ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1736話 街のことについて

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 それにしても、壮観だな。

 俺は娘たちのドッペルを連れて、街の中心にある冒険者ギルド兼庁舎兼領主館の屋上へ来ている。

 ここに来れるのは、ここの代官になる人とその家族に、屋上の手入れをするメイドや執事くらいだろう。そして俺は、領主としてその権限を使い倒してここへきている。俺の物だからいつ来ても文句を言われる事はない!

 っと、そんな話がしたいわけじゃなかった。

 ここからだと、作っている街が一望できる。領主館と上水路しか建造物がないので、なんか寂しい感じがするのだが、計画的に作られた上水路は神秘的で美しかった。建物はないけど、グリエルが頑張ったであろう区画分けの溝も綺麗に整っていてなんか、すごかった。

 娘たちも気に入ったようではしゃいでいたな、屋上が。景色に感動するのはまだ早い年頃かね?

 娘たちも満足したようなので体へ戻ってもらい、俺は庁舎で報告を受けることにした。

 ここでこの街における決まり事、法律みたいなものの説明を受けた。基本的にはディストピアや、ゴーストタウンと変わらないようだ。

 違うとすれば、上水路があり街の見た目にも力を入れて作るようで、建築様式や建物の高さの指定があるそうだ。場所によって建てないといけない高さを決めるらしい。それはやり過ぎじゃないか? と思ったが、建築に関しては厳しく指定するので、住民の場合は申請があれば補助金を出すようだ。

 住民じゃない者は? 想定しているのは、商人とか商会だけなので、建築できる財力がないならあきらめろ! ってことらしいぞ。冒険者は住人じゃないので家は作れないが、建物を貸し出す賃貸はあるようだ。

 注意事項に、月1で部屋の状態確認があるというのには笑ったな。冒険者は粗暴な者が多いので、破損が多かったりするらしい。他にも不潔だったりすることもあるので、部屋を綺麗にしていないと修繕費を取られる上に、追い出されるのだとか。

 この街に住む条件として、近くの銭湯と契約をする事という項目にも驚いたな。入れと強要することはないが、契約して金を払うのだから、銭湯を利用するようになるだろう、という目論見らしい。衛生状態にも影響があるから、清潔を心がけてもらいたいということだろう。

 その銭湯も温泉が湧き続けているので、掃除の手間だけだったりするんだよね。そういうのは子どもでもできるので、休みの日の子どもたちの小遣い稼ぎとして、やらせるのもありなのでは? とグリエルが言っていた。

 ちなみに、この街に入るための入場料は、銭湯代の1ヶ月分である。それでも普通の街の入場料よりかなり安く設定している。住民なら全員契約しているので給料からの天引きがあり、冒険者の場合は月初めの報酬から、強制的に徴収することを検討しているらしい。

 上手くいくもんかね? と思わなくも無いが、グリエルたちが決めたのなら頑張ってくれ! という感じだな。

 話が終わる頃に、ゼニスがやってきた。土木組も一緒だな。何があるんだ?

 グリエルは、先立ってゼニスに見本となる商会の建物と、宿屋を作ってもらおうと呼んでいたらしい。俺の話が終わるのを待ってここに来たのだとか。

 グリエルとゼニスは、何処に商会を建て宿屋を置くのか話し合い始めた。食料品店の配置は決まっており、その内観まで指定されていたので一切話には出てきていなかった。

 一番いい立地に商会の建物を置き、宿屋はばらけて配置するのではなく、俺の商会の宿屋は集めて建てるようだ。集めて建てるけど、明確に用途を分けて作るんだとさ。松竹梅みたいにランク分けして、大部屋雑魚寝、中部屋でパーティー毎、1~2人用の個室みたいな感じを考えているようだ。

 商売人たちには早い段階でいついてもらいたいと考えているようで、必要数までは優遇を考えているのだとか。

 普通ならこんな状態の街で商売をしようとする人は多くない。本当に人が集まるのかも分からないし、商売として成り立つのかも分からない状況では、小規模な商会は普通来ないだろう。

 だから必然的に来る可能性があるのは、大規模な商会かある程度まとまったお金を稼いで、商売を始めようとしている人たち位ではないか?

 小規模な商会なら、店をかまえるより仕入れに来るのが普通だろう。ある程度大きな商会であれば、珍しいものなどをすぐに買えるように事務所を置くだろう。常に珍しい物が売りに出されるわけがないのだからな。

 個人で商売を考えているのは、職人だったり飲食店、宿屋がメインとなるだろう。だから、早く来た者たちには優遇措置を検討しているようだ。初めのうちは客自体が少ないから、それでも商売をしてくれる貴重な人材を、守るための支援ということだな。

 話し合いが終わったゼニスは、土木組を連れて商会の建物を建てる場所へ来ている。作るのは、中心にある冒険者ギルド兼庁舎兼領主館、いい加減長いな、何か良い呼び名は、塔でいいか。建物の外壁は丸く作られているので、塔と思えばそのように見えなくもない。

 その塔を抜けば一番高く作れる15メートルで4階建てのビルのような物を作るそうだ。建築様式と言っていたが、実際は形と色の指定があるだけのようだ。

 中心部は最大で15メートル、最低でも13メートルの建物を建てる必要がある。資金の無い商会はお呼びでないって感じだな。

 この外側に兵士たちの寮や訓練施設、詰所、本部などが設置される。ここの高さは12~10メートルを想定している。

 次に住宅エリアになるのだが、ここは中心に近い場所から高さが決まっており、9メートルが一番内側で外に向かって進むにつれて最低が4メートル。4メートルって豆腐建築で1階分と考えると高いけど、2階と考えると低すぎる、屋根裏部屋かな? それともロフトかな?

 話を聞いていると堅苦しそうな街に思えて来たわ。

 おぉ~土木組やりおるな。どんなふうに作っているかと思ったら、クリエイトゴーレムを使っていたんだよ。ドワーフたちもここまでうまくは使えないだろうな。小さい頃に覚えさせて訓練すれば、鉄骨(のような物)を曲げたりくっつけたりするのは朝飯前だな。

 全員で手分けしてテキパキと動いていて、終わった部分に土魔法でコンクリートのような物をまとわりつかせていた。魔法でコンクリートのような物を再現したのか! しかも固まっている状態なので、作業の手が止まる事が無いな。

 見る見るうちに2階部分まで完成。今日はここまでらしい。

 土木組はこの後、1ヶ月で商会のビル、3階建ての宿屋を10、スーパー的建物を8、兵士たちに関係する建物、銭湯などを作って帰ってくることとなる。
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