ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1684話 気が早いんじゃないの?

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 ホモークとホモゴブリンたちがゲートから現れ、妻たちの話を聞くと……尻の穴がキュッと締まる程の寒気がした。慌ててお尻を押さえた俺はきっとおかしくない! その証拠に俺と同じような態勢の冒険者が、そこら中にいるからな! こっちみんな!

 ダブルの冒険者チームに俺たちの作戦を知らせると、女性陣から喜びの声が。どうやら、この冒険者たちはゴーストタウン所属の冒険者になりたいらしく、バレルで1年働けば所属になれるとの事でバレルにいたらしい。

 所属っていうけど、ゴーストタウンに住めば所属じゃないのか? とか思ったが、シングル以上だと許可が必要になってくるらしい。初めて知ったわ!

 よくわかった。けどさ、ホモークの数がめっちゃ増えてるんだけど、何で?

 俺が知っているのは3匹+αだったのだが、ここに現れたのは50匹近くいるぞ。しかもオークとは似ても似つかない、引き締まった体をしている。例えるならオークは相撲取りのような体系で、ホモークはボディービルダーみたいな体系だ。

 オークもただのデブではなく、相撲取りのように筋肉の上に脂肪がついているタイプだ。

 ホモゴブリンは、ゴブリンに筋肉がついたような体系だ。マッチョ系が多いのは何か理由があるんかな?

 オリバーが指揮をとるようだ。多分だが、新しくこの集団に所属した奴らが、俺や男性冒険者たちに欲望に満ちた視線を向けたのだろう。オリバーに拳骨をくらっている。

 忘れている人もいるかもしれないけど、オリバーとはゴーストタウンで正義の断罪者として、男性性犯罪者たちに怖れられているホモークエンペラーだ。

 っと、誰に説明しているんだ。オリバーだけでなくジャックとオスカーも来ており、ホモークインペリアルガードの2人が今回部隊を率いるそうだ。じゃあ、ホモークエンペラーのオリバーは? と思ったら、皇帝らしく自由に振る舞うらしい。

 いわゆる、遊撃だな。だけど俺は知っている。あの顔はそれだけじゃない事を……あれは、獲物を定める獣の目をしている。ジャックとオスカーに程ほどにしておけよ! と言われ、指を1本立てていた。これは俺にもよくわからない合図だ。

 というかさ、普通ならエンペラーを守るのが、インペリアルガードじゃないのか? 単独行動を許すっておかしくないか?

 こいつのLvを考えれば杞憂なのだが、俺は単独行動をすれば怒られるのに、オリバーはなんで自由に振る舞えるんだ? ズルいじゃないか!

『主殿、オリバーのエンペラーは種族であって、称号ではないのですよ。魔物の種族は、そのまま強さを表す指標でもあるんです。オリバーと違って主殿は本物の王なのですから、仕方がないですよ』

 おい、ダマよ。俺の心の声を読むんじゃない! でも強さだけで言えば、オリバーよりは強いんだぞ! 俺に勝てるのは、リバイアサンの2匹と、戦う姿は見た事ないが世界樹、ユグドラシル位だろう。

『そういうことではないです。そんな事を考えていると、奥方に報告しますよ』

 おっと、今でも結構際どいのにこれ以上行動制限がかかると、息が詰まってしまいそうなのでそれは勘弁してくれ。

 ダマと無言のやり取りをしていると、オリバーからお願いがあった。

 内容は、捕えた者たちを入れておく壁を作ってほしいとの事だ。逃げられないような壁があれば、後は自分たちで整えるので問題ないとの事だ。何をするつもりだ?

 捕らえた人間を入れておけるようにってことは、最大で15000人程が入るってことか? けが人も込みでの話にはなるけど、そこらへんどうなの?

 あ~、少ないよりは多いキャパの方がいいのね。分かったよ。余裕があるように大きめに作っておくよ。それに逃げられないように、綾乃に頼んで壁の上に待機する人造ゴーレムを呼び寄せておくよ。

 壁を作らずに掘り下げる形で、作る事にした。壁に見張りをおくことを考えると、そこそこ幅が無いといけないし、あまり薄いと高レベルの騎士たちであれば殴って壊せるので、分厚く作る必要が出てくるのだ。そう考えると、掘り下げた方が強度を気にしないで済むのだ。

 掘られる危険性はあるが、そうなれば音でわかるし、マップ先生でも監視できるから問題ないよな。

 俺たちが作業を始めると、ダマから

『冒険者たちが何やら宣言をして、オリバーたちが戦争に介入したようです』

 あれ? 俺も冒険者ギルドの強制依頼で、戦争に介入しなきゃいけないはずだったのになんでだ?

『えっと、伝言がありまして、主殿は自分に代わって戦力を派遣したので、強制依頼の遂行を行っていることになる、との事でした』

 あ~強制依頼でも自分で戦う必要はないのか? 戦力を準備できれば自分である必要はないと。

 よくわからんルールだが、前線に出ないといいとわかったら少し安心した。戦うのが怖いとかそういうわけじゃないぞ! 今回呼び出した、ガチムチ系魔物たちのせいか、なんか寒気がするんだよ。悪寒と言ってもいいほどの寒気がな!

 戦場に立つと昂るのが人間じゃん? それと同じことが魔物にも、起こらないとは限らないだろ? そう考えるとさ、同じ戦場に立ってるだけでブルブル震えるほどの寒気がしそうでさ。正直助かった気分だよ。

 おっと、そんなことを考えている間に、一陣が来たようだ。ホモークたちは1匹で3~4人の兵士たちを抱えている。ホモゴブリンは、1匹で1~2人の兵士を運んでいるようだな。

 一陣で捕えた兵士は、350人程だな。その内10人程がすでに尻を押さえて、半分気絶しているような顔をしている。350人の中に犯罪の称号が付いてたのは、尻を押さえていた10人と100人程についているな。大体3分の1か。

 あれ? 全員が入れる。15000人のキャパは必要ないんじゃないか? とオリバーに尋ねたら、違法奴隷と知っていたが、見て見ぬふりをしていたのであれば、同罪との事だ。そうですか、お好きにどうぞ。それとさ、尻を押さえている10人の内4人がお前の抱えている奴らなんだが、何か言う事は?

 前菜が美味しかったですか、お粗末様でした。って、違うはボケ! この短い時間で4人の相手をしたことも驚愕だが、それ以上に戦場でそういうことするなよ! 敵の兵士たちなら士気が下がるから有効かもしれないけど、こっちの冒険者たちに精神的ダメージを与えるんじゃないか?

 えっ? ゴーストタウンでは一般的だから、もう慣れたって? それはそれでどうなんだ?

 分かった分かった。お前たちの希望通りのキャパで作っておくから、頑張ってくれ。後、そこのホモゴブリンたち、怪我しているみたいだから、治療を受けてから戦場に戻るように!

 治療師には男はいないからってガッカリするな! どうしても男がいいなら、昨日捕まえた嘘つきの3人なら、いくら使ってもいいぞ。

 そういうと、怪我をしていた細マッチョなゴブリンたちが駆けていった。あいつらのヤル気がこっちに向かないなら、どうでもいいか。

 そこらへんは、オリバーにきつく言っておいてもらおう。もし違えるなら、お前の手で殺すように厳命しておく。どうも、新人たちはその辺の管理が甘そうで怖いんだよな。ジャックとオスカーも頼むぞ! 正義の断罪者が悪に落ちるなんてあってはならぬのだ!

 自分の身を守るために、スライムたちに近くにいてもらうことにした。こいつら、寝なくても問題ないから、身辺警護という意味では最強なんだよな。どこにでもいられるしな。

 さっさと仕事をしてしまおう。
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