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第1613話 まさかの新種魔物
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攻められてはいるが、今のところ娘たちの作った階層で右往左往している状態のようだ。このセリフで分かると思うが、未だにザ・迷宮エリアを脱出できていない。ここまで罠が多いと、指揮を執る存在がいないと総崩れを起こす可能性が高い。
消費を上回る以上に追加で魔物を投入してきているあたり、物量で押し切るつもりなのだろう。投入してくる魔物の種類が偏っているのが気になる。獣系を多く使うって話だったが、今回は水陸両用の魔物が多く投入されている気がする。
物量の部分では、死ぬこと前提のゴブリンやコボルトが多いな。罠が沢山あると判明した時点で、とにかく数を送り出して虱潰しに罠を発見させている。発見させる=魔物が死ぬか瀕死になるので、そのための物量作戦という訳だ。
頑張っているおかげか、俺が寝ている間に7階までは踏破してきたようだ。
ダンジョンバトルの経過を聞いた俺は、フェンリルたちが戻ってきているとのことで会いに行く。
今回ダンジョンバトルに投入したフェンリルは、5匹だ。
待機場から戻ってきたフェンリルたちは、メイドたちに風呂に入れてもらっていたようだ。戦闘の跡もなくキレイな白い毛並みだ。
おや? 見覚えのあるフェンリルがいると思ったら、ガロウとオウカだった。仲良く並んでブラッシングをしてもらっている。元の大きさだと大変なので、体を小さくしているけどね。
そういえば、こいつらもサイズ変更できるよな。レアなスキルじゃなかったんだっけ?
俺に気付いたガロウとオウカが走って近付いてきて、体当たりをかますような勢いで突っ込んできた。
2匹に突っ込まれた俺は5メートル程地面にレールを作り、勢いに負けて転倒する。
俺の上に乗ってきた2匹は、遠慮なしに顔を舐めて来た。やめてくれ……
2分ほどすると落ち着いたのか、離れてお座りに移行する。そして、その後ろに残りの3匹も並んでいた。
でもさ、フェンリルって2匹しか召喚した覚えがないんだけど、7匹いたから今回のダンジョンバトルに組み込んだけど、何で増えてたんだ? 誰かが召喚した?
ダマの通訳で分かったが、俺の予想は全く外れ。後ろの3匹はガロウとオウカの子なのだとか。
そうなのか! 仲がよろしいことで、嬉しいよ。俺にも子どもがいるんだから、お前たちに子どもがいてもおかしくないよな。
名前を付けてやろうかと思ったが、既に名前があるらしい、何で?
それは、元気よく活動をしている娘たちが付けたとのこと。フェンリルの子たちが生まれてしばらく経った頃に遭遇して、可愛がっている内に名前を付けてもらっていたのだとか。俺の従魔だから、俺の子どもたちは無条件で愛しい存在となるらしく、ガロウとオウカも含めて喜んでいた。
2匹の子たちは、雄1匹、雌2匹だ。雄の方はクウガと名付けられ、雌の方はカリンとカレンとのことだ。クウガはガロウから『ガ』を貰い名前の後ろに、カリンとカレンはオウカから『カ』を貰い名前の頭につけたらしい。
似たような名前が増えると困るけど、この先も増えるのかな? その時は、名付けるパターンを変えればいいか?
それよりも、この3匹を見ているとデジャヴを覚えるんだよね。クウガが真ん中でカリンとカレンが両サイドに。そして、クウガの少し疲れている眼、シンラ・プラム・シオンの関係にメチャクチャ似ている気がするのだ。
見なかったことにしよう。
5匹をほめて、今回はこれでお仕事は終わりと伝え、自由にしてもいいと伝えると、娘たちと一緒にいてもいいか、許可を求められた。何で? 会いたければ会いに行けばいいじゃないか?
従魔たちの中に序列があるようで、許可なく会いに行くと後で面倒なのだとか。ダマが疲れた顔で言っている。そういえば、生まれた当初は従魔たち全員が娘たちの様子を見れる部屋に入り浸っていたな。最近は少なくなったけど、用事で探しているときはそこに行けば大体いる気がする。
許可を出すと、一斉に走り去っていった。お前たちも俺より娘たちなのか?
さて、ダンジョンバトルに意識を戻しますか。
「バザール、どう見る?」
「ザックリとした質問でござるな。まず1つ報告するでござる。アーカイブで不自然に敵が崩れていた理由が分かったでござる。最初は分からなかったでござるが、詳しく調べて判明したでござる! あれが、相手の切り札でござろうな。痛いでござる!!」
いい音を立てて、綾乃のハリセンが振り抜かれる。今回は音だけではなかった。良く音の出るハリセンに聖銀をコーティングしてやがる。バザールにもダメージが通るわけだ。
「良いから、早よ答えを言え!」
「せっかちでござるな。魔物なのは分かっていたでござるが、正体が不明だったあれは、魔物の体内に隠れて存在しているようですね。マップで調べても、光点が重なっているのですぐには気付けなかったでござるよ」
「体内に隠れてる? なのにあんなに強いのか? 体内に入ってられるってことは、そこまで大きくないんだろ?」
「簡単に言えば、寄生虫みたいなものでござるよ。おそらく寄生型の魔物でござるな。タイプはハリガネムシでござるかね? 不自然に相手が崩れたのは、そいつが相手の体内に侵入して行動を抑制したと思われるでござる。自分の体を切り離しても遠隔操作ができるのかもしれないでござるね」
ここにきて、まさかの魔物が出て来た。
「ってか、フェンリルたちを前線に出したのは間違いだったか」
「それがそうでもないでござる。その寄生魔物でござるが、傷口からしか体内に侵入できない上に、そこまで動きが速くないので、多少なりとも相手に組付けないと寄生するのは不可能のようでござる。後、魔物の体内でないと生きていけないようでござるね。長くても2分くらいで死ぬでござる」
何でそんなことが分かるのかと首を傾げたら、すぐに答えが返ってきた。寄生している魔物が死んでも寄生魔物は死なないので、ドロップと一緒にその場に残るようで、そいつが消えるまでの時間を計った結果で2分と分かったらしい。
中には回収される寄生魔物もいるが、大体は放置されるのだとか。相手の体に侵入した寄生魔物は、ドロップを落とさないことから遠隔操作の可能性があるのだとか。
「あれ? それだと、寄生されている魔物を倒したら、そいつがドロップと一緒に落ちるんじゃないの?」
「それなのでござるが、推測で言うでござるが、寄生魔物の本体は寄生している魔物と生死を共有している可能性が高いでござる」
「ん? それなのに、切り離した分体みたいなのは2分も生きるのか?」
「あくまで推測でござるから、詳しいことは分からないでござる。ただ、ステータスに寄生って表示できるようになったでござるから、寄生されている魔物はすぐに分かるでござる」
見分ける方法はあるようだ。だから何だと思うのだが、分からないより分かった方がいいよな。
とりあえず、俺たちの作ったエリアでは、動きの遅い魔物は排除するか、ゴーレムなんかの魔法生物にしよう。あれなら、傷口なんてできないから体内に入りようがない。かけるだけだからな。
それもこれも、娘たちのエリアが突破されればなんだけどね。
消費を上回る以上に追加で魔物を投入してきているあたり、物量で押し切るつもりなのだろう。投入してくる魔物の種類が偏っているのが気になる。獣系を多く使うって話だったが、今回は水陸両用の魔物が多く投入されている気がする。
物量の部分では、死ぬこと前提のゴブリンやコボルトが多いな。罠が沢山あると判明した時点で、とにかく数を送り出して虱潰しに罠を発見させている。発見させる=魔物が死ぬか瀕死になるので、そのための物量作戦という訳だ。
頑張っているおかげか、俺が寝ている間に7階までは踏破してきたようだ。
ダンジョンバトルの経過を聞いた俺は、フェンリルたちが戻ってきているとのことで会いに行く。
今回ダンジョンバトルに投入したフェンリルは、5匹だ。
待機場から戻ってきたフェンリルたちは、メイドたちに風呂に入れてもらっていたようだ。戦闘の跡もなくキレイな白い毛並みだ。
おや? 見覚えのあるフェンリルがいると思ったら、ガロウとオウカだった。仲良く並んでブラッシングをしてもらっている。元の大きさだと大変なので、体を小さくしているけどね。
そういえば、こいつらもサイズ変更できるよな。レアなスキルじゃなかったんだっけ?
俺に気付いたガロウとオウカが走って近付いてきて、体当たりをかますような勢いで突っ込んできた。
2匹に突っ込まれた俺は5メートル程地面にレールを作り、勢いに負けて転倒する。
俺の上に乗ってきた2匹は、遠慮なしに顔を舐めて来た。やめてくれ……
2分ほどすると落ち着いたのか、離れてお座りに移行する。そして、その後ろに残りの3匹も並んでいた。
でもさ、フェンリルって2匹しか召喚した覚えがないんだけど、7匹いたから今回のダンジョンバトルに組み込んだけど、何で増えてたんだ? 誰かが召喚した?
ダマの通訳で分かったが、俺の予想は全く外れ。後ろの3匹はガロウとオウカの子なのだとか。
そうなのか! 仲がよろしいことで、嬉しいよ。俺にも子どもがいるんだから、お前たちに子どもがいてもおかしくないよな。
名前を付けてやろうかと思ったが、既に名前があるらしい、何で?
それは、元気よく活動をしている娘たちが付けたとのこと。フェンリルの子たちが生まれてしばらく経った頃に遭遇して、可愛がっている内に名前を付けてもらっていたのだとか。俺の従魔だから、俺の子どもたちは無条件で愛しい存在となるらしく、ガロウとオウカも含めて喜んでいた。
2匹の子たちは、雄1匹、雌2匹だ。雄の方はクウガと名付けられ、雌の方はカリンとカレンとのことだ。クウガはガロウから『ガ』を貰い名前の後ろに、カリンとカレンはオウカから『カ』を貰い名前の頭につけたらしい。
似たような名前が増えると困るけど、この先も増えるのかな? その時は、名付けるパターンを変えればいいか?
それよりも、この3匹を見ているとデジャヴを覚えるんだよね。クウガが真ん中でカリンとカレンが両サイドに。そして、クウガの少し疲れている眼、シンラ・プラム・シオンの関係にメチャクチャ似ている気がするのだ。
見なかったことにしよう。
5匹をほめて、今回はこれでお仕事は終わりと伝え、自由にしてもいいと伝えると、娘たちと一緒にいてもいいか、許可を求められた。何で? 会いたければ会いに行けばいいじゃないか?
従魔たちの中に序列があるようで、許可なく会いに行くと後で面倒なのだとか。ダマが疲れた顔で言っている。そういえば、生まれた当初は従魔たち全員が娘たちの様子を見れる部屋に入り浸っていたな。最近は少なくなったけど、用事で探しているときはそこに行けば大体いる気がする。
許可を出すと、一斉に走り去っていった。お前たちも俺より娘たちなのか?
さて、ダンジョンバトルに意識を戻しますか。
「バザール、どう見る?」
「ザックリとした質問でござるな。まず1つ報告するでござる。アーカイブで不自然に敵が崩れていた理由が分かったでござる。最初は分からなかったでござるが、詳しく調べて判明したでござる! あれが、相手の切り札でござろうな。痛いでござる!!」
いい音を立てて、綾乃のハリセンが振り抜かれる。今回は音だけではなかった。良く音の出るハリセンに聖銀をコーティングしてやがる。バザールにもダメージが通るわけだ。
「良いから、早よ答えを言え!」
「せっかちでござるな。魔物なのは分かっていたでござるが、正体が不明だったあれは、魔物の体内に隠れて存在しているようですね。マップで調べても、光点が重なっているのですぐには気付けなかったでござるよ」
「体内に隠れてる? なのにあんなに強いのか? 体内に入ってられるってことは、そこまで大きくないんだろ?」
「簡単に言えば、寄生虫みたいなものでござるよ。おそらく寄生型の魔物でござるな。タイプはハリガネムシでござるかね? 不自然に相手が崩れたのは、そいつが相手の体内に侵入して行動を抑制したと思われるでござる。自分の体を切り離しても遠隔操作ができるのかもしれないでござるね」
ここにきて、まさかの魔物が出て来た。
「ってか、フェンリルたちを前線に出したのは間違いだったか」
「それがそうでもないでござる。その寄生魔物でござるが、傷口からしか体内に侵入できない上に、そこまで動きが速くないので、多少なりとも相手に組付けないと寄生するのは不可能のようでござる。後、魔物の体内でないと生きていけないようでござるね。長くても2分くらいで死ぬでござる」
何でそんなことが分かるのかと首を傾げたら、すぐに答えが返ってきた。寄生している魔物が死んでも寄生魔物は死なないので、ドロップと一緒にその場に残るようで、そいつが消えるまでの時間を計った結果で2分と分かったらしい。
中には回収される寄生魔物もいるが、大体は放置されるのだとか。相手の体に侵入した寄生魔物は、ドロップを落とさないことから遠隔操作の可能性があるのだとか。
「あれ? それだと、寄生されている魔物を倒したら、そいつがドロップと一緒に落ちるんじゃないの?」
「それなのでござるが、推測で言うでござるが、寄生魔物の本体は寄生している魔物と生死を共有している可能性が高いでござる」
「ん? それなのに、切り離した分体みたいなのは2分も生きるのか?」
「あくまで推測でござるから、詳しいことは分からないでござる。ただ、ステータスに寄生って表示できるようになったでござるから、寄生されている魔物はすぐに分かるでござる」
見分ける方法はあるようだ。だから何だと思うのだが、分からないより分かった方がいいよな。
とりあえず、俺たちの作ったエリアでは、動きの遅い魔物は排除するか、ゴーレムなんかの魔法生物にしよう。あれなら、傷口なんてできないから体内に入りようがない。かけるだけだからな。
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