ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1646話 実食!

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 ニコをポンポン投げて遊んでいると、ウルたちが夕食だと呼びに来てくれた。

 ウルは俺の横を歩いているが、ミーシャ・スミレ・ブルムは3人で追いかけっこでもしているかのように、俺たちの周りをクルクル回っている。

 シルキーたちに回収された世界樹の実は、どんな調理になって出てくるのだろうか。俺は味見すらしていないので、何に使われるかの予想もできない。ただ木の実ということなので、スイーツとかデザートってことくらいしか思い浮かばないな。

 俺の指定席に座って食事を待っている。

 運ばれてきたのは、ニオイで分かっていた。今日はカレーだ。だけどカレーライスではなく、チキンカレーが器に入れられており、カレーと一緒にナンが運ばれてきた。ナンは2種類用意されており、スタンダードなナンとチーズ入りのナンが準備されていた。

 個人的な好みは、1枚目は濃厚なチーズの入ったナンを食べ、2枚目はスタンダードなナンを食べるという形だ。チキンカレーのサイドメニューとして、チキンティッカやタンドリーチキンが鎮座している。鳥好きだけど、ここまで鳥尽くしだと笑いが出るな。

 しかも、サラダとして準備されていたのが、キャベツの千切りにニンジンや紫キャベツなどの彩に加えて、蒸し鶏がサラダの上に! かかってるドレッシングが俺の好きな、ネパールのニンジンドレッシングなので、サラダもお替りしてしまった。

 そして、待ちに待った世界樹の実が運ばれてきた。

 ……ん? 何かに加工されて出てくるのかと思ったら、フルーツポンチみたいな感じで出て来た。ん~どれが世界樹の実なんだろうか?

 まぁ、フルーツポンチも嫌いじゃないし、娘たちが好きなので良く出るデザートの1つだ。

 一口食べてビビった。いつもと違う旨味が口の中に広がったのだ。今まで食べたことのない美味しさだったので、言葉に表現できないが……

 いつも入っている果物と同じ素材のはずなのに、いつもの二回りくらい美味しく感じる。フルーツポンチのスープの中に、世界樹の実が溶かされているのだろうか?

 それにしても、美味いな。味わいながら食べていると、いつもと違う果物が口に入ってきた。

 あれ? 俺今口に入れたのって、マスカットじゃなかったか? 少なくとも見た目は……

 まず食感が違うな。今俺が食べたのは弾力があり噛み応えがあったのだ。例えがあっているか分からないが、ナタデココみたいなしっかりとした噛み応えがあったのだ。噛むと中から、スープの中に入っていた旨味のようなものが感じられた。もしかして、これが世界樹の実か?

 見た目はマスカットみたいにまん丸だったのに、いい意味で期待を裏切られた形だな。

 それにしても、何でこんな形にしたんだろうか?

「ご主人様、今日のフルーツポンチはいかがでしたか?」

 そう質問を投げかけて来たのは、スカーレットだった。俺のもとに来る前に、娘たちに話しを聞いていたようだ。娘たちは、丸いのが美味しかった! と絶賛していた。

「マスカットだと思ってたのが、世界樹の実だったんだな。マスカットが今回は入ってなかったから騙されたよ。でも、美味しかった。だけど、何でフルーツポンチだったんだ?」

「正直なところ、そのまま出すのが一番だと思ったのですが、今回は素材の味を生かせるフルーツポンチを選んでみました。食感の所為と言ってはいけないのですが、これ以外に応用できるイメージがすぐに思いつきませんでした」

 確かにあの食感であの味、確かにすぐ思いつく料理にあれが合う食べ物ってなにもないよな。

「一応、ゼリーも作ってみたのですが、一度熱したことによって、実が溶けてしまいせっかくの食感が生かせなかったのです。美味しいゼリーにはなったんですが、今回はそのまま食べれるようにフルーツポンチにしました」

「熱すると溶けるんだ。そのゼリーって、余ってる?」

「もちろんありますよ。食べてみたいのでしたら、持ってきましょうか?」

 頼むとお願いすると、すぐに持って来てくれた。

 ゼリーを食べようとしたところ、娘たちに見つかった。俺の服を掴み、ひな鳥みたいに口をパカッと開けて待っているので、3人に食べさせてあげる。近くにウルもいたので、あーんをしてあげた。

 そうすると、シンラたちにも見つかり、結局1つめは俺が一口も食べれずに無くなってしまう。

 2つ目を持って来てもらう。

 一口食べると、濃厚な世界樹の実の味がした。食感はゼリーなのだが、味は完璧に世界樹の実の味がした。これはこれで有りだな。

「溶けるんだったら、ゼリーの部分全部を世界樹の実にしたら、もっと濃厚になるってことか?」

「ある程度世界樹の実以外の水分がないと、すぐにこげてしまうので、世界樹の実の割合はもう少しくらいしか上げられないと思います。ゼリーも美味しいと思いますが、やはりそのままが今のところ一番かと思います」

 そういうものなのか。

「あっ、世界樹の根本付近にまた実が降ってくることもあるから、受け止める場所作ったからそこを定期的に確認に行ってほしい」

「了解しました」

 っと、また服をひっぱられる感覚が……みると、ミーシャ・スミレ・ブルムがまた口をパカッと開けて待っていた。

 君たち好きだね。もう一口食べさせてあげると満足したのか、歯磨きをするために走っていった。

 俺も歯磨きするかな。虫歯もポーションで治ることが判明したが、罹らないにこしたことは無いのでしっかりとお手入れしないとね。

 そういえば、乳歯っていつ頃抜けるんだっけ? 小学生とかだったか?

 娘たちの歯が抜けたらどうなるんだろうな? まぁ、歯抜けになっても娘たちは可愛いだろうから関係ない!

 歯磨きの後は、娘たちに連れられて一緒にお風呂に入った。

 先客にフブキがいてビビったけどな。浴槽の縁に顎を乗せてくつろいでたわ。猫のくせに風呂好きとかっと、うちの猫や猫精霊も風呂好きだったな。
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