1,645 / 2,518
第1645話 意外なものが落ちて来た
しおりを挟む
ん~暇になったな。
のんびりしていたら、そんな感想が出て来た。なんやかんやで忙しかったからな。政務の方は特に問題ないし、街のことに至っては俺がタッチすることなんて特にないからな。
さて、何をしようかな? 娘たちは勉強と運動を頑張っているみたいだし、俺もなんかするか?
といったものの、毎日のトレーニングはほぼ欠かさずに行っているから、体を動かしていないわけではないんだよな。小さいダマの背中にニコが張り付いているな。グレンは、俺の椅子の一番高いところにいるし、シエルはどこだ?
探してみると、シエルは娘たちが魔法の練習で庭に作った小さな池に浮かんでいた。池と言うよりは、少し大きな水たまりとでもいうべきだろうか? 聖獣とはいえ、水に浸かりたくなるものなのかね?
「なぁ、ダマ~」
『なんですか?』
「暇だな~」
『そうですね~』
「何かしたいことは無いか?」
『急に何ですか? したいことですか。こうやって庭でゴロゴロしているのも悪くないですね』
「そういうことじゃないんだけど、その気持ちには同意する。何処かに狩りに行きたいとか、何か美味しい物を探しに行きたいとか、珍しい物を見て見たいとか、なんかないの?」
『長年生きるために狩りはしていましたし、ここの食事は何でも美味しいですし、この街より珍しい場所なんてないと思いますよ。我々聖獣は長年生きて来たので、いろんな所へ行っていますよ。今更聞かれても、答えるのが難しいですね』
ダマの言葉に、グレンも「クエー」と鳴いた。ん? お前って、そんな鳴き声だったのか?
どうでもいい発見をしたがすることが増えるわけでもなく、暇なのは変わらずゆったりとした時間が過ぎていく。
椅子の背もたれを倒し、目をつぶれば寝れるくらいまで倒してみた。
世界樹が風に吹かれてわさわさと葉を鳴らしている。今日もスライムたちが、世界樹に登っているな。あいつらの住処みたいになってるぞ。
スライムたちは、世界樹に悪い虫が付かないように守ってたりするのかな? 小説によっては、世界樹に変な虫がとり付いて弱らせる……なんて話もあったな。そうなるとスライム隊は虫ではないが、益虫になるのだろうか?
横になりながら見上げていると、何かが落ちてきているように見える。この距離で見えるってことは、結構なサイズの物体なのでは?
「みんな、上を見ろ!」
ダマやグレン、ニコに警戒するように声をかける。全員が視認すると同時にダマが、
『世界樹の実?』
と言葉を発した。世界樹って実をつけるのか? 有名な龍を探求する有名RPGでは、しずくや葉には回復効果があったけど……この世界樹は、素材にはなるがそのまま使っても、あまり効果がないんだよな。
とか考えていると、もうすぐ地面に到達する距離にまでなっていた。そこが俺の頭の上じゃなければ、あまり気にしなかったのだが、ここにはお気に入りの椅子があるし、どうにかして受け止めるべきか。
「ダマ、風魔法で落下速度をできるだけ下げてくれ」
ダマに速度の相殺を頼むが、おそらくこれ以上速くならないと思うがそれでもかなりの速度だと思う。
水でクッションを作ったところで、勢いを落としきれずに沈んでしまい、結局椅子が犠牲になる未来しか見えない。かといって土を盛り上げてクッションにしたところで、椅子をどかさなければ壊れてしまう。
ならば、半球状の結界を作りすっぽりとハマるように調整すれば、大丈夫だろう。俺を中心に結界を張る。だけど形は輪切りにすると凹のようになっている。このへこんだ部分に世界樹の実とやらを入れてキャッチするのだ。
ズシンッ
と重たい音がする。結界の形が少し大きかったため、落ちた勢いが回転力になったのかクルクルと高速で回っていた。こんなことが起きるんだな。あり得るとしたら、漫画みたいに上に飛んでくのかと思ってたのにな。
それにしてもでかいな。直径2メートルは軽くあるぞ。世界樹のサイズからすれば、小粒の可能性もあるけど、俺たちから見たらかなりものだ。
「ダマ、世界樹の実って言ってたけど、何か知ってるのか?」
『ん~、知っているかと聞かれれば知っていますが、詳しくと言われると分かりません。ただ、美味しいらしいということだけは、聞いたことがあります』
「美味いのか? ってことは、シルキーたちの出番か? っとその前に、ユグドラシル! いるか?」
俺が呼ぶと、世界樹の幹から分体とも呼べるべき存在が現れた。
「いつも近くにいるけど、久しぶりだな。今、実が落ちて来たんだけど、これって普通に落ちてくるものなのか? 街には落ちない? 落ちるようだったら、色々考えないといけないんだが」
ジェスチャーで色々説明してくれた。
どうやら、実が出来そうだったので俺のいるところに落としてみたとのことだ。正直、迷惑なのだが! でも、美味しいから食べてほしいんだってさ。なので今度は、落とすところを作っておくから、そこに落とすようにお願いしておいた。
気になったので聞いてみたのだが、この実を植えても世界樹どころか芽も出さないらしい。食用の実だということだ。
「食べることは決定だけど、まずシルキーたちを呼ぶか」
ニコに呼んできてもらうことにした。すると、すぐにシルキーたちを連れて戻ってきたので、事情を説明すると目を光らせて世界樹の実を見た。
「ご主人様、1つ問題があります! 私たちが使っているナイフや包丁では、皮を剝くことができません」
世界樹の幹より硬いみたいだな。とりあえず、真っ二つにしてもいいか? 中がどうなっているか分からないが、切らないことには始まらないので今回は真っ二つにするようにお願いされた。
前に作っておいて使う機会がなかった刀を取り出して、居合い抜きの要領で真っ二つに切り裂いた。
見た感じは、アボガドのような感じだな。水分は少なく、しっとりとしていてすくい取って食べれそうだ。
シルキーたちはその場で味を確認して、収納の腕輪にしまってからどう仕立てるか話し合ってキッチンへ戻っていった。俺たちは放置されてしまった。
今日はこのままのんびりしようか。
のんびりしていたら、そんな感想が出て来た。なんやかんやで忙しかったからな。政務の方は特に問題ないし、街のことに至っては俺がタッチすることなんて特にないからな。
さて、何をしようかな? 娘たちは勉強と運動を頑張っているみたいだし、俺もなんかするか?
といったものの、毎日のトレーニングはほぼ欠かさずに行っているから、体を動かしていないわけではないんだよな。小さいダマの背中にニコが張り付いているな。グレンは、俺の椅子の一番高いところにいるし、シエルはどこだ?
探してみると、シエルは娘たちが魔法の練習で庭に作った小さな池に浮かんでいた。池と言うよりは、少し大きな水たまりとでもいうべきだろうか? 聖獣とはいえ、水に浸かりたくなるものなのかね?
「なぁ、ダマ~」
『なんですか?』
「暇だな~」
『そうですね~』
「何かしたいことは無いか?」
『急に何ですか? したいことですか。こうやって庭でゴロゴロしているのも悪くないですね』
「そういうことじゃないんだけど、その気持ちには同意する。何処かに狩りに行きたいとか、何か美味しい物を探しに行きたいとか、珍しい物を見て見たいとか、なんかないの?」
『長年生きるために狩りはしていましたし、ここの食事は何でも美味しいですし、この街より珍しい場所なんてないと思いますよ。我々聖獣は長年生きて来たので、いろんな所へ行っていますよ。今更聞かれても、答えるのが難しいですね』
ダマの言葉に、グレンも「クエー」と鳴いた。ん? お前って、そんな鳴き声だったのか?
どうでもいい発見をしたがすることが増えるわけでもなく、暇なのは変わらずゆったりとした時間が過ぎていく。
椅子の背もたれを倒し、目をつぶれば寝れるくらいまで倒してみた。
世界樹が風に吹かれてわさわさと葉を鳴らしている。今日もスライムたちが、世界樹に登っているな。あいつらの住処みたいになってるぞ。
スライムたちは、世界樹に悪い虫が付かないように守ってたりするのかな? 小説によっては、世界樹に変な虫がとり付いて弱らせる……なんて話もあったな。そうなるとスライム隊は虫ではないが、益虫になるのだろうか?
横になりながら見上げていると、何かが落ちてきているように見える。この距離で見えるってことは、結構なサイズの物体なのでは?
「みんな、上を見ろ!」
ダマやグレン、ニコに警戒するように声をかける。全員が視認すると同時にダマが、
『世界樹の実?』
と言葉を発した。世界樹って実をつけるのか? 有名な龍を探求する有名RPGでは、しずくや葉には回復効果があったけど……この世界樹は、素材にはなるがそのまま使っても、あまり効果がないんだよな。
とか考えていると、もうすぐ地面に到達する距離にまでなっていた。そこが俺の頭の上じゃなければ、あまり気にしなかったのだが、ここにはお気に入りの椅子があるし、どうにかして受け止めるべきか。
「ダマ、風魔法で落下速度をできるだけ下げてくれ」
ダマに速度の相殺を頼むが、おそらくこれ以上速くならないと思うがそれでもかなりの速度だと思う。
水でクッションを作ったところで、勢いを落としきれずに沈んでしまい、結局椅子が犠牲になる未来しか見えない。かといって土を盛り上げてクッションにしたところで、椅子をどかさなければ壊れてしまう。
ならば、半球状の結界を作りすっぽりとハマるように調整すれば、大丈夫だろう。俺を中心に結界を張る。だけど形は輪切りにすると凹のようになっている。このへこんだ部分に世界樹の実とやらを入れてキャッチするのだ。
ズシンッ
と重たい音がする。結界の形が少し大きかったため、落ちた勢いが回転力になったのかクルクルと高速で回っていた。こんなことが起きるんだな。あり得るとしたら、漫画みたいに上に飛んでくのかと思ってたのにな。
それにしてもでかいな。直径2メートルは軽くあるぞ。世界樹のサイズからすれば、小粒の可能性もあるけど、俺たちから見たらかなりものだ。
「ダマ、世界樹の実って言ってたけど、何か知ってるのか?」
『ん~、知っているかと聞かれれば知っていますが、詳しくと言われると分かりません。ただ、美味しいらしいということだけは、聞いたことがあります』
「美味いのか? ってことは、シルキーたちの出番か? っとその前に、ユグドラシル! いるか?」
俺が呼ぶと、世界樹の幹から分体とも呼べるべき存在が現れた。
「いつも近くにいるけど、久しぶりだな。今、実が落ちて来たんだけど、これって普通に落ちてくるものなのか? 街には落ちない? 落ちるようだったら、色々考えないといけないんだが」
ジェスチャーで色々説明してくれた。
どうやら、実が出来そうだったので俺のいるところに落としてみたとのことだ。正直、迷惑なのだが! でも、美味しいから食べてほしいんだってさ。なので今度は、落とすところを作っておくから、そこに落とすようにお願いしておいた。
気になったので聞いてみたのだが、この実を植えても世界樹どころか芽も出さないらしい。食用の実だということだ。
「食べることは決定だけど、まずシルキーたちを呼ぶか」
ニコに呼んできてもらうことにした。すると、すぐにシルキーたちを連れて戻ってきたので、事情を説明すると目を光らせて世界樹の実を見た。
「ご主人様、1つ問題があります! 私たちが使っているナイフや包丁では、皮を剝くことができません」
世界樹の幹より硬いみたいだな。とりあえず、真っ二つにしてもいいか? 中がどうなっているか分からないが、切らないことには始まらないので今回は真っ二つにするようにお願いされた。
前に作っておいて使う機会がなかった刀を取り出して、居合い抜きの要領で真っ二つに切り裂いた。
見た感じは、アボガドのような感じだな。水分は少なく、しっとりとしていてすくい取って食べれそうだ。
シルキーたちはその場で味を確認して、収納の腕輪にしまってからどう仕立てるか話し合ってキッチンへ戻っていった。俺たちは放置されてしまった。
今日はこのままのんびりしようか。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる