ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,627 / 2,518

第1627話 再び畑エリア!

しおりを挟む
 あれから2日後、ウルたちと約束していた畑エリアに行くことになった。前にも行っているが、今回は違う作物を見に行く予定だ。前回は、何を見たんだっけ? 子どもたちの着の赴くままに見学をさせてもらおう。

 ということで、やってきました畑エリア!

 相変わらずこの畑は季節感がおかしいな。冬野菜の白菜や大根、ネギの隣に、夏野菜のキュウリやトマト、ナスがなっているのだ。遠くには、季節感の全くない果樹園もあるし。その手前には、黄金の稲穂が垂れ下がっている。

 おや? ビニールハウスがあるな。何が生っているのだろう? 後で見に行ってみたいところだ。

 まずウルたちが向かった先は、稲穂のあるところだ。俺がお米が好きということで、家ではパンよりお米の方が食べる機会が多い。何より、おかずの味付けがご飯に合うようにされていることが多いので、娘たちもお米をよく食べるのだ。

 前にお米がどうできているか聞かれたときに、あの畑のように穂が垂れ下がっている写真を見せた覚えがあるから、それを覚えていたのだろう。

「とーたん、これがお米?」

 やはりその質問だよな。その通りだ! ここから、収穫して乾燥させて脱穀して、精米したらみんなの知っているお米になるんだぞ。だけどね、ここまで美味しいお米になるのには、試行錯誤を繰り返し品種改良をした結果なんだぞ!

 4人は「ふ~ん」と、分かっていないような生返事で答えた。

 まぁ、この年の子たちに話しても分かるわけないわな。お米はこれから取れるってことを覚えていただけでも、十分なことだと思おう。

 次に訪れたのは、何が生っているかよくわからない畑だった。見覚えはあるのだが、何だったっけな? ウルたちより少し背丈のある食物だ。

 分からなかったので近くにいた、畑を管理している人に聞いてみた。

 どうやらこの畑は、そら豆の畑だったらしい。娘たちもそら豆は知っているので、実がなっていないか探しているが見当たらず、「どこにもない」と言って残念がっていた。

 娘たちよ! まだまだだな。そら豆はな、茎の部分から空に向かって生えている、この太い部分の中に入っているんだぞ! 一説には、空に向かってさやが伸びることから、そら豆と呼ばれるようになったらしい。

 収穫のサインは、豆の重さにさやが下がり始め、さやの背が赤くなってきたらだぞ!

 いくつか収穫してもいいか確認を取ると、いくらでもどうぞ、と言われた。それでいいのか? 疑問に感じていたら、苦笑しながら答えてくれた。

「この畑はシュウ様の物なんですから、気にすることなく収穫していただいて問題ないですよ」

 だってさ。そういえば、この街の事業って大半が俺が作ったんだっけ? 畑に関しても、一から俺が作って、ワームを連れてきたりドリアードを召喚したり、水の下級精霊を召喚したりして、管理を任せている形だったな。

 でも、育てたのは君たちだろ? 管理しているんだろ? だったら、気にすることなく収穫していいっていうのは、間違っていると思うのだが違うか?

 今日一緒に来ているピーチたちに聞いてみた。もちろん下の子たちも一緒に来ている。シンラなんかは、興味を持ったのか手を伸ばして、はっぱをつかもうとしている様子も見られる。

 ピーチたちの答えは、管理している人の考えが正しいようだ。この世界では、貸し与えられた畑で収穫物は、持ち主が自由にしても問題ないらしい。特に今回のようなケース、収穫の量に関係なく給金は出るし、大量に取れればボーナスも出る。多少見てくれの悪い野菜は持ち帰りOK。

 そういう雇用契約を結んでいるので、収穫物の100パーセントが俺の物扱いなのだそうだ。

 もし給金ではなく、この畑から採れた収穫物を自分で売って稼ぐ形であれば、確認を取って許可が出ないまま収穫すれば、窃盗になるので犯罪なのだとか……ややこしや。

 そういっても、シュウ様は確認をしてから収穫するでしょうから、私たちが気にすることは特にありませんよ、だってさ。それに、実がなりすぎて収穫が追い付いていないので、収穫してくだされば悪くなるものが減るので、助かるとも言っていた。

 そういえば、報告書に畑エリアの収穫が追い付いていないって話があったな。人員を追加してもらえないかって話があったのを思い出した。

 収穫すればするほどボーナスが増えるので、畑エリアで作業している住人たちのモチベーションは高い。だけど、働きすぎではないかと思うこともあるくらいだが、注意しても良くならないので半ば諦めている。手の空いている住人が手伝いに来ることもあるとか書いてあったな。

 そんなことを話している間も、ここで働いている人たちは手を止めずに、かなりの速度で収穫をしていた。

 農民侮りがたし。

 ウルたちが戻ってきた。どうやら一番大きなさやを収穫できたのはブルムのようだな。見て見て! と俺の鼻先までそら豆を押し出してくる。近すぎて反対に見えんぞ。

 そら豆は、とれたてならそのままでも食べられる、と聞いたようで一緒に食べようとお誘いを受けた。

 そら豆を生で食べられるのか? 毒があっても死ぬことは無いし、娘たちにそんな嘘をつく住人がこの街にいるわけも無いので、言われたままに口に運んだ。

「おぉ、うま~~い! 本当に食べられるんだな。それに、甘いんだな」

 娘たちも食べて、美味しい! と声をあげていた。

 その様子を見ていたここで働いている人たちが、いい笑顔で喜んでいる姿が見られた。領主とその子どもたちに褒められれば、嬉しくもなるかな?

 っと、プラムたちも母親から割ったそら豆を貰って食べている。この子たちは不味ければ、普通に吐き出すので飲み込んだということは、美味しいというのは間違いないみたいだな。

 次に向かったのは、オクラ畑だ。ここは、見覚えもなく何が生っているか分からなかったが、ここに生えている物を観察して、すぐに分かった。

「それにしても、オクラにしてはデカすぎないか?」

 と、独り言を言ったのを聞いていた、ここの畑の人が、

「このオクラは、大きくなっても硬くならない品種なんですよ。ノーマン様の話では、島オクラと呼ばれている物だと聞いています」

 島オクラ……沖縄の野菜ってことだろうか? 普通のオクラは、大きくなりすぎると硬くて食べれたものでは無いと、テレビでやっていた気がする。収穫にはかなり気を使って、朝晩と収穫する必要があるのだとか。

 このオクラも生で食べられると言われたので、俺はかぶりついてみた。ほのかに甘く、出汁が入っているような味もする。そして何より、湯がいていないのに粘り気がやばいことになっていた。

 娘たちも食べたそうにしていたので、切り分けてから口の中へ入れてあげた。4人とも頬っぺたを抑えて美味しい! と声をあげている。

 同じ仕草をする4人、仲がいいな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...