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第1680話 胸糞悪い事実
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自分の役割を終えた俺は、弓を放った地面より5メートル程高い所から、戦争の動きを見守っていた。
気付いたのは偶然だった。
帝国の騎士たちが敵軍を怒涛の勢いで攻撃しているのに、敵の戦意が落ちることもなく攻撃を仕掛けてくることに、疑問を思っていた時だった。
ふと、倒されて敵の兵士が後方に連れていかれるのを見ていた。戦場の後方まで連れていかれるのは不思議な事では無いが、戻ってくる兵士の数に違和感があったのだ。
負傷した兵士は丘の向こう側に連れていかれるため、何が行われているかは分からないが、なんとなくおかしい、マップ先生で確認すると、野戦病院みたいになっているが、負傷兵の数が明らかに少ない。
別に死んでいるわけでは無い。全体の数はさほど変わっていないのだ。
しばらくマップ先生を見ながら考える。丘の上が見えるくらい高い櫓に作り変えてもいいのだが、いきなり作ると明らかにおかしいよな。
ただ向こうの様子を知りたいだけだ。なら、見に行ける人間に見て来てもらえばいいよな。俺たちに報告へ来た帝国の騎士にお願いして、野戦病院と思われる場所を偵察してきてもらう。
10分後。
どうやら野戦病院には、回復魔法が使える人間がいるようだ。空から見たのになんでわかるかと思ったら、野戦病院の外で治療できる人とできない人の区別をしており、その場で治療してたらしい。
んなバカな! とか思ったが、くだらない理由で戦争を始めたのだから、それもあり得るのだろう。マップ先生で確認すると、回復魔法が使える人間は野戦病院の外にいて、野戦病院の中には魔法を使わない治療をする人間、医者のような人がいるみたいだな。
さて、どうしたものか? 予想以上に回復魔法の使える人間が多く、戦線が均衡している状態だ。帝国の騎士にはリーダーへ状況を説明するように伝えた。
そうすると、予想外の返答が帰ってきた。
本来、野戦病院は攻撃しないのがマナーではあるが、治療した敵が戻ってくるのであれば、その野戦病院は後方支援ではなく前線とみなしたようで、魔法で回復に当たっている人間を襲撃するとの事だ。
俺たちは、戦列に回復魔法師を組み込んでその場で治療して、対応できないのなら後方へという風に、この世界のルールにのっとっているので、相手を攻めることに問題はないのだとか。
夜になって戦争が終わった後に後方で魔法を受けて、次の日に復帰するのは問題ないらしい……よくわからんルールだと思いながら、帝国騎士たちの様子を見守る。
どうやら、襲うと言っても殺すとかではなく、攫ってくるかたちだった。それがいいのか悪いのかは、よくわからないが閉じ込めるための牢を用意しておく必要があるな。
土木組に連絡を取り、野営地の近くに人を収容できる施設を作るようにお願いする。
しばらくすると、土木組から連絡が入る。どうやら、地上に作るより地下に作ったほうが楽なので、先日呪いの治療のために作った空間を少し広げてもらえないかというお願いが入った。
一応、排水に関してしっかりと作っているので、少し手を加えれば衛生の問題も大丈夫だろうと、レイリーも判断している。
ダンジョンの拡張だけは行い、後はすべてを任せることにした。
牢が完成すると、捕らえられた回復魔法師たちが連れていかれる、ちょっと待て!
「ストップ。その回復魔法師たちの上着を脱がせろ! 急にどうしたとかじゃない! 早くしろ! 確認したい事がある」
俺は回復魔法師たちの統一された装備に違和感を覚えていたのだが、その違和感に今気付いたのだ。後方で回復魔法を使っているだけなのに、首回りにまできっちりと守られた上着を着ていたのだ。どう考えても動きにくいレベルの上着だ。
そして、こちらの尋問に対して誰一人として応える様子がない。
となると、可能性の1つとしてあげられるのは、奴隷だ。
奴隷自体が戦争で使いつぶされることがある、この世界では珍しい事では無い。だけど、これだけの数の回復魔法師が都合よく、奴隷として存在しているわけがない。となれば、国が強制的に奴隷に落とし、この戦場に連れてきた可能性だろう。
牢へ連れていこうとしていた冒険者たちが、俺の指示に従って上着を脱がそうとすると、今まで反応の乏しかった回復魔法師たちが全力で抵抗してきた。
個々ではうちの冒険者たちの方が強いので、上着を脱がされていく。
「やっぱり、奴隷の首輪か。問題は、この人が本当に奴隷になる理由があったかだな。そのまま、動きを止めておいてくれ」
奴隷の首輪によって強制的に命令されているのか、見られた後も力の限り抵抗を続けている。
「所々、改良した形跡があるけど、オリジナルの奴隷の首輪と大して変わらなそうだな。これなら、解除コードを打ち込めば解けるか?」
前にツィード君に教えてもらった、奴隷の首輪の解除方法を試してみる。
「やっぱり無理か。改良した時にその部分も少しいじったのかもしれないな。ツィード君がいれば解析してもらえるだろうけど、俺だとこれの解析はさすがにできないな。となれば、もう1つの解除方法を試すか」
魔導具は必ず壊れる。クリエイトゴーレムを使って自動修復機能があっても、魔道具が壊れることはある。どういう理由で壊れるかと言えば、魔力の過剰供給だ。
通常の魔導具でも、クリエイトゴーレムを使った魔導具でも、魔力を使っているのには変わりがない。魔力の通り道や機能を発動する機関部などが壊れることによって、使い物にならなくなるのだ。
なら奴隷の首輪をつけられている人間も解除できるのでは? と思うが、この過剰供給を行うための魔力を持っている人はそう多くない。それに奴隷の首輪の機能で、着けられると過剰供給することができないのだ。なのに、解除コードみたいなものがあるんだから、作った奴はよく考えたよな。
っと、過剰供給できる人間は多くないのだが、その多くない人間がここには多くいる、という矛盾。
土木組にも協力してもらい、連れてこられた50人程の回復魔法師たちの奴隷の首輪を外していく。
解放された回復魔法師たちは、全員が全員涙を流して喜んでいる。
気付いたのは偶然だった。
帝国の騎士たちが敵軍を怒涛の勢いで攻撃しているのに、敵の戦意が落ちることもなく攻撃を仕掛けてくることに、疑問を思っていた時だった。
ふと、倒されて敵の兵士が後方に連れていかれるのを見ていた。戦場の後方まで連れていかれるのは不思議な事では無いが、戻ってくる兵士の数に違和感があったのだ。
負傷した兵士は丘の向こう側に連れていかれるため、何が行われているかは分からないが、なんとなくおかしい、マップ先生で確認すると、野戦病院みたいになっているが、負傷兵の数が明らかに少ない。
別に死んでいるわけでは無い。全体の数はさほど変わっていないのだ。
しばらくマップ先生を見ながら考える。丘の上が見えるくらい高い櫓に作り変えてもいいのだが、いきなり作ると明らかにおかしいよな。
ただ向こうの様子を知りたいだけだ。なら、見に行ける人間に見て来てもらえばいいよな。俺たちに報告へ来た帝国の騎士にお願いして、野戦病院と思われる場所を偵察してきてもらう。
10分後。
どうやら野戦病院には、回復魔法が使える人間がいるようだ。空から見たのになんでわかるかと思ったら、野戦病院の外で治療できる人とできない人の区別をしており、その場で治療してたらしい。
んなバカな! とか思ったが、くだらない理由で戦争を始めたのだから、それもあり得るのだろう。マップ先生で確認すると、回復魔法が使える人間は野戦病院の外にいて、野戦病院の中には魔法を使わない治療をする人間、医者のような人がいるみたいだな。
さて、どうしたものか? 予想以上に回復魔法の使える人間が多く、戦線が均衡している状態だ。帝国の騎士にはリーダーへ状況を説明するように伝えた。
そうすると、予想外の返答が帰ってきた。
本来、野戦病院は攻撃しないのがマナーではあるが、治療した敵が戻ってくるのであれば、その野戦病院は後方支援ではなく前線とみなしたようで、魔法で回復に当たっている人間を襲撃するとの事だ。
俺たちは、戦列に回復魔法師を組み込んでその場で治療して、対応できないのなら後方へという風に、この世界のルールにのっとっているので、相手を攻めることに問題はないのだとか。
夜になって戦争が終わった後に後方で魔法を受けて、次の日に復帰するのは問題ないらしい……よくわからんルールだと思いながら、帝国騎士たちの様子を見守る。
どうやら、襲うと言っても殺すとかではなく、攫ってくるかたちだった。それがいいのか悪いのかは、よくわからないが閉じ込めるための牢を用意しておく必要があるな。
土木組に連絡を取り、野営地の近くに人を収容できる施設を作るようにお願いする。
しばらくすると、土木組から連絡が入る。どうやら、地上に作るより地下に作ったほうが楽なので、先日呪いの治療のために作った空間を少し広げてもらえないかというお願いが入った。
一応、排水に関してしっかりと作っているので、少し手を加えれば衛生の問題も大丈夫だろうと、レイリーも判断している。
ダンジョンの拡張だけは行い、後はすべてを任せることにした。
牢が完成すると、捕らえられた回復魔法師たちが連れていかれる、ちょっと待て!
「ストップ。その回復魔法師たちの上着を脱がせろ! 急にどうしたとかじゃない! 早くしろ! 確認したい事がある」
俺は回復魔法師たちの統一された装備に違和感を覚えていたのだが、その違和感に今気付いたのだ。後方で回復魔法を使っているだけなのに、首回りにまできっちりと守られた上着を着ていたのだ。どう考えても動きにくいレベルの上着だ。
そして、こちらの尋問に対して誰一人として応える様子がない。
となると、可能性の1つとしてあげられるのは、奴隷だ。
奴隷自体が戦争で使いつぶされることがある、この世界では珍しい事では無い。だけど、これだけの数の回復魔法師が都合よく、奴隷として存在しているわけがない。となれば、国が強制的に奴隷に落とし、この戦場に連れてきた可能性だろう。
牢へ連れていこうとしていた冒険者たちが、俺の指示に従って上着を脱がそうとすると、今まで反応の乏しかった回復魔法師たちが全力で抵抗してきた。
個々ではうちの冒険者たちの方が強いので、上着を脱がされていく。
「やっぱり、奴隷の首輪か。問題は、この人が本当に奴隷になる理由があったかだな。そのまま、動きを止めておいてくれ」
奴隷の首輪によって強制的に命令されているのか、見られた後も力の限り抵抗を続けている。
「所々、改良した形跡があるけど、オリジナルの奴隷の首輪と大して変わらなそうだな。これなら、解除コードを打ち込めば解けるか?」
前にツィード君に教えてもらった、奴隷の首輪の解除方法を試してみる。
「やっぱり無理か。改良した時にその部分も少しいじったのかもしれないな。ツィード君がいれば解析してもらえるだろうけど、俺だとこれの解析はさすがにできないな。となれば、もう1つの解除方法を試すか」
魔導具は必ず壊れる。クリエイトゴーレムを使って自動修復機能があっても、魔道具が壊れることはある。どういう理由で壊れるかと言えば、魔力の過剰供給だ。
通常の魔導具でも、クリエイトゴーレムを使った魔導具でも、魔力を使っているのには変わりがない。魔力の通り道や機能を発動する機関部などが壊れることによって、使い物にならなくなるのだ。
なら奴隷の首輪をつけられている人間も解除できるのでは? と思うが、この過剰供給を行うための魔力を持っている人はそう多くない。それに奴隷の首輪の機能で、着けられると過剰供給することができないのだ。なのに、解除コードみたいなものがあるんだから、作った奴はよく考えたよな。
っと、過剰供給できる人間は多くないのだが、その多くない人間がここには多くいる、という矛盾。
土木組にも協力してもらい、連れてこられた50人程の回復魔法師たちの奴隷の首輪を外していく。
解放された回復魔法師たちは、全員が全員涙を流して喜んでいる。
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