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第1671話 決戦前夜
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道中何もなく、戦争を行うという場所に到着した。
マップ先生のおかげで何処に敵軍がいるのかわかるので、のんびりと準備ができる。敵軍からは直視できないが、偵察に来ればすぐに見つけられる位置にいる。
戦争に参加すると言っているので、来ないという選択肢はないと考えているだろうが、明日には戦争が始まるのにまだ敵軍が見つけられていないので、敵軍の指揮官はやきもきしているだろうな。
俺たちは問題なく野営地設営が終わっている。そういえば、AかBプランだけだと思っていたら、敵が目の前にいるのに防御陣を築かないのはあり得ない、とレイリーが言い土木組が同調したため、野営地の周りには罠が敷き詰められている。
そんな事をすれば俺たちが出ていけないのではないかと思ったが、逃げる地下通路を作っているので問題はなかった。攻める時は途中まで作ってある地下通路を完成させて、軍を配置する形になる。
気になるのは、今回は兵士ではなく冒険者たちしかいないのだが、大丈夫なのだろうか?
「シュウ様、気にしすぎです。今回戦争に参加する500人程ですが、集団戦がしっかりとできるメンバーを選んでいます。それに、パーティー単位で格上に時間稼ぎができる者達を選んでいます。格上の人間が敵軍にいないのは確認できていますので、問題ないと思います。もし、隠れた実力者がいれば潜ませている暗部が対応します」
おっと、暗部の鬼人たちが来てるのか。それなら多少の強者であれば、一瞬で終わるな。出来る限り死者は出さないように戦う指示が出ているが、イレギュラーがこちらの冒険者を殺す可能性があるなら、その前に死んでもらう必要があると、レイリーは判断している。
俺も、おおむね同じ意見である。こちらの人員が死ぬくらいなら、相手を殺すのをためらう理由はない。
それに、レイリーのことを言えない。俺もイレギュラーの存在を心配している。イレギュラーと言っても、マップ先生の索敵を逃れられるあの不思議な装備のみを心配している。今ならあの程度のレベルの奴隷兵なら、1対3でも問題なく勝てるからな。手段を選ばないのであれば、もっと倒せると思う。
前に出る事は禁止されているので、俺が使うのは弓なんだけどね。普通なら誤射が怖いのだが、矢に風魔法を使って誘導する、ガイドアローとよんでいる魔法スキル? とでも呼ぶ技術があるので、後方からでも安心して狙撃ができる。
ちなみにガイドアローは、妻たちが漫画だかアニメを参考に魔法を使って、再現したものを教えてもらっている。
もともと銃に使われている技術の応用発展型なので、妻たちも簡単にものにできたと言っていたっけな。ピースに使われているのは、弾の周りを真空状態にして空気抵抗をなくし、重力に拮抗するように上向きに上がるような風魔法が付与されている。
ガイドアローは銃に比べて射程は落ちるが、風の道を作ってそこに矢を放つ形なので、途中で多少の矢のコースを変えることも可能である。あまりに激しい軌道だと、矢が風の道を流れずにコースアウトしてしまうので、注意が必要だ。
おっと、色々確認している間に帝国側の戦力のインペリアルガードが到着した。
インペリアルガードって、近衛兵みたいなもんだろ? なのに、皇帝から離れて戦争に参加するって言うのもおかしな話だよな……とか、心の中で思っていた。
シュウは忘れていたが、基本的に一番強い人間が皇帝になるのが帝国である。インペリアルガードは、騎士団内の序列が上位の者が任命されるため、近衛兵というよりは精鋭部隊というのが正しい。
皇帝になる一番強い、というのは単純な戦力だけでなく、今は内政面なども含まれる。今代の皇帝は、力も知略もかなり上位の人間である。インペリアルガードとは別に、護衛を専門とする部隊を作って守らせているのだとか。俺に襲われ代替わりした後に……
今回は、同盟という形で参戦するため、三つ巴のような形での戦争となる。俺が初めて参加したのも、同盟は無かったけどこんな形だったな。
手持ち無沙汰だった土木組が、簡単に野営地の設営ができるように帝国の整地も済ませていたため、かなりお礼を言われた。場所を移動した際に、食料の受け渡しも行っている。100人分くらいなら追加で作ってもらっても、ブラウニーたちからすれば大した手間ではないのだが、そこまでやる必要はないので各々で料理を作ることになった。
騎獣たちの食事も準備しないといけないからな。もしブラウニーたちの食事を食べたら、普段の食事を食べなくなるかもしれないしな。
そういえば、戦闘時の連携はどうするのか聞いてなかったな。なので、レイリーと向こうのリーダーとの話し合いに傍聴者として参加している。
帝国の人間からは、劇物みたいな扱い。取扱注意みたいなので、すぐに許可が下りた。俺はそこまで暴れたつもりはないんだけどな。
その話し合いの中で決まったのは、インペリアルガードが最前線にでて防御を中心に行い、冒険者たちの連携で排除していってもらいたいとの事だった。そのために、インペリアルガードの中で防御の強いメンバーが、100人選ばれてきたのだとか。
その話を聞いたレイリーは、冒険者を集めてタンクの役割をインペリアルガードがしてくれるので、魔物を狩る要領で倒しやすい敵から倒していくように指示が出される。インペリアルガードから指示があった場合は、可能な限り従うようにと。
こちらのイレギュラー排除の人員がいる事はかくしている。
さて、さっさと食事を食べて今日は寝るかな。
マップ先生のおかげで何処に敵軍がいるのかわかるので、のんびりと準備ができる。敵軍からは直視できないが、偵察に来ればすぐに見つけられる位置にいる。
戦争に参加すると言っているので、来ないという選択肢はないと考えているだろうが、明日には戦争が始まるのにまだ敵軍が見つけられていないので、敵軍の指揮官はやきもきしているだろうな。
俺たちは問題なく野営地設営が終わっている。そういえば、AかBプランだけだと思っていたら、敵が目の前にいるのに防御陣を築かないのはあり得ない、とレイリーが言い土木組が同調したため、野営地の周りには罠が敷き詰められている。
そんな事をすれば俺たちが出ていけないのではないかと思ったが、逃げる地下通路を作っているので問題はなかった。攻める時は途中まで作ってある地下通路を完成させて、軍を配置する形になる。
気になるのは、今回は兵士ではなく冒険者たちしかいないのだが、大丈夫なのだろうか?
「シュウ様、気にしすぎです。今回戦争に参加する500人程ですが、集団戦がしっかりとできるメンバーを選んでいます。それに、パーティー単位で格上に時間稼ぎができる者達を選んでいます。格上の人間が敵軍にいないのは確認できていますので、問題ないと思います。もし、隠れた実力者がいれば潜ませている暗部が対応します」
おっと、暗部の鬼人たちが来てるのか。それなら多少の強者であれば、一瞬で終わるな。出来る限り死者は出さないように戦う指示が出ているが、イレギュラーがこちらの冒険者を殺す可能性があるなら、その前に死んでもらう必要があると、レイリーは判断している。
俺も、おおむね同じ意見である。こちらの人員が死ぬくらいなら、相手を殺すのをためらう理由はない。
それに、レイリーのことを言えない。俺もイレギュラーの存在を心配している。イレギュラーと言っても、マップ先生の索敵を逃れられるあの不思議な装備のみを心配している。今ならあの程度のレベルの奴隷兵なら、1対3でも問題なく勝てるからな。手段を選ばないのであれば、もっと倒せると思う。
前に出る事は禁止されているので、俺が使うのは弓なんだけどね。普通なら誤射が怖いのだが、矢に風魔法を使って誘導する、ガイドアローとよんでいる魔法スキル? とでも呼ぶ技術があるので、後方からでも安心して狙撃ができる。
ちなみにガイドアローは、妻たちが漫画だかアニメを参考に魔法を使って、再現したものを教えてもらっている。
もともと銃に使われている技術の応用発展型なので、妻たちも簡単にものにできたと言っていたっけな。ピースに使われているのは、弾の周りを真空状態にして空気抵抗をなくし、重力に拮抗するように上向きに上がるような風魔法が付与されている。
ガイドアローは銃に比べて射程は落ちるが、風の道を作ってそこに矢を放つ形なので、途中で多少の矢のコースを変えることも可能である。あまりに激しい軌道だと、矢が風の道を流れずにコースアウトしてしまうので、注意が必要だ。
おっと、色々確認している間に帝国側の戦力のインペリアルガードが到着した。
インペリアルガードって、近衛兵みたいなもんだろ? なのに、皇帝から離れて戦争に参加するって言うのもおかしな話だよな……とか、心の中で思っていた。
シュウは忘れていたが、基本的に一番強い人間が皇帝になるのが帝国である。インペリアルガードは、騎士団内の序列が上位の者が任命されるため、近衛兵というよりは精鋭部隊というのが正しい。
皇帝になる一番強い、というのは単純な戦力だけでなく、今は内政面なども含まれる。今代の皇帝は、力も知略もかなり上位の人間である。インペリアルガードとは別に、護衛を専門とする部隊を作って守らせているのだとか。俺に襲われ代替わりした後に……
今回は、同盟という形で参戦するため、三つ巴のような形での戦争となる。俺が初めて参加したのも、同盟は無かったけどこんな形だったな。
手持ち無沙汰だった土木組が、簡単に野営地の設営ができるように帝国の整地も済ませていたため、かなりお礼を言われた。場所を移動した際に、食料の受け渡しも行っている。100人分くらいなら追加で作ってもらっても、ブラウニーたちからすれば大した手間ではないのだが、そこまでやる必要はないので各々で料理を作ることになった。
騎獣たちの食事も準備しないといけないからな。もしブラウニーたちの食事を食べたら、普段の食事を食べなくなるかもしれないしな。
そういえば、戦闘時の連携はどうするのか聞いてなかったな。なので、レイリーと向こうのリーダーとの話し合いに傍聴者として参加している。
帝国の人間からは、劇物みたいな扱い。取扱注意みたいなので、すぐに許可が下りた。俺はそこまで暴れたつもりはないんだけどな。
その話し合いの中で決まったのは、インペリアルガードが最前線にでて防御を中心に行い、冒険者たちの連携で排除していってもらいたいとの事だった。そのために、インペリアルガードの中で防御の強いメンバーが、100人選ばれてきたのだとか。
その話を聞いたレイリーは、冒険者を集めてタンクの役割をインペリアルガードがしてくれるので、魔物を狩る要領で倒しやすい敵から倒していくように指示が出される。インペリアルガードから指示があった場合は、可能な限り従うようにと。
こちらのイレギュラー排除の人員がいる事はかくしている。
さて、さっさと食事を食べて今日は寝るかな。
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