ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,699 / 2,518

第1699話 何やってんの?

しおりを挟む
 そういえば、俺が寝込んでいる間に先日の戦争で、国を離脱してきた冒険者ギルドの関係者たちの一部が、ゴーストタウンに到着していた。戦争が終わって一番初めに戦後処理をした国の一団だったようで、事後処理は継続しているし、まだまだ各街を目指して移動している人たちがたくさんいるようだ。

 執務室で報告書を読んで知った。

 緊急性のない報告書だったので後回しになっており、のんびりときに確認した報告書だ。

 ふんふん、俺が頷きながら報告書を読んでいると、俺の視界の隅で動く何かが見える。何かって知ってるんだけどね。俺の膝の上にシンラが乗っており、俺の真似をして頷いているのだ。お前さんよ、俺の真似をして面白いのか?

 そこそこ来ているシンラだが、俺が復活してから庁舎にきはじめて3日、シンラは毎日俺についてきたのだ。初めの1日はプラムたちもいたが、面白くないことを悟った2人は次の日から来なくなった。

 今のとこ皆勤賞のシンラも膝の上にいるのは初めの20分位だ。プラムたちがいない開放感のためか、ソファーの上で大の字で寝るんだよな。あまりにも気持ちよさそうに寝ているので、いたずらをしてやろうかと思うくらいだ。プラムたちでも連れて……

 おや? シンラが目を覚まして周りをキョロキョロ見ている。何かあったのか? 今日一緒に来ているリリーが心配そうな顔をして近くに寄っていくが、何やら安心したのか、またすぐに夢の世界へ旅立った。

 子どもって本当に気持ちよさそうに寝るよな、本当にプラムたちを……

 また目を覚ましたぞ? シンラ大丈夫か?

 キョロキョロ見回して首をかしげている。お前大丈夫か? 何か俺の方を見ているな……どうしたどうした?

 首をかしげて眠りにつこうとしたので、本気でプラムたちを連れて来てやろうかとまた思ったら、こっちを見て何やら威嚇してきた。

 もしかして、俺がプラムたちを連れてくるみたいなことを考えたからか?

 おいおい、危ないから1人でソファーから降りるな! 床に降りると、すごい勢いで俺の方へハイハイをしてきて、いつものように頭突きをしてくる。

 こいつ頭突きした後に泣くのに、この攻撃を止めないんだよな。で、1回避けた事があるんだが、他の所に頭をぶつけて、ガン泣きされたんだよね。もうね、どうしろって言うんだか。

 捕まえても手足をばたつかせて攻撃してくるし、俺の膝を独占して満足そうにしているかと思えば、やけに攻撃的になる事もあるし、お前のことが良く分からん。

 また泣き出してしまった。リリー、迷惑かけるけどよろしく頼む。

 そういえば、シンラだけじゃなくプラムたちもそうなんだけど、自分を産んでない母親たちの事をどう認識しているのだろうか? ミーシャたちは全員をお母さんって呼んでいるけど、こいつはどうなんだ?

 リリーに抱っこをしてもらってしがみついているシンラは、すぐに泣き止み笑顔になっている。ただの女好き……だったりはしないよな? 俺のそんな血は、受け継がなくていいからな!

 色々あったが今日の仕事は終了だ。帰るのにシンラをダマの上に乗せてやろうかと思ったのだが、肩車をしてほしいようで俺の頭の方を指さしてきた。

 乗せるのは良いけど、髪の毛は引っ張るなよ? あれって結構いたいんだよな。体が強くなっても、あまり痛みが変わらない、数少ない攻撃方法なんだよな。

 ちなみに、俺のすねは木刀で叩かれても全く平気だぜ。へし折るくらい強く叩いても木刀なら大した痛みはない。格闘家の人ですねを鍛えてみたいな人はいるが、俺は純粋なステータスの力によって痛みがほとんどないだけなんだがな。

 そんな俺でも髪の毛を掴まれて引っ張られると、それなりに痛みを感じるんだよな。

 おいっ! シンラ! 髪の毛は引っ張るなっての! この年の子に言っても理解なんてしてもらえないよな。怒った所で理解もできないから、また引っ張るだろうし……もう少し大きくなるまでは我慢かな。

 家に帰ると玄関で待っていたのは、プラムとシオンだ。しかもなんかジト目になってこっちを見ている。

 俺はそっと肩車をしているシンラを下ろして離れると、シンラがこっちをバッと振り向き、信じられない! みたいな顔をしていた。が、さっと玄関から出て扉を閉める。

「よし、今日は裏から戻るか」

 何もなかったことにして、ダマたちと裏へ向かった。その最中に妻たちの笑い声が聞こえてきたので、シンラとプラムたちが追いかけっこでも始めたのだろう。平和だな。

 食堂で食事を待っていたら、シンラたちが追いかけっこをしながら入ってきた。もう20分は経っているのに、良く逃げてるな。

 ボーっと食事を待っていたら、いってぇ! 何が起きたか分からずに膝を持ち上げてしまい、机に膝蹴りをして、壊してしまった。

 俺はシルキーに正座をさせられている。すねを叩かれても大した痛みを感じなかったのに、すねに急に痛みを感じて膝を上げてしまったのだ。

 混乱しているが、シルキーたちがガチギレしているので、とにかく謝るしかなかった。

 チラッと視線を動かした先にシンラがいて、指に何かを挟んでいた……毛だな。しかもちょっとニヤッとしている。

 まさか、俺のすね毛を抜いたのか? ピンポイントでそこまで濃くない俺のすね毛を?

 と思ったら、椅子に座っているシンラの下から触手が伸びてきて、シンラに渡していた。そこにはニコがいたのだ。お前がやったんだな、従魔が子どもたちの味方だということをすっかり忘れていた。シンラがニコに何か言ったんだろうな。

 俺たちが理解できなくても、ニコは何故か理解出来たりするんだよな。

 意識がそちらに向いていたら、スカーレットにめっちゃ怒られた、足が痺れてきました。そろそろ勘弁してもらえませんかね?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...