1,633 / 2,518
第1633話 大体の流れ……
しおりを挟む
「シュウ様、それで今回の件は結局何だったのですか?」
「ちょっと待ってもらっていいか? 多分1時間もすれば、情報が集まると思うから話すのはそれからでもいいか?」
「情報を集めているのですか?」
「そうだな。今、バザールに頼んで主犯が王族だった国を、調べてもらっているんだよ。おそらくだけど、今推測している内容で間違いないと思うけど、ゴーストタウンで凶行に及んだであろう理由を調べてもらっているんだよ」
「いつの間に? それより1時間で情報が集まるんですか?」
「正確な情報かって言われると、断片をかき集めて推測する形になるから微妙だけど、多分間違いない情報だと思っていいかな。しばらくバザールとやり取りするから、グリエルはゼニスと連携して、殉職した2人の若者の家族にコンタクトを取ってくれ」
「了解しました。情報が集まったら、呼んでもらっていいですか?」
「オーケーオーケー。その時は、ガリアも呼ぶから片付けておいた方が良い仕事は、前倒ししておいてくれ」
足早に執務室から去っていった。
そのまま俺は、バザールに連絡を取る。部屋の機能をフル活用した、別の場所にいるのに同じ部屋で話しているようになるシステムを起動する。
「情報を集め始めたばかりでござるが、凶行に及んだ奴がどこの王族だったのかが分かったでござる」
「マジで? 分かるのが早過ぎねえか?」
「国が崩壊していたら、ここまで簡単にはいかなかったでござるが、国自体はクーデターが成功して王族が、変わったことになっているようでござる」
「変わったことになってる?」
「冒険者ギルドに忍ばせたアンデッドの虫に調べさせたところ、今回のクーデターは冒険者ギルドが暗躍したようでござる」
おう、アンデッドなら虫でもコントロールできんのか!? こいつに忍び込めないところはないんじゃないか?
バザールが現在進行形で手に入れている情報をもとに話をまとめると、
この国は、20年前までは、そこまで大きな国ではなかったらしい。それが突然、兵士が強くなり周りの国を武力で落とし併合していったらしい。どうやら兵士が強くなった陰には、ゴーストタウンで暴れた転生者が関係しているようだ。
時系列的には王族に転生者が生まれ、その転生者がダンジョンを使ったレベリングを、自分付きの護衛に命令し、近くの小国にあったダンジョンを使って護衛のレベルを上げ帰国して、そのダンジョンのあった国を攻め落とす。
強くなれることを証明した転生者は、自分の護衛程ではないが兵士たちをダンジョンでレベリングして、次々と周りの国を落とし併合していったようだ。
これだけなら冒険者ギルドも暗躍しなかったようだが、転生者は勇者とダンジョンマスターに目をつけ、同郷ということで取り込もうとしたらしい。その情報を冒険者ギルドが察知して、軍部を利用して王族を排除したようだ。
急激に大きくなったこともあり、民への負担を考えていなかったためかなり疲弊していたようだ。兵士たちは強くなり、街で自由奔放に振る舞い民の不満は爆発寸前だった。
でも、兵士が強くなったことも民は知っていたので、どうにもできなかったらしい。クーデターの前に兵士たちを集団で襲ったことがあったのだが、どうにもならずに見せしめに殺されたのだとか。
冒険者ギルドは、転生者に勇者やダンジョンマスターを利用されないために、トリプルの冒険者を3人を招集してクーデターに参加させたようだ。
トリプルの冒険者は、癖の強い奴や問題を起こすやつが認定されるランクである。ちなみに、俺たちもここに認定されている。見境ないわけじゃないんだけど、街をいくつも乗っ取っている状況を見て、認定されてしまっているのだ。全部、返り討ちなんだけどね。
で、招集されたトリプル冒険者は、比較的大人しい方だけど戦闘狂らしく、蹂躙するタイプを好む奴らだったようだ。そいつらをクーデターの前線に派遣することと、良識人の軍部を動かし主導させたようだ。
兵士の中にも逸脱した人間もいれば、そうでない人間もいた。害悪になる奴らは自分たちに勝てる奴はいないと、自ら前線に出張ってきて勝手に殺されてくれたので、クーデター成功後の軍は人は減ったが良識人が多く残り、国の再建に尽力を尽くしたんだってさ。
でも、クーデターの中で王族を全員殺したと宣伝したが、実は1人だけ取り逃していたのだ。それがゴーストタウンで暴れた、元王族の転生者らしい。
何度か追っ手を出したのだが、20人いた転生者の護衛に阻まれ殺すことに失敗していたらしい。それでも、10人の護衛を殺すことには成功した。被害の人数の方が多かったけどな。
これが国が終わった流れだ。
ここからは推測だが、転生者はゴーストタウンの領主もしくは、上層部にダンジョンマスターがいると考えていたと思う。急に樹海の中心にある山に街ができて、樹海の地下を走る通路も作られたとなれば、ダンジョンマスターがかかわっていたとしてもおかしくないと考えたのだろう。
そこでゴーストタウンを乗っ取るか、協力関係を構築するつもりだったのか分からないが、ゴーストタウンでの振る舞いを考えれば、乗っ取るつもりだったと考えられる。
「とっておきの話がある」みたいなことを言っていたあいつがどういう性格か分からないけど、こちらに近付いて一気に制圧みたいなことを考えていたのだと思う。
何を考えて行動していたのかを知りたいところではあったが、こちらに得があったとしても間違いなく切り捨てたであろう人材なので、後悔はしていない。
グリエルとガリアを呼び、まとめた話を伝えた。
「ちょっと待ってもらっていいか? 多分1時間もすれば、情報が集まると思うから話すのはそれからでもいいか?」
「情報を集めているのですか?」
「そうだな。今、バザールに頼んで主犯が王族だった国を、調べてもらっているんだよ。おそらくだけど、今推測している内容で間違いないと思うけど、ゴーストタウンで凶行に及んだであろう理由を調べてもらっているんだよ」
「いつの間に? それより1時間で情報が集まるんですか?」
「正確な情報かって言われると、断片をかき集めて推測する形になるから微妙だけど、多分間違いない情報だと思っていいかな。しばらくバザールとやり取りするから、グリエルはゼニスと連携して、殉職した2人の若者の家族にコンタクトを取ってくれ」
「了解しました。情報が集まったら、呼んでもらっていいですか?」
「オーケーオーケー。その時は、ガリアも呼ぶから片付けておいた方が良い仕事は、前倒ししておいてくれ」
足早に執務室から去っていった。
そのまま俺は、バザールに連絡を取る。部屋の機能をフル活用した、別の場所にいるのに同じ部屋で話しているようになるシステムを起動する。
「情報を集め始めたばかりでござるが、凶行に及んだ奴がどこの王族だったのかが分かったでござる」
「マジで? 分かるのが早過ぎねえか?」
「国が崩壊していたら、ここまで簡単にはいかなかったでござるが、国自体はクーデターが成功して王族が、変わったことになっているようでござる」
「変わったことになってる?」
「冒険者ギルドに忍ばせたアンデッドの虫に調べさせたところ、今回のクーデターは冒険者ギルドが暗躍したようでござる」
おう、アンデッドなら虫でもコントロールできんのか!? こいつに忍び込めないところはないんじゃないか?
バザールが現在進行形で手に入れている情報をもとに話をまとめると、
この国は、20年前までは、そこまで大きな国ではなかったらしい。それが突然、兵士が強くなり周りの国を武力で落とし併合していったらしい。どうやら兵士が強くなった陰には、ゴーストタウンで暴れた転生者が関係しているようだ。
時系列的には王族に転生者が生まれ、その転生者がダンジョンを使ったレベリングを、自分付きの護衛に命令し、近くの小国にあったダンジョンを使って護衛のレベルを上げ帰国して、そのダンジョンのあった国を攻め落とす。
強くなれることを証明した転生者は、自分の護衛程ではないが兵士たちをダンジョンでレベリングして、次々と周りの国を落とし併合していったようだ。
これだけなら冒険者ギルドも暗躍しなかったようだが、転生者は勇者とダンジョンマスターに目をつけ、同郷ということで取り込もうとしたらしい。その情報を冒険者ギルドが察知して、軍部を利用して王族を排除したようだ。
急激に大きくなったこともあり、民への負担を考えていなかったためかなり疲弊していたようだ。兵士たちは強くなり、街で自由奔放に振る舞い民の不満は爆発寸前だった。
でも、兵士が強くなったことも民は知っていたので、どうにもできなかったらしい。クーデターの前に兵士たちを集団で襲ったことがあったのだが、どうにもならずに見せしめに殺されたのだとか。
冒険者ギルドは、転生者に勇者やダンジョンマスターを利用されないために、トリプルの冒険者を3人を招集してクーデターに参加させたようだ。
トリプルの冒険者は、癖の強い奴や問題を起こすやつが認定されるランクである。ちなみに、俺たちもここに認定されている。見境ないわけじゃないんだけど、街をいくつも乗っ取っている状況を見て、認定されてしまっているのだ。全部、返り討ちなんだけどね。
で、招集されたトリプル冒険者は、比較的大人しい方だけど戦闘狂らしく、蹂躙するタイプを好む奴らだったようだ。そいつらをクーデターの前線に派遣することと、良識人の軍部を動かし主導させたようだ。
兵士の中にも逸脱した人間もいれば、そうでない人間もいた。害悪になる奴らは自分たちに勝てる奴はいないと、自ら前線に出張ってきて勝手に殺されてくれたので、クーデター成功後の軍は人は減ったが良識人が多く残り、国の再建に尽力を尽くしたんだってさ。
でも、クーデターの中で王族を全員殺したと宣伝したが、実は1人だけ取り逃していたのだ。それがゴーストタウンで暴れた、元王族の転生者らしい。
何度か追っ手を出したのだが、20人いた転生者の護衛に阻まれ殺すことに失敗していたらしい。それでも、10人の護衛を殺すことには成功した。被害の人数の方が多かったけどな。
これが国が終わった流れだ。
ここからは推測だが、転生者はゴーストタウンの領主もしくは、上層部にダンジョンマスターがいると考えていたと思う。急に樹海の中心にある山に街ができて、樹海の地下を走る通路も作られたとなれば、ダンジョンマスターがかかわっていたとしてもおかしくないと考えたのだろう。
そこでゴーストタウンを乗っ取るか、協力関係を構築するつもりだったのか分からないが、ゴーストタウンでの振る舞いを考えれば、乗っ取るつもりだったと考えられる。
「とっておきの話がある」みたいなことを言っていたあいつがどういう性格か分からないけど、こちらに近付いて一気に制圧みたいなことを考えていたのだと思う。
何を考えて行動していたのかを知りたいところではあったが、こちらに得があったとしても間違いなく切り捨てたであろう人材なので、後悔はしていない。
グリエルとガリアを呼び、まとめた話を伝えた。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる