ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,641 / 2,518

第1641話 悪巧み

しおりを挟む
 あれから1週間頑張って探してみたが、あれ以上のモノは発見できなかった。

 元々、スキルを持っている魔物は予想より多かったのだが、思っている以上に微妙な結果に終わってしまった。召喚した中には、跳躍力がスキルがない状態では、30センチメートル位しか跳べない奴もいたのだ。

 スキルって魔物の特性を伸ばすものだと思っていたが、欠点を補うためのスキルもあるのだと知った。

「スキルを覚えさせるのはダメか……俺たちが意図的に覚えさせなければ、問題ないのかな?」

「どういう事でござるか?」

「いやな。今回使う魔物って、召喚した奴じゃないといけないって訳じゃないだろ。だから、野良の魔物って言うのも変だが、テイムした時にスキルを覚えていた魔物なら、アリなんじゃねえかな? って思ってな」

「なるほどでござる。召喚した魔物を放ってそれをテイムするのは、アウトっぽい気がするでござるが、野生の魔物ならアリかもしれないでござるな」

「でもさ、都合よくスキルを覚えているとは限らないんじゃない?」

「そこはさ、テイムする前に手懐けて必要なスキルを覚えさせてから、テイムするのはどうかな? 他にもさ、従魔たちに鍛えさせるとか、アンデッドなら野生でもバザールが支配できるだろ?」

「テイムする前に覚えさせるのね。神たちが提示したルールには引っ掛からないわね」

「やってみるでござるか?」

「調べるだけならマップ先生で検索すればいいし、移動はゲートがあるから距離は気にしなくてもいいから、目当ての魔物がいれば今日中にとらえることが出来るな」

「ゲートって、本当にインチキね。支配領域であれば、マイワールド経由で大陸が違っても、星が違っても、すぐにいくことが出来るんだもんね、地球には戻れないのかしら?」

「綾乃は地球に戻りたいのか? 戻っても、俺たちのいた痕跡は何処にも無いらしいぞ。帰って家族に会っても不審者扱いされて捕まるだろうな」

「正直、今の生活が快適すぎて帰りたいとは思わないわね。でも、地球と言うか日本じゃなくて外国に行ってみたいわね。スキルで英語も話せるようになるから、楽しい旅行が出来そうじゃない?」

「言われてみれば帰るじゃなくて、遊びに行くとか旅行とか考えれば地球はアリだよな。この世界ってファンタジーだけど、観光には向いてないもんな。まぁ、紅葉とか神秘的な風景なら、マイワールドで再現できるけどな。観光地とかも再現できるけど、側だけしか作れんからな」

「それはないわ。何が悲しくて観光地だけを観光するとかないわ。観光地は、雰囲気や人も含めて観光なんだから、人がいなければ観光地とは言えないわよ」

「某的には、行ってみたいでござるな。ゴーストタウンならぬゴースト観光地でござるか。アンデッドの某からしたら、面白そうでござるな」

 綾乃は雰囲気を楽しみたい人なんだな。中には、行くことが目的になっている人もいるし、景色を見に行くことを目的としている人もいるからな。十人十色だと思うがバザールの考え方は、ちょっとズレているかんじがするな。

 そんなことを言ってないで、魔物を探すかな。

「高く跳べる魔物を探すか、今回俺たちが連れて来たタイプの魔物から探すか?」

「高跳びはワーラビット一択だと思うけど、走り幅跳びとか競争は同系列で探してもいいんじゃないかしら?」

 短距離はやはり猫系が強いと思うので、猫系の魔物でスキル持ちを探すことにした。

 探してみると、バトルキャットってどこにでもいるな。その中でスキル持ちは、あまり多くなかった。目的の跳躍や疾走などの速度に関わるスキル持ちは、全体の1%以下だった。

 跳躍が速度に関わると分かったのは、試しに召喚したバトルキャットにスキルを与えてみたら、明らかに早くなったので候補に入れた。

「シュウ! 跳躍と疾走の2つ持ちがいたわよ!」

 綾乃がターゲットを見つけてくれた。マップ先生の検索なのだが思ったより不便で、探したい魔物とスキルは1つずつしか入力できなかったのだ。なので、2つタブレットを並べて見ていた綾乃が見つけてくれたのだ。

「テイムの前に、そのまま連れてくる必要があるか?」

「後1週間もないし、今回はこれで我慢すればいいんじゃない? あっ、もう1匹発見」

 とりあえず、テイムしに行くか。

 ゲートを繋げてマイワールドからバトルキャットの近くへ移動する。1人だと面倒だったので、従魔たちに協力してもらおう。もちろん、ダマとシエルとグレンの3匹だ。

 他のやつらは近くにいなかったし、どうせ娘たちの近くでくつろいでいるのは目に見えているので、探す手間をかけなかった。

 無事に2匹をテイムして帰還する。

 俺がテイムしている間に、ワータイガーも見つけていたようで、すぐに出発することになった。

 戻ってきたら、バザールがマイワールド内で待っており、ナイトメアギャリッジが見つかったのでゲートを繋げてほしいと言われた。希望するままにゲートをつなぎ5分後、スキル持ちのナイトメアギャリッジを連れて帰ってきた。

 参加できるかは不明だが、これで全員集まったかなって、ボーンアニマルがまだだった!

「それなら、ナイトメアギャリッジの近くにいたから、一緒に連れて来たでござる。それと、このナイトメアギャリッジ、レアっぽいでござる。空間系のスキルを持っているみたいでござるよ」

 空間系? 何のことかと思ったら、ギャリッジ……馬車の部分で荷台の中が、見た目よりかなり広いようなのだ。感覚的に、縦横高さが2倍ほど、荷台の面積は4倍で体積は8倍程に広がっていた。

 収納の腕輪の中に入れるような感じか? ダンジョンマスターのスキルでもダンジョンに付与できないタイプのものなので、こいつはかなりレアかもしれないな。

 全体的に早くなった魔物たちに俺たちは満足して、テイムしてきた魔物をLv50まであげて、大会当日をまつことになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

処理中です...