ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,628 / 2,518

第1628話 スライムの謎生態

しおりを挟む
「お父さん、採れたての野菜って美味しいんだね。ネバネバ好きだから、オクラも良く食卓に出てくるけど生だと食べられないから、火を通すって聞いてたのに生で食べても美味しかった!」

 ウルの言葉に、ミーシャたちも反応して自分も自分も! みたいな感じで、主張し始めた。

 4人の頭を撫でながら次の畑に向かう。

「とーたん、ここも畑なの?」

 俺も聞きたい。スライムって畑で取れる魔物なのか?

 目の前には、スライムがびっちりと敷き詰められているのだ。しかも色とりどりのスライムたちが、畑の一角に……

「何か目的があってここにいるんじゃないかな? ダマ、そこらへんな何か分からないか?」

『スライムたちは喋らないので、分からないです』

「ん~ニコがいれば、少しは話が出来そうなんだがな……」

 俺がそういうと、スライム畑の一部が激しく震え始めた。何事かと様子を見ていたら、ニコが生えて来た。スライムたちの上を転がり俺のもとへ。

「お前もいたんだな。お前たちはここで何をしてるんだ?」

 そういうと、俺に鑑定をするようにジェスチャーをしてきた。意味が分からないがニコに鑑定をかけてみる。そうすると、

「スライムって、植物なのか?」

 スライムらしいスキルが並んでいたのだが、まぁ一部変なスキルもあるけど、どう考えても魔法生物が持っているのが不自然なスキルがある。そもそも、これはスキルだったのか?

『光合成』

 スキルの欄に普通に鎮座していたのだ。そして、ここにいるスライムたちは全員が光合成持ちだった。

 光合成って葉緑体に光が当たってエネルギーや栄養を生み出す、化学反応みたいなものじゃなかったっけか? スライムたちに葉緑体はないよな? 魔法のある世界だから、光合成も魔法の力でできるのだろうか?

「どうやら、栄養を蓄えているらしい。普通植物が行う光合成を、ニコたちはスキルを使って行ってるみたいなんだ」

 そういえば、ウルたちはニコたちスライムが、植物なのかと疑問を持つのだが、俺も解らないのだ。スキルで持っているだけだから、植物ではないと思う。そもそも、魔法生物だからな。生態がよくわかっていない。

 多分違うと答えて、スライムたちの日光浴の邪魔をしないようにその場を離れる。

 ニコは俺たちについてくるようで、久しぶりの定位置にやってきた。頭の上に鎮座するように収まった。

 次はどこ行くの? と言われ、繋いだ手をブンブンと振るスミレとブルム。俺と手をつないでいる方と逆の手でウルやミーシャと手をつないでいる。

 俺も次に何があるか分からんのだよ。

 気分に任せて進んでいくと、

「オクラやそら豆みたいに、葉っぱに元気がないよ?」

 ミーシャが畑を見てそんな言葉をこぼす。

「あ~ここは、この状態が採れ頃なんじゃないかな? みんなも、下の子たちも美味しく食べている姿を見たことあるな。甘くてホクホクした食べ物だぞ」

 俺は見たことのある葉っぱを見て、ミーシャに答える。

 ウルたち4人は考えるが分からないようで、降参の白旗をあげて来た。近くにいた畑の管理をしている人に声をかけ、採れ頃の場所へ移動した。

「このツルの下、土の中にみんなの好きなものが植わっているよ」

 4人が畑をほじくり返し始めた。初めに出てきたのは丸くて俺の拳より少し大きいくらいの根菜だ。

「ジャガイモ? 美味しいし好きだけど、甘くないよ?」

「これじゃぁ、分かりにくいかもね。皮の色を見てごらん。何か見覚えがないかな?」

 よく分からなかったようで、もう1つ掘ってみると、

「「「「サツマイモだ!」」」」

 4人がシンクロして声をあげる。1人1個みんなの顔位ある大きさのサツマイモを持って移動する。ここの管理人に言われて向かった先は、

 トマト畑だった。

 何故トマトかと思ったら、この後にあることをするので持って行ってくださいだってさ。誰が何を画策してるんだ? 次に向かった場所は、ナス畑。ここでもナスを収穫して持たされた。

 娘たち4人は、抱えきれないくらい大きな野菜たちを必死に持って移動している。プラムたちも、1人1つずつ何かしらの野菜に抱き着いていた。

 3つの野菜をもって移動すると、そこには炭火が用意されていた。そこには、他にもアスパラやキノコ類などの野菜や、鮭にホタテなどの貝類も準備されていた。

 ブラウニーたちがいて、何やら準備をしていた。

 いち早く何をしているか気付いたのは、ウルだ。ホイル焼きをこれからするようだ。時間を忘れて楽しんでいたせいか、もうお昼の時間になっていたようだ。

 ホイル焼きの準備は全部、ブラウニーたちがしてくれたので、俺たちは手を洗って焼きあがるのを火の前で待っていた。プラムたちは一度離脱している。おトイレだな。

 出来上がった順に皿へ置いてもらい、お昼を食べ始める。

「トマトってこんなに美味しいんだね!」

「ナスなんか、こんなにトロトロで甘いよ!」

「魚も美味しい!」

 ミーシャたち3人は、美味しい物を声にあげて食べている。それに対してウルは、声を出さずに美味しさをかみしめている感じだな。

 下の子たちは、母親の膝の上で食べやすい温度に冷ましたホイル焼きを食べている。

 プラムはトマトが気に入ったのか、指を指して要求している。シンラはアスパラが気に入ったようだ。シオンは、鮭とキノコのホイル焼きが気に入ったようだな。

 俺はそんな光景を見ながら、ホタテをモグモグ。うめえな……

 一通り食べると、お腹がいっぱいになったな。印象的だったのは、トマトだな。オリーブオイルと塩で味付けしただけのトマトだったのだが、サラダとは全く違う美味しさだった。

 お昼の締めという表現があっているか分からないが、じっくり焼いたサツマイモが最後に出て来た。めっちゃ甘くてうまかったぞ。

 午後からは、果樹園を回り果物を食べながら見学を続けて、家へ帰った。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

処理中です...