴がいれば、商人たちの中での評価が激落ちするのは間違いない。
そこまで優秀ではないにしても、商人たちの息子は一般の家庭の子どもたちからすれば、優秀であるから横のつながりを考えて雇っていることが多いんだとさ。
そこに優秀な孤児が出てくれば、商人や街の役人が欲しがるのも無理はない。
その弊害で、雇ってもらえなかった商人の息子や、あふれてしまった能力のないそこそこ地位の高い子どもたちが、逆恨みしてトラブルに巻き込まれてしまうのだ。
無能でプライドだけが高い人間は、得てして問題が自分にあることを理解できず、すべてを人のせいにするのだ。本来自分のいるべき場所を奪った相手をターゲットとして、バカなことを行うことが多い。
孤児たちに、俺の商会のある街以外での就職は、基本的に勧めていない。トラブルに巻き込まれた際に、助けることが難しくなるからだ。それでも、条件が良ければ行ってしまうことはあるが、そのうちの2~3割は前にあげたバカ者たちによって、治らない傷を受けてしまうことがある。
助け出せれば体の傷は何とでもなるが、心の傷をいやすことは難しい……
こうなると、もう戦争である。ちょっと前に知ったのだが、ゼニスが俺に内緒で作っていた懲罰部隊が、加担した商人と子ども、手伝った人間、すべてを洗い出して報復を行っているんだとさ。
戦争は戦争でも経済戦争であり、無尽蔵の資金を持つ俺の商会に目をつけられたら……落ちるところまで落ちるしかない。そしてこの懲罰部隊で一番質の悪いのは、一切の不法行為を行わず、早ければ数日で遅くても3週間ほどで相手を食いつぶすらしい。
情報通の商人や情報屋には、ダークキャラバンと呼ばれ、闇を連れてくる商隊と恐れられている。恐ろしいことに、ジェノサイドキャラバン……敵をすべて排除する戦う商隊と瓜二つなのだ。
普段は、同じように活動しているのだが、一度情報を聞きつければ現れる最強のキャラバンである。むしろ、戦闘力だけで言えばジェノサイドキャラバンより懲罰部隊の方が上である。
その原因となったのは、綾乃だ。ゼニスが報酬で釣って、人造ゴーレムの技術を応用して作ったあれこれを渡しており、その上で馬車に擬態できる人造ゴーレムをを作ったのだ。
馬車に擬態できる人造ゴーレムってなんぞ? って思ったが、何体かを繋げ合わせることで床部分に隠れ潜むことのできるゴーレムだった。見せてもらった時に、外枠にキレイに収まっていく人造ゴーレムたちは、シュールだったな。
懲罰部隊が過剰とも思える戦力を有しているかと言えば、あくどく稼いでいる奴らは、得てして強い護衛が多い。そしてその護衛は、札付きの悪だったりすることが多いのだ。
前に、他の国で指名手配犯になり、他国に逃げて戦力として重宝されるシングル冒険者がいたが、ああいった感じの輩がそれなりにいるのだ。そのせいで、裁けない貴族も多い。大半は一緒になって、うまい汁を吸っているんだけどね。
そんな奴らを敵に回すので、過剰とも思える戦力を持たせているのだとか。
各商会の支店にも、過剰と思える戦力が置かれているのも、そういった奴らへの対策のためだったりする。敷地内に寮を作っているのも、そういった対策のためである。
ゼニスが一番、俺の知らない所で色々している気がするわ。
盛大に話がそれたな……
何考えてたんだっけ? 妻たちが優秀で、鼻が高いみたいなことを思ってたっけな? あ~違うな、その前に2人に孫が出来ていたって話からそれて、あの話になったんだったわ。
今度休みの日に、グリエルたちの子どもにいきなり突撃しようと考えていたんだった。
何歳なんだろな? 何を持っていけば喜んでくれるかね、妻たちに相談してみるか。今日家に帰ったら、しなきゃいけないことが決まったな。
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