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第1716話 ゴーレムはどこだ!
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「シュウ様、進む前に食事を食べましょう。忘れていましたが、もうお昼をかなりすぎています」
そう言われて時間を確認すると、14時を回っていた。
俺たちは、全員で憑依を解いて食事を食べることにした。ドッペルたちには、自分たちで食事をできるように、憑依を解く前に準備した。
意識で体は動かしているのだが、生身の方はベッドの効果で筋肉が衰えないようにするレベルの筋肉の動きなので、食事を食べすぎると太ってしまうことがあるから少し抑えて食べる。その中でも関係なしに食べているのは、シュリだ。呪いに近い英雄症候群だからな、仕方がない。
時間をかけるわけにはいかなかったので、サンドイッチのような軽食を少し多めに食べた感じだ。夕食はみんなガッツリ食べそうだな。
そんなことを考えながらドッペルへ憑依する。
食事は終わった後のようで、みんな歯磨きの最中だった。そういう俺も口に歯ブラシを加えた状態で、ドッペルの意識に乗り込んだようだ。
こっちに来る前にも歯磨きをして、ここでも歯磨きをして、何か不思議に気分だな。
歯磨きが終わると軽く体を動かして、ダンジョンを進んでいく。
やはりゴーレムは出てこない。俺が襲撃を受けて銃に頼ることになったのは、25階の半ば、昼食を食べたのが26階に入った付近、今が29階に下りたばかり。
25階の後半から28階まで、3階半ほどはゴーレムが出てきていない。当初の予想通りに29階で出るのか、30階以降の昆虫や爬虫類系の索敵しにくい相手に紛れて出てくるのか?
俺たちなら不意打ちされても即死級の強い毒でも使わない限り、ここら辺の階では死ぬ方が難しいのが現状だ。だから戻るという選択肢はないが、適正レベルの冒険者たちだったら、普通は戻るだろうな。
攻略した後に適正レベルの冒険者たちでも帰らせない罠が、25階から仕掛けられていることを知る。シュウたちは、最短距離で突き進んでいたため、その罠に引っかからなかったのだ。その罠を見つけたとしてもシュウたちには効果は無かったのだが、ダンジョンについて考察する材料にはなったはずだ。
「29階では出てきませんでしたね。索敵しにくい魔物に紛れて襲ってくるのでしょうか?」
キリエは、俺が攻撃を受けたことでかなりピリピリしているのだ。自分が指揮をしていたときに攻撃を受けたわけで、自分の責任だと思い込んでいる感じだな。
正直、あれは誰が指揮をしていても防げなかった。それは断言する。
俺たちに慢心があったのは確かだ。今までのパターンに当てはめて、25~29階は索敵に引っかからない魔物はいない! と思い込み進んでいたからな。警戒を緩めていたわけでもないのに、不意打ちを食らったのだ。ゴーレムが出てくると、頭になければ防ぎようがなかったのだ。
それに急に岩が動いたことによって、全員が一瞬硬直してしまったために、攻撃は回避できなかったと思う。不測の事態が起きると、体が硬直するといういい例だと思う。
「みなさん、ゴーレムに注意しながら昆虫や爬虫類系の魔物に注意しましょう。特に、毒持ちの魔物が増えていますので、噛みつきもそうですが霧状に散布されていることもあり得ますので、すぐ取り出せる位置に万能薬を。シュウ様はエリクサーを準備しておいてください。行きますよ」
30階を進んでいく。
高価な物資がほぼ無限にある俺たちならではのゴリ押し戦法だ。目に見えない毒をくらうこと前提で解毒用に万能薬を用意している。ある程度の毒であれば無効化できる薬、予防薬みたいなものは無いのかね? 万能薬は物によっては、効果時間があるんだっけ?
魔物の強さは変わっていないが、やはり索敵にかかりにくい魔物が増えている。本当に戦いにくくなっているな。特に嫌らしいと感じるのは、やっぱり蜘蛛かな。粘着性の糸に触れると動きにくくなる。
力で強引に振りほどける程度なのだが、逆を言えば強引に振りほどかないといけないレベルだということだ。引きちぎっても、またどこかにくっつくので蜘蛛の糸というのは面倒だ。
上の階と決定的に違うのは、蜘蛛の糸の耐熱性だ。今までは軽く装備の表面に火魔法をかければ燃えていたのだが、火山エリアに入ったからか糸の耐熱性が上がっていた。軽く火魔法であぶってもダメだったのだ。
それに、全体的に魔物が火魔法に強くなっている。焼き払って進むということが更に面倒になっていた。
耐熱性が上がっているとはいえ、焼き殺すことは可能なのだがゴーレムと同じで、かなり温度をあげないといけないため後始末が大変なのだ。温度の上がった通路を冷やすのは、魔力と時間の無駄。
「いくら格下相手とはいえ、蜘蛛の巣みたいに至る所に糸を飛ばされると、絡まっちまうよな。毎回熱い思いして火で炙るか、装備を外して炙るのは面倒だな。何かいい方法は無い物かね?」
俺が悩んでいるときに、少し離れた位置で、
「イリアちゃん、これちょっと凍らせてもらっていい?」
「蜘蛛の巣を? 分かった。シェリルちゃん、ちょっと離れててね」
そう言って、イリアとシェリルが何かを始めた。
「やっぱりだ! 火の耐性が高くなると、逆の属性に関しては弱くなみたいだね!」
ということだ。蜘蛛の糸を凍らせてから触れるとボロボロと崩れたのが見えたが、イリアが使った魔法って液体窒素ができるレベルの魔法だぞ。そこまで冷やせば、さすがにほとんどの物質は脆く壊れるんじゃないか?
温度調整をして実験してみたところ、シェリルの言っていたことは正しかった。でも、さすがにあのレベルの魔法で、耐性の話をしても意味がないと思うんだよね。
蜘蛛がいれば氷魔法で冷気を使った攻撃をすることで、戦いやすくなった。
どんどんと進んでいき、33階に到着した。
「ゴーレム出てこないね」
「出てきたら、何もさせずに粉々にしてやるのに!」
好戦的なシェリルとネルが、早く出てこい! といった感じで、話をしていた。キリエに注意されるが、とにかくゴーレムは見逃さない気迫だけは凄かった。
もしかして、警戒させるだけ警戒させて出てこないなんてことも……それはそれで罠みたいなものだよな。
そう言われて時間を確認すると、14時を回っていた。
俺たちは、全員で憑依を解いて食事を食べることにした。ドッペルたちには、自分たちで食事をできるように、憑依を解く前に準備した。
意識で体は動かしているのだが、生身の方はベッドの効果で筋肉が衰えないようにするレベルの筋肉の動きなので、食事を食べすぎると太ってしまうことがあるから少し抑えて食べる。その中でも関係なしに食べているのは、シュリだ。呪いに近い英雄症候群だからな、仕方がない。
時間をかけるわけにはいかなかったので、サンドイッチのような軽食を少し多めに食べた感じだ。夕食はみんなガッツリ食べそうだな。
そんなことを考えながらドッペルへ憑依する。
食事は終わった後のようで、みんな歯磨きの最中だった。そういう俺も口に歯ブラシを加えた状態で、ドッペルの意識に乗り込んだようだ。
こっちに来る前にも歯磨きをして、ここでも歯磨きをして、何か不思議に気分だな。
歯磨きが終わると軽く体を動かして、ダンジョンを進んでいく。
やはりゴーレムは出てこない。俺が襲撃を受けて銃に頼ることになったのは、25階の半ば、昼食を食べたのが26階に入った付近、今が29階に下りたばかり。
25階の後半から28階まで、3階半ほどはゴーレムが出てきていない。当初の予想通りに29階で出るのか、30階以降の昆虫や爬虫類系の索敵しにくい相手に紛れて出てくるのか?
俺たちなら不意打ちされても即死級の強い毒でも使わない限り、ここら辺の階では死ぬ方が難しいのが現状だ。だから戻るという選択肢はないが、適正レベルの冒険者たちだったら、普通は戻るだろうな。
攻略した後に適正レベルの冒険者たちでも帰らせない罠が、25階から仕掛けられていることを知る。シュウたちは、最短距離で突き進んでいたため、その罠に引っかからなかったのだ。その罠を見つけたとしてもシュウたちには効果は無かったのだが、ダンジョンについて考察する材料にはなったはずだ。
「29階では出てきませんでしたね。索敵しにくい魔物に紛れて襲ってくるのでしょうか?」
キリエは、俺が攻撃を受けたことでかなりピリピリしているのだ。自分が指揮をしていたときに攻撃を受けたわけで、自分の責任だと思い込んでいる感じだな。
正直、あれは誰が指揮をしていても防げなかった。それは断言する。
俺たちに慢心があったのは確かだ。今までのパターンに当てはめて、25~29階は索敵に引っかからない魔物はいない! と思い込み進んでいたからな。警戒を緩めていたわけでもないのに、不意打ちを食らったのだ。ゴーレムが出てくると、頭になければ防ぎようがなかったのだ。
それに急に岩が動いたことによって、全員が一瞬硬直してしまったために、攻撃は回避できなかったと思う。不測の事態が起きると、体が硬直するといういい例だと思う。
「みなさん、ゴーレムに注意しながら昆虫や爬虫類系の魔物に注意しましょう。特に、毒持ちの魔物が増えていますので、噛みつきもそうですが霧状に散布されていることもあり得ますので、すぐ取り出せる位置に万能薬を。シュウ様はエリクサーを準備しておいてください。行きますよ」
30階を進んでいく。
高価な物資がほぼ無限にある俺たちならではのゴリ押し戦法だ。目に見えない毒をくらうこと前提で解毒用に万能薬を用意している。ある程度の毒であれば無効化できる薬、予防薬みたいなものは無いのかね? 万能薬は物によっては、効果時間があるんだっけ?
魔物の強さは変わっていないが、やはり索敵にかかりにくい魔物が増えている。本当に戦いにくくなっているな。特に嫌らしいと感じるのは、やっぱり蜘蛛かな。粘着性の糸に触れると動きにくくなる。
力で強引に振りほどける程度なのだが、逆を言えば強引に振りほどかないといけないレベルだということだ。引きちぎっても、またどこかにくっつくので蜘蛛の糸というのは面倒だ。
上の階と決定的に違うのは、蜘蛛の糸の耐熱性だ。今までは軽く装備の表面に火魔法をかければ燃えていたのだが、火山エリアに入ったからか糸の耐熱性が上がっていた。軽く火魔法であぶってもダメだったのだ。
それに、全体的に魔物が火魔法に強くなっている。焼き払って進むということが更に面倒になっていた。
耐熱性が上がっているとはいえ、焼き殺すことは可能なのだがゴーレムと同じで、かなり温度をあげないといけないため後始末が大変なのだ。温度の上がった通路を冷やすのは、魔力と時間の無駄。
「いくら格下相手とはいえ、蜘蛛の巣みたいに至る所に糸を飛ばされると、絡まっちまうよな。毎回熱い思いして火で炙るか、装備を外して炙るのは面倒だな。何かいい方法は無い物かね?」
俺が悩んでいるときに、少し離れた位置で、
「イリアちゃん、これちょっと凍らせてもらっていい?」
「蜘蛛の巣を? 分かった。シェリルちゃん、ちょっと離れててね」
そう言って、イリアとシェリルが何かを始めた。
「やっぱりだ! 火の耐性が高くなると、逆の属性に関しては弱くなみたいだね!」
ということだ。蜘蛛の糸を凍らせてから触れるとボロボロと崩れたのが見えたが、イリアが使った魔法って液体窒素ができるレベルの魔法だぞ。そこまで冷やせば、さすがにほとんどの物質は脆く壊れるんじゃないか?
温度調整をして実験してみたところ、シェリルの言っていたことは正しかった。でも、さすがにあのレベルの魔法で、耐性の話をしても意味がないと思うんだよね。
蜘蛛がいれば氷魔法で冷気を使った攻撃をすることで、戦いやすくなった。
どんどんと進んでいき、33階に到着した。
「ゴーレム出てこないね」
「出てきたら、何もさせずに粉々にしてやるのに!」
好戦的なシェリルとネルが、早く出てこい! といった感じで、話をしていた。キリエに注意されるが、とにかくゴーレムは見逃さない気迫だけは凄かった。
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